2009年11月27日金曜日

インラインアセンブラ 【inline assembler】

インラインアセンブラとは、C言語などで記述されたプログラムの一部に、アセンブラコード(機械語と1対1に対応した低級言語によるプログラム)を埋め込むこと。また、そのようなコードの埋め込まれたプログラム。マイクロプロセッサの性能を極限まで引き出して実行速度を高めたい場合や、メモリ使用量を極限まで減らしたい場合、特定のマイクロプロセッサが持つ拡張命令(MMX命令など)を利用したい場合などに使う。実行効率が上がる反面、機械寄りのコードが混じることによりプログラムの見通しが悪くなり、機種依存性が高まるというデメリットもある。

インデント 【indent】

インデントとは、文書作成ソフトウェアが持つ字下げ機能のこと。文章中の特定部分の左端位置を変更することができる。通常は改行する次の文字位置は一番左側になるが、インデントを設定するとそのときの文字位置を指定することができる。

インタプリタ言語 【interpretive language】

インタプリタ言語とは、プログラミング言語の種類の一つで、人間の記述したプログラムを、インタプリタと呼ばれるソフトウェアがコンピュータの実行可能な形式に変換しながら実行するタイプの言語。

 インタプリタ言語はコンピュータの使うマシン語や、マシン語と1対1に対応するアセンブリ言語に比べ抽象度が高く、人間の普段使う自然言語に近い感覚で記述することができる高水準言語(高級言語)である。人間の記述したプログラム(ソースコード)はそのままではコンピュータが解釈できないものであるため、インタプリタ(スクリプトエンジン)によってマシン語に同時通訳され、実行可能なプログラムに変換されながら実行される。

 高水準言語には、マシン語のプログラムに一括変換してから実行するタイプのコンパイラ型言語もある。こちらは記述したプログラムをマシン語のプログラムに変換してから実行するため、開発の容易さや素早さ、修正のしやすさなどではインタプリタ言語に劣るが、同時通訳の手間が無い分、実効速度では勝る。また、インタプリタ言語では実行する環境にソースコードが必要だが、コンパイラ型では必要無いという違いもある。

 最近では、同じプログラミング言語にコンパイラとインタプリタの両方が用意され、必要に応じて使い分けられるようになっている言語も多い。また、インタプリタが内部的にコンパイルを行なって、実行可能コードを用意した上で実行を開始するといった工夫が行なわれている場合もある。

インスタンス 【instance】

インスタンスとは、オブジェクト指向プログラミングで、クラスを基にした実際の値としてのデータのこと。クラスと対比して用いられることが多く、クラスを「型」、インスタンスを「実体」として説明されることもある。

 「オブジェクト」とほぼ同義語のように用いられることが多いが、実際にメモリ上に配置されたデータの集合という意味合いが強く、データの実体をより具体的・直接的に捕らえた用語である。

 例えば「名前、身長、体重」というクラスがあるとすれば、そのインスタンスは「田中、175、65」というように作られる。一つのクラスから複数のインスタンスを作ることができ、それぞれのインスタンスは違った値を持ちうる。プログラムの中で実際に扱われるのはクラスではなく、こうして作られたインスタンスの方である。

 なお、ひな形となったクラスを表す際には「○○クラスに属するインスタンス」「○○クラスのインスタンス」という表現が用いられる。

インクルードファイル 【include file】

インクルードファイルとは、よく使われる汎用的な関数や定数宣言、マクロ定義などを、機能ごとにまとめて独立させたファイル。プログラマが開発時に自分のソースファイルに読み込んで利用する。

 言語処理系の多くは、ソースファイルの冒頭などで特殊な命令を使用することにより、他のソースファイルの内容を読み込んで一つにまとめる「インクルード」(include)機能を持っている。この機能を利用して開発効率を高めるため、プログラミングでよく利用される機能をあらかじめ開発しておき、誰でも自分のファイルに取り込むだけですぐに使えるようにまとめたものがインクルードファイルである。

インクルード 【include】

インクルードとは、「含める」という意味の英単語。何かを「外部から呼び出して一つにまとめる」という意味で使われる。プログラミングの世界では、ソースファイルの先頭などで、別のソースファイルなどを読み込んで一つにまとめてくれる言語処理系の機能のことを指す。

 C言語などの開発ツールは、ソースコードの中でよく必要になる汎用的な関数や定数宣言、マクロ定義などを機能ごとにファイルにまとめてある。プログラマはソースコードを書く際に、ソースファイルの冒頭部分で特殊な命令を用いて利用したいファイルを指定すると、言語処理系がコンパイルなどを行なう前に指定されたファイルを読み込んで、まとめて処理してくれる。

 C言語の場合はコンパイルの前にプリプロセッサがインクルード処理をしてくれる。スクリプト言語などは実行時に実行環境が処理してくれる場合が多い。

インクリメント 【increment】

インクリメントとは、整数型の変数の値を1増やす処理。コンピュータのプログラム中では繰り返し処理の制御などで極めて頻繁に利用されるため、マイクロプロセッサには汎用の加算命令とは別にインクリメント命令が用意されており、プログラミング言語にも加算演算子とは別にインクリメント演算子が用意されていることが多い。これとは逆に、変数の値を1減じる処理をデクリメントという。

イベントドリブン 【event driven】

イベントドリブンとは、ユーザや他のプログラムが実行した操作(イベント)に対応して処理を行なう、プログラムの実行形式。

 ユーザが操作を行っていないときはプログラムは何もせず待機しているため、ユーザはそのプログラムを待たせた状態で他の操作を行なうことができる。イベントドリブンで動作するプログラムは必要以上にユーザを拘束しないため、マルチタスクOSとの親和性が高く、グラフィカルユーザインターフェースを持ったプログラムではイベントドリブン方式が広く採用されている。

 これに対し、コマンドライン入力で起動するプログラムはマルチタスク性をあまり意識する必要がないことが多く、プログラムが逐次ユーザに操作を要求するタイプのプログラムが主流である。

イベント 【event】

イベントとは、オブジェクト指向プログラミングにおいて、オブジェクトに特定の現象が発生した時に発する信号。現象が発生したこと自体のほかに、イベントによってはその現象に関するデータ(例えば「キーボードを押した」というイベントなら「押されたキー」のデータ)も発せられる。1つのオブジェクトが発生させるイベントの数は不定で、全くイベントを発生させないオブジェクトもあれば、数十種類のイベントを発生させるオブジェクトもある。イベントが発生すると、イベントに1対1で対応したメソッドが起動し、イベントに対応した処理を行なう。

遺伝的アルゴリズム 【genetic algorithm】

遺伝的アルゴリズムとは、プログラムによって問題に対する最適な解を求める手法の一つで、生物の進化における遺伝のメカニズムに似た操作を取り入れたアルゴリズム。生成論的アルゴリズムとも呼ばれる。1975年に米ミシガン大学のJohn Holland氏によって提唱された。

 解のセットをパラメータとして一つのデータにまとめ、これを遺伝子に見立てる。はじめにいくつもの遺伝子を用意し(ランダムな値に設定されることが多い)、それぞれを評価関数にかけてより適合度の高いと思われる遺伝子を残す。残った遺伝子を複数掛け合わせて(通常は2つの遺伝子を半分ずつつなげる)新しい遺伝子をつくり、これも同様に評価する。この操作を何世代も繰り返すことにより、次第に最適な解に近づけていく手法である。新しい遺伝子を作る際、低い確率でランダムにデータを変化させる「突然変異」のメカニズムも組み込まれる。

 探索や最適化の問題に広く応用できる手法だが、対象となる問題の何を遺伝子としてパラメータ化するか、どのような評価関数で適合度を評価するかによって、良好な結果が得られない場合もある。

アルゴリズム 【algorithm】

アルゴリズムとは、コンピュータを使ってある特定の目的を達成するための処理手順。アルゴリズムをプログラミング言語を用いて具体的に記述したものをプログラムという。

後判定ループ 【pre-test loop】

後判定ループとは、プログラム中の繰り返し(ループ)処理で、処理を行なってから繰り返しを終了するかどうかの条件判定を行なう方式。C言語系のプログラミング言語ではdo~while文などで実装する。これに対し、処理を行なう前に条件判定を行なう方式を前判定ループ(前置判定)という。前判定では条件を満たさなければ一度もループ内の処理は行なわれないが、後判定では必ず一度は処理が行なわれる。

値渡し 【call by value】

値渡しとは、プログラム中で関数やサブルーチンなどに引数を渡す時に、その値のみを渡す方式。渡された関数などの中で値を変更しても、呼び出し元の変数の内容は変わらない。これに対し、変数への参照(メモリ中のアドレスなど)を渡し、関数などの中で値を変更すると元の変数も同じように変更される方式を「参照渡し」(call by reference)という。

アセンブル 【assemble】

アセンブルとは、コンピュータが理解できる言語(機械語)と1対1に対応したプログラミング言語(アセンブリ言語)を用いて人間が記述したソフトウェアの設計図(ソースコード)を、コンピュータ上で実行可能な形式(オブジェクトコード)に変換すること。そのためのソフトウェアをアセンブラと言う。

アセンブリ言語 【assembly language】

アセンブリ言語とは、プログラミング言語の種類の一つで、コンピュータが直接解釈・実行できる言語(マシン語)と1対1に対応した言語。最もコンピュータに近い低水準言語(低級言語)である。マイクロプロセッサの種類(命令セットの種類)ごとに異なる。

 マシン語の命令などは数値の羅列で表現されるため、そのままでは人間には理解しにくい。アセンブリ言語はマシン語の命令などと1対1に対応する英単語などを使い、プログラムを記述する。できあがったプログラムはアセンブラと呼ばれるソフトウェアによってマシン語に変換され、実行される。

 現在では、より人間が扱いやすいよう抽象化されたコンパイラ型言語やインタプリタ型言語(スクリプト言語)などの高水準言語が主流だが、マイクロプロセッサの性能を限界まで引き出すチューニングを行いたい場合や、組み込みソフトウェアの開発などハードウェアに近い分野のプログラミングなどでは、現在でも用いられている。

アセンブラ 【assembler】

アセンブラとは、コンピュータが解釈できる言語(マシン語)と1対1に対応したプログラミング言語(アセンブリ言語)を用いて作成されたソフトウェアの設計図(ソースコード)を、コンピュータが実行できる形式(オブジェクトコード)に変換するソフトウェア。

アスペクト指向プログラミング 【AOP】

アスペクト指向プログラミングとは、ソフトウェアの特定の振る舞いを「アスペクト」として分離し、モジュール化するプログラミング技法。オブジェクト指向プログラミングの問題点を補うために考え出された手法。

 オブジェクト指向プログラミングでは、属性(データ)と操作(メソッド)の集合であるオブジェクトをソフトウェアの分解単位として扱うが、オブジェクトとしてうまく分解ができないソフトウェアの「様相」や「側面」といったものが存在し、このような様相や側面は、複数のオブジェクト間にまたがる操作となる。これを「横断要素」と呼ぶ。

 横断要素の代表例としては、プログラムの実行の様子を記録するロギング操作などが挙げられる。横断要素はプログラムコード中に散在するため、すべてを把握し管理することが難しく、また横断要素に対して変更を加える場合にはコード中のあらゆる場所から該当部分を探し出して書き換える必要が生じる。

 アスペクト指向プログラミングでは、こうした要素を「アスペクト」としてモジュール化し分離することで、把握・管理・変更を容易にする。アスペクト指向プログラミングを導入することにより、既存のコードの手を加えなくてもプログラム中に散在する特定の機能を持った部分を書き換えることができる。アスペクト指向プログラミング環境は既存のプログラミング言語の拡張機能などの形で提供されているものが多く、Javaを拡張してアスペクト指向プログラミングを可能とする「AspectJ」などが有名。

YACC

YACCとは、構文解析を行なうCプログラムを自動生成するツール。

WSH 【Windowsスクリプティングホスト】

WSHとは、Windows上でJavaScriptやVBScriptで記述されたスクリプトを実行するためのソフトウェア。

 従来のWindowsで用意されていたバッチファイルによるバッチ処理機能と比べて、WSHでは大幅に複雑な処理が可能になっている。また、レジストリを操作するコマンドが用意されるなど、OSレベルで管理されているデータにアクセスする機能も用意されている。

 WSH自体はJavaScript/VBScript以外の言語にも対応可能になっており、他のスクリプト言語用の動作環境をインストールすることにより、Perlなどでもバッチ処理を行える。

VM 【仮想マシン】

VMとは、ソフトウェアによって仮想的に構築されたコンピュータ。

 プログラミングにおけるVMは、特定のプログラミング言語の実行コードをそのプラットフォームに適したコードに変換して実行するソフトウェアのことをいう。VMがプラットフォームによる違いを吸収してくれるため、プログラマはプラットフォームごとの違いを意識せずにソフトウェアを開発できるようになる。

 仮想化技術におけるVMは、OSが動作する実際のコンピュータをソフトウェアによって仮想的に構築したものである。1台のコンピュータを複数のVMに分割することで、複数の利用者が同時に利用したり、異なるOSを並列に実行させたりすることができる。

VBScript

VBScriptとは、Microsoft社によって開発されたスクリプト言語(簡易プログラミング言語)。同社のWebブラウザであるInternet Explorer上で動作する。同社のプログラミング言語Visual Basicのサブセット(簡易版)になっており、さまざまな制限が加えられている。同社のWebサーバであるIIS上で動作させることもでき、サーバ上でスクリプトを実行して動的にHTML文書を生成するASPの標準スクリプト言語になっている。また、WSHを利用して、Windows 95/98やWindows NT/2000などの環境で、従来より強力なバッチ処理を行なうこともできる。

UDDI4J

UDDI4Jとは、UDDIレジストリを利用するためのJavaクラスライブラリ。JavaプログラムからUDDIレジストリを参照してWebサービスを見つけ、それらのWebサービスを組み合わせて利用するためのAPIが含まれている。もとはIBM社が開発してオープンソースとして公開したもので、その後Hewlett-Packard社やSAP社が改良を加えてきた。3社は2001年12月に、UDDI4Jを正式にサポートしていくことで合意している。

Swing

Swingとは、Sun Microsystems社のプログラミング言語Javaに標準で付属するグラフィック関連のクラスライブラリ(再利用可能なプログラム部品群)。Java 2(旧JDK 1.2)から標準搭載されたJFCの一部である。Javaで開発されたアプリケーションソフトに、実行環境によらない統一されたグラフィカルユーザインターフェースを提供する。従来から提供されているAWTに比べ、環境による振る舞いの差をなくし、実行速度を高め、多くのバグを取り除き、HTMLに対応するなどの改良が施されている。

STL

STLとは、C++言語の標準テンプレートライブラリ。C++でプログラミングを行なう際によく使う汎用的なデータ構造やアルゴリズムを、利用しやすい形でまとめたもの。1992年にHewlett Packerd社のAlexander Stepanov氏、Rensellaer工科大学のDavid Musser教授らのグループによって考案され、 1994年にANSI/ISO標準C++ライブラリの一部として採択された。

 任意の型を格納することができる汎用データ構造(「コンテナ」と呼ばれる)としてvector、list、deque(double ended queue)、set、mapが用意されており、また、それらのデータ構造に対してよく行われる操作(汎用アルゴリズム)がテンプレート(雛形)関数の形で用意されている。

 STLは非常に自由度が高く、また実行効率もよいと言われている。標準として採用されたことから多くの処理系が実装しており、STLを使うことで移植性を向上させることができる。

Squeak 【スクイーク】

Squeakとは、プログラミング言語のSmalltalkをベースとしたソフトウェア開発環境の一つ。画面上でマウスなどを利用してグラフィカルにプログラミングが行える「Squeak eToys」と呼ばれる環境を提供しており、プログラミング未経験者や子どもでも簡単にプログラミングが行えるのが大きな特徴である。教育現場において低学年向けの教材として利用される例も多い。

 Squeak eToysでは、GUI上でペイントツールを用いてMorph(モーフ)と呼ばれるグラフィックオブジェクトを描き、Morphに対する命令や条件などの書かれたパネルを組み合わせることでそのMorphの動作を設定することができる。例えば車などの絵をMorphとして描き、回転や移動などの命令パネルを組み合わせて動作を設定することで、車が走っているようなアニメーションが作成できる。さらに、Morph同士の接触判定などのパネルを組み合わせてゆくことで、より高度なゲームなども簡単に製作できる。パネルのほかにSmalltalk言語による記述を直接行うこともできる。

 Squeak環境で作成されたプログラムはSmalltalkバイトコードに変換され、仮想マシン上で実行される。Squeakの仮想マシンはSmalltalkで記述されており、専用の変換ソフトウェアを用いてC言語による記述に変換可能である。このため、C言語に変換された仮想マシンをさまざまな実行環境に合わせてコンパイルすることができ、高い移植性を実現している。Squeak環境はWindows、Mac OS X、Linuxなど主要なOS向けのパッケージが配布されている。

Smalltalk

Smalltalkとは、1970年代後半にXerox社のパロアルト研究所(PARC)でAlan Kay氏らによって開発されたプログラミング言語。Xerox社から独立したParcPlace System社によって、1980年にSmalltalk-80として商品化され、その後も機能の拡張と改良が加えられている。対話型のインタプリタ言語で、世界で初めてオブジェクト指向を採用した言語として知られている。Smalltalkの処理系は他の言語のものとは異なり、単なるプログラミング言語の処理系ではなく、プログラミングを支援する開発環境全体を表している。プログラミング言語の枠に留まらず、ユーザインターフェースなどOSの機能に近いものまでクラスとして提供していたため、「Smalltalkプログラミング環境」という呼ばれ方をすることもある。

Session Bean

Session Beanとは、Enterprise JavaBeans(EJB)で規定されているBeanのひとつ。セッション単位での処理を行なう機能を持つ。Session Beanに記録したデータはBean自身が保持するため、セッションが失われ、Session Beanが破棄されるとデータも同時に破棄される。また、内部的にも外部的にもデータの保持を行わないSession Bean(Stateless Session Bean)も存在し、これは単発のメソッドで処理が完了するような単純な処理を行なうBeanとして使用される。内部的にデータを保持できるSession BeanはStateful Session Beanと呼ばれる。また、Session Beanに対し、外部データベースへのインターフェースという形で機能し、Bean自身が破棄されてもデータが保持されるタイプのBeanはEntity Beanと呼ばれる。

SDK

SDKとは、あるテクノロジー(プログラミング言語やAPIなど)を利用してソフトウェアを開発する際に必要なツールのセット。

Scheme

Schemeとは、プログラミング言語のひとつ。Lisp風の関数型言語で、インタプリタ方式の処理系を用いる。

 SchemeはLispと比べてシンプルな言語体系になっており、関数型言語の中では理解が容易であるという特徴をもつ。

Ruby on Rails

Ruby on Railsとは、スクリプト言語のRubyにより構築された、Webアプリケーション開発のためのフレームワーク。単に「Rails」と呼ばれることもある。デンマークのDavid Heinemeier Hansson氏によって開発され、オープンソースとして公開されている。特にデータベースを利用したWebアプリケーション開発において、新たに書く必要のあるコードを大幅に減らし開発期間を短縮できる。

 Ruby on Railsは、MVC(Model-View-Controller)アーキテクチャをサポートしており、データベースに関する処理を担うモデル、データの表示を行うビュー、それらを制御するコントローラの雛形を自動生成する機能を持っている。データの作成・読み込み・更新・削除(CRUD)のみを行うような単純なWebアプリケーションであれば、データテーブルの作成と雛形の自動生成を行うのみでほとんどの部分が開発できてしまう。Webアプリケーションの多くはCRUD処理を中核としているので、Ruby on Railsを使うことによって多くのコードの作成を自動化することができ、開発期間を短縮できる。

 Ruby on Railsには、他にもWebアプリケーションの動作テストを行うためのWebサーバや、テストのためのコードを自動生成する機能、Webアプリケーションの配置を自動化するツールなどのツールキットも同時に提供している。

Ruby 【ルビー】

Rubyとは、まつもとゆきひろ氏が開発したスクリプト言語とその処理系。オブジェクト指向的な言語構造になっているが、通常の手続き型のプログラミングも可能。C++言語などの本格的なオブジェクト指向言語では大げさと思われるプログラミングを支援することを目的としている。作者が個人で開発しているフリーソフトウェアである。Rubyは、Perlと同じくらい強力なテキスト処理能力、シンプルな文法などの特長をもっている。インタプリタ型言語であるため、プログラムを作成したら、コンパイルなどの処理を行なうことなく、すぐに実行することができる。UNIX上だけでなく、MS-DOS、Windows、Mac OS、BeOSの各プラットフォームにも移植されている。

RPG

RPGとは、IBM社が開発した報告書作成向けのプログラミング言語。データの入力、演算、印刷など、必要な処理の種類に応じて仕様書が用意されており、プログラマは必要な仕様書に適切なパラメータを記述することでアプリケーションソフトを作成することができる。通常のプログラミングに必要なアルゴリズムの記述は必要ない。

RPC 【リモートプロシージャコール】

RPCとは、Sun Microsystems社が開発した、ネットワーク上の異なるマシンで処理を実行する手続き。UNIXに広く普及し、現在ではWindows NTにも実装されている。Microsoft社の分散オブジェクト技術DCOMは、この技術を基盤に開発された。

REXX

REXXとは、IBM社が開発した簡易プログラミング言語。同社のメインフレームから、パソコン用OSのOS/2まで幅広くサポートされている。オブジェクト指向的な拡張を施したObject REXXもある。

RAD

RADとは、ソフトウェア開発技法の一つ。プロトタイプと呼ばれるシステムの完成イメージを何度も制作、評価し、プロトタイプを次第に完成品に近づけてゆく手法。比較的新しい技法で、ウォーターフォールモデルなど従来の手法より迅速に開発をすすめられることからこの名がついた。

Python

Pythonとは、プログラミング言語のひとつで、Perlなどと同じくコンパイルを必要としないスクリプト言語に属する。文法が簡易で可読性に優れる一方、拡張モジュールが豊富に用意されており(C/C++で自作することも可能)、テキスト処理に限らず多様なアプリケーションの開発に利用できる。Pythonを利用してPerlと同じようにCGIスクリプトを作成することもできる。欧米ではPerlに次いで人気のあるスクリプト言語。

Prolog

Prologとは、プログラミング言語の一つ。人工知能の開発に適している。1972年にフランス・マルセイユ大学のAlain Colmerauer氏らにより開発された。述語論理を応用した非手続型の言語で、推論機構を簡潔に記述できるため、エキスパートシステムなどの人工知能の研究に広く用いられた。

PL/I

PL/Iとは、1960年代にIBM社によって開発されたプログラミング言語。1970年代には同社のメインフレーム(大型コンピュータ)の標準的言語として利用された。ALGOLを基礎に事務処理用言語COBOLや科学技術計算用言語Fortranの機能を取り込み、あらゆる用途に耐える汎用の言語として、すべての言語を置き換えるべく開発された。しかし、あまりに巨大で複雑な言語仕様のため満足なパフォーマンスのコンパイラを開発することができず、また他の言語が改良されたこともあり、現在ではあまり使われていない。初期にはPL/1と表記されたが、現在ではPL/Iが正式な表記である。

Personal Java 【パーソナルJava】

Personal Javaとは、Sun Microsystems社が同社のプログラミング言語「Java」の機能セットの一つで、画面のある組み込み機器を対象としたもの。セットトップボックスや携帯電話などでの利用を想定している。

 同様に組み込み機器向けに定義された「Embedded Java」とは異なり、クラスライブラリをユーザが独自に制限することは許されていない。そのため、Embedded Javaより互換性は高いものの、必要メモリは大きい。

 シャープのPDA「ザウルス」のプログラム開発環境として採用されたことで注目を集めた。Java環境の「Java 2」への移行に伴い、2002年に「J2ME Personal Profile」として再編された。

Perl

Perlとは、Larry Wall氏が開発したプログラミング言語。テキストの検索や抽出、レポート作成に向いた言語で、表記法はC言語に似ている。インタプリタ型であるため、プログラムを作成したら、コンパイルなどの処理を行なうことなく、すぐに実行することができる。CGIの開発によく使われる。とにかく機能が豊富なことで知られる。当初はUNIX上で利用されたが、現在ではWindowsを含む様々なプラットフォームに移植されている。

Pascal

Pascalとは、プログラミング言語の一つ。1968年にスイス連邦工科大学のNiklaus Wirth教授によって開発された教育用言語。C言語と同じALGOLの流れをくんだ言語で、構造化プログラミングに適している。コンパイラが初めて実装されたのは1970年で、Cray Research社が開発した当時最高速のコンピュータであるCDC 6600が使われた。Borland社のWindowsアプリケーションソフト開発環境であるDelphiでは、Pascalにオブジェクト指向的な拡張を施したObject Pascalが使われる。

PAD

PADとは、1980年に日立製作所の二村良彦氏らが開発した、プログラムやアルゴリズムの論理構造を図示する方式の一つ。

 PADは処理の流れを2次元的に展開する。個々の処理を意味する記号を順序に従って下に並べていき、選択や反復が必要なときは選択結果や反復内容を右に並べる。構造化プログラミングの基本である連接・選択・反復をすっきりと図示することができ、アルゴリズムの構造を分かりやすく示すことができる。

O/Rマッピング 【O/R mapping】

関連用語

* オブジェクト指向..
* オブジェクト
* データ
* リレーショナルデ..
* レコード
* ツール
* 保存
* データベース
* テーブル
* コード
* プログラマ

O/Rマッピングとは、オブジェクト指向プログラミング言語におけるオブジェクトの各データを、リレーショナルデータベースのレコードを構成する個々の項目に関連付けること。また、そのための機能やツールなど。

 オブジェクトは関連するデータと手続きを一体にまとめたもので、永続的に利用する場合はデータをリレーショナルデータベースのレコードとして保存し、必要な時に読み込んで使うことが多い。その際、オブジェクトの各項目とレコードの各項目の対応関係を定義したものがO/Rマッピングである。

 O/Rマッピングツールを利用してこの関係を記述しておけば、オブジェクトの構造とデータベースの仕様を対応付けて一元管理することができる。O/Rマッピングツールがオブジェクトに対応するテーブルを定義するデータベーススキーマや、保存・読み込みのためのコードを自動的に生成してくれるため、プログラマの負担が軽減される。

ORB

ORBとは、異なるマシン上に分散して存在するオブジェクト(プログラム部品)間で、データや処理要求などのメッセージをやりとりする際に用いられる仲介ソフトウェア。業界団体OMGがCORBAとして標準仕様を提案している。

OOP 【オブジェクト指向プログラミング】

OOPとは、データとそれを操作する手続きをオブジェクトと呼ばれるひとまとまりの単位として一体化し、オブジェクトの組み合わせとしてプログラムを記述するプログラミング技法。プログラムの部分的な再利用がしやすくなるなどのメリットがある。代表的なオブジェクト指向言語としては、C言語にオブジェクト指向的な拡張を施したC++言語や、Sun Microsystems社のJava、Xerox社のSmalltalk、NeXT社(現Apple社)が自社のOSであるNeXT STEP向けアプリケーションソフト開発用に開発したC言語ベースのObjective-Cなどがある。

OMG

OMGとは、オブジェクト指向技術の標準化、普及をすすめるため、1989年に設立された業界団体。オブジェクトと呼ばれるソフトウェア部品をネットワーク上に分散配置し、ハードウェアやOS、プログラミング言語の違いに関係なく、相互にデータや処理要求を交換するための基盤となるソフトウェア(ORBと呼ばれる)の共通仕様「CORBA」を策定し、普及をはかっている。

OLEコントロール 【OLE control】

OLEコントロールとは、Windowsにおいてアプリケーションソフト間のデータ連携を実現する仕組みであるOLEに準拠して作成されたソフトウェア部品。特定の機能のみを持ち、サイズが小さい。単独で実行することはできず、アプリケーションソフトに組み込んで使用する。企業が自社特有の処理をOLEコントロールとして作成し、市販のアプリケーションソフトに組みこんで使うことにより、0から専用のアプリケーションソフトを開発するよりも低コストにカスタムアプリケーションソフトを作成することができる。1996年にOLEがActiveXに名称変更されたため、OLEコントロールもActiveXコントロールと呼ばれるようになった。

2009年11月25日水曜日

OLE

OLEとは、Windowsにおいて、アプリケーションソフト間でデータを転送・共有するための仕組み。

 OLEを使うことによって、あるアプリケーションソフトで作成している文書の中に、別のアプリケーションソフトで作成した情報を埋め込んだり、別のアプリケーションソフトの機能をあたかも自分の機能であるかのように提供することができるようになる。

 1991年に登場したOLE 1.0はWindows 3.1に搭載された。大幅に機能を拡張したOLE2が1993年に登場し、Windows 95に搭載された。1996年にはインターネットに対応するための機能を追加したものが登場し、名称も「ActiveX」に改められた。

 OLEを利用することにより、単独では実行できないが、特定の機能のみを持つ部品化された小さなソフトウェアを作成することができ、これをOLEコントロールと呼ぶ。

 OLEコントロールはアプリケーションソフトに機能を追加するのに利用される。企業が自社特有の処理をOLEコントロールとして作成し、市販のアプリケーションソフトに組みこんで使うことにより、0から専用のアプリケーションソフトを開発するよりも低コストにカスタムアプリケーションソフトを作成することができる。

ODBMS

ODBMSとは、データとそれを操作する手続きが一体化した「オブジェクト」を単位としてデータを管理するデータベース管理システム。異なる形式のデータが混在するマルチメディアデータベースなど、リレーショナルデータベースのような従来型のシステムでは処理効率の悪い分野に応用されている。

OCX

OCXとは、OLE 2.0に準拠したソフトウェア部品。正しくは「OLEコントロール」だが、拡張子が.ocxであることからこう呼ばれるようになった。→ OLEコントロールの項を参照

N分木 【N-ary tree】

N分木とは、データ構造の一種であるツリー構造(木構造)のうち、親要素(親ノード)が持つ子の数がN個(Nは2以上の自然数)に制限されているもの。Nが2であるような(2個以下の子しか持てない)ものは「二分木」(二進木、バイナリツリー)と呼ばれるため、一般にはNが3以上のものについてこのように呼ぶ。

N-BASIC

N-BASICとは、NECのパソコン「PC-8001」で動作する、BASIC言語の開発・実行環境。Microsoft社が開発したソフトウェアで、同機の本体内蔵ROMに記録されており、電源を入れると自動的に起動する。

 PC-8001の後継機種PC-8800シリーズには、N-BASICを改良したN88-BASICが搭載され、これはPC-9800シリーズにも受け継がれている。

N88-BASIC

N88-BASICとは、NECのパソコン PC-8800シリーズ および PC-9800シリーズ で動作する、BASIC言語の開発・実行環境。OSとしての役割も持っている。PC-9800シリーズ用のものは正確には「N88-BASIC(86)」もしくは「N88日本語BASIC(86)」という。

 両シリーズとも本体内蔵のROMにN88-BASICが記録されており、フロッピーディスクなどで外部から読み込まない限り、電源を入れるとこれが自動的に起動する。ROMに記録されたBASIC処理系を俗に「ROM-BASIC」と呼ぶ。

 これに対し、本体とは別に提供されたフロッピーディスクに記録されたBASIC処理系は「Disk BASIC」という。Disk BASICはROM-BASICの機能を呼び出して使用するため、基本的な機能は同じだが、Disk BASICにはフロッピーディスクの入出力機能があるため(つまり、ROM-BASICで作成したプログラムは保存できない)、通常はDisk BASICを使っていた。

 のちにPC-9800シリーズの標準OSはMS-DOSになったが、ソフトウェア開発・実行環境としてN88-BASICが移植された。これを「DOS-BASIC」(正式には「N88日本語BASIC(86)(MS-DOS版)」)という。

MSB

MSBとは、2進数で表現されたデータ列のうち、最上位のビット。あるいは、バイト列のうち最上位のバイト。最下位のビット/バイトはLSB(Least Significant Bit/Byte)という。

 「01110101」というビット列のMSBは左端の0であり、「b1765a8f」というバイト列のMSBは左端のb1である。

MIDP

MIDPとは、J2ME/CLDC用のプロファイルの一つで、携帯電話などの携帯端末向けに定義されたJava実行環境の仕様。携帯端末用のユーザインターフェースやクラスライブラリなどの情報を含んでいる。携帯電話などでJavaを使うためには、J2ME/CLDC自体に加えて、このプロファイルが定義するライブラリなどを用意する必要がある。なお、MIDP用に作られたアプリケーションの形式を「MIDlet」と呼ぶ。NTTドコモのiモード用のJava実行環境もCLDCに準拠したプロファイルの一つだが、MIDPとは互換性はない。ドコモと競合するauとJフォンは、将来の携帯電話でMIDPに対応すると表明している。なお、MIDPの仕様は、JCPによってJSR-000037として規定されている。

MIDlet

MIDletとは、携帯電話など小型の情報端末で実行できるJavaアプリケーションの形式の一つ。小型端末向けのJava仕様であるJ2ME/CLDC/MIDPによって定義された形式で、ネットワークを通じてデータをダウンロードし、携帯電話などの端末上で動作させることができる。Javaプログラムの一種であり、携帯電話で使うためのJavaアプレットと言ってもよいだろう。従来、携帯電話で見ることのできるWebページは静的なものばかりであったが、MIDletを使うことで双方向性や動的な表現が可能になると期待されている。日本ではauとJフォンが、将来の携帯電話にMIDletの実行環境を搭載すると表明している。

MapReduce

MapReduceとは、2004年にGoogle社が発表した、大規模なデータを分散処理するためのプログラミングモデル。同社の検索エンジンのインデックス(索引)データの作成や、アクセスログの統計解析など、様々な用途に利用されている。

 MapReduceでは、データの処理をmap処理とreduce処理の2段階に分けて行なう。map処理は、分割されたデータの断片に何らかの加工を施し、必要な情報を抽出する。reduce処理は、mapで抽出した情報を束ねて、データ全体についての整理された処理結果を得る。

 大規模なデータ処理を行ないたいプログラマは、mapとreduceの処理内容を定義してMapReduceシステムに処理を依頼する。MapReduceシステムはデータを分割し、必要な数のコンピュータを使って並列にmapとreduceを実行し、処理結果を返す。

LSB

LSBとは、Linuxの各ディストリビューションが備えるべき最低限の機能のセットを定めた標準仕様。また、同仕様を定める非営利団体。

 Linuxは、OSの中核部分であるカーネルに様々なツールや機能が付加された「ディストリビューション」と呼ばれる配布パッケージの形で流通している。ディストリビューションは誰でも自由に作成することができるため、個人やグループ、企業などが作成したディストリビューションが世界中に数十種類存在している。

 LSBではこれらの間の互換性を確保し、あるディストリビューション向けに作成したアプリケーションソフトが他でも動作するような環境を整備するため、Linux関連の開発者や企業などが集まり、APIやライブラリの基本セットや相互運用のための指針を定めている。

 団体としてのLSBはLinuxの国際化を推進するLI18NUX(後のOpenI18N.org)と共同でFSG(Free Standards Group)を設立、傘下のワーキンググループの一つとなった。FSGは2007年1月にOSDLと合併してThe Linux Foundationとなっている。

LSB

LSBとは、2進数で表現されたデータ列のうち、最下位のビット。あるいは、バイト列のうち最下位のバイト。最上位のビット/バイトはMSB(Most Significant Bit/Byte)という。

 「01110101」というビット列のLSBは右端の1であり、「b1765a8f」というバイト列のLSBは右端の8fである。

LRU

LRUとは、広さの限られた一時的な保管場所に何を残して何を棄てるか決定するための計算手順(アルゴリズム)の一つ。キャッシュメモリの管理やOSの仮想記憶(仮想メモリ)システムなどで利用される。IT分野以外でも書類の整理方法などに応用されている。

 LRUは直訳すれば「最も過去に使用された」であり、保存されているデータなどの中で最後に参照されてから最も時間の経ったものを探し出して破棄し、新しいものに入れ替える方式である。

LISP

LISPとは、プログラミング言語の一つ。人工知能研究などで利用されることが多い。1962年にマサチューセッツ工科大学のJohn McCarthy教授を中心とする研究グループによって開発された。代表的な関数型言語の一つで、既に定義されている関数を組み合わせて新しい関数を定義するという形でプログラムを記述する。1984年にはCommon Lispという標準仕様が定義されている。

LIFO

LIFOとは、ある場所に格納したデータを、新しく格納した順に取り出すようにする方式。一番古く格納されたデータが一番最後に取り出される。スタック(stack)と呼ばれるデータ構造はこの方式でデータを扱う。

LFU

LFUとは、広さの限られた一時的な保管場所に何を残して何を棄てるか決定するための計算手順(アルゴリズム)の一つ。キャッシュメモリの管理やOSの仮想記憶(仮想メモリ)システムなどで利用される。

 LFUは直訳すれば「最も使用頻度が低い」であり、保存されているデータなどの中で一定の期間のうち使用頻度が最も低いものを探し出して破棄し、新しいものに入れ替える方式である。

KVM

KVMとは、Sun Microsystems社の開発した、組み込み機器向けのJava仮想マシン。「K」の名の由来は、必要なメモリがキロバイト(Kilo Bytes)単位で済むことにある。

 J2MEの核となっているコンポーネントで、ごく小さい容量と128K程度のメモリでJavaを動作させることを目的として開発された。

 携帯電話やポケットベル、携帯情報端末、セットトップボックス、POS端末などでの使用を想定している。

 およそ40KBという極めて小さなサイズを特長とするが、他のJava仮想マシンに比べてJavaアプレットやリアルタイム機能が実装されていないなど、機能面では幾分劣っている。

 KVMは発表当初、Palm社のPalm OSで動作するバージョンが公開され、携帯端末で動作するJava実行環境として話題を呼んだ。

 2001年には、NTTドコモの携帯電話の一部機種にKVMが内蔵され、Javaプログラムのダウンロードサービス「iアプリ」が開始された。

KVM

KVMとは、Linux上で仮想化環境を利用するためのソフトウェア。Linuxカーネルに仮想マシンモニタ(VMM:Virtual Machine Monitor)を実装し、仮想的なコンピュータの上で複数のOSを並列に動作させられるようにする。QUMRANET社が開発し、オープンソースとして公開したもので、2006年12月にLinuxカーネルに統合された。同社は2008年9月にRed Hat社に買収され、子会社となっている。

 KVMはIntel社のIntel VTやAMD社のAMD-Vなどマイクロプロセッサの提供する仮想化支援機能を利用し、LinuxカーネルをVMMとして動作させる。その上で複数台のコンピュータを仮想的に動作させることができ、Linux自体を含む様々なOSを並列に動作させることができる。

Jython

Jythonとは、スクリプト言語PythonのJavaプラットフォーム用インタプリタ。

 PythonのソースコードをJavaバイトコードに変換するだけでなく、PythonでJavaのクラスを利用したり、Javaライブラリにアクセスしたりすることもできるようになる。以前はJPythonと呼ばれていたが、Jython 2.0以後改名された。

JTA

JTAとは、Javaを企業情報システムで使うためのJ2EEに用意されている、トランザクション処理を制御するAPI群。トランザクションを管理するトランザクションマネージャと、個別の処理を行うアプリケーションとの間にシンプルなインターフェースを提供する。

JSP

JSPとは、Java言語を利用してWebサーバで動的にWebページを生成し、クライアントに送信する技術。HTMLファイルの中にJavaプログラムを埋め込んでおき、クライアントの要求に応じてプログラムを実行、処理結果のみをクライアントに送信する。結果は通常のHTML形式になるため、Webブラウザに特殊な機能を組みこむことなくWebアプリケーションを構築できる。Microsoft社のIISの拡張機能ASPに似た技術だが、ASPが(ほぼ)IIS専用なのに対して、JSPは様々なWebサーバ用の実行環境が用意されており、また、特殊なスクリプト言語を覚えることなく、Java言語をそのまま使えるという利点がある。

JSON

JSONとは、JavaScriptにおけるオブジェクトの表記法を応用したデータ形式。JSONで表記されたデータは、JavaScript上ではコードとして実行するだけで読み込みが完了する。

 JSONでは、データ全体を配列またはJavaScriptにおけるオブジェクト(キーと値のペアを列挙した構造体)として記述する。値として利用できるデータ型は整数型、浮動小数点数型、文字列型、ブール型(真偽値)、null(値無し)、配列、オブジェクトである。

 配列は全体を角括弧([])で囲み、値をカンマ区切りで列挙していく。オブジェクトは全体を中括弧({})で囲み、キーと値をコロン(:)で区切って表記したペアをカンマ区切りで列挙していく。値として配列やオブジェクトを取ることもできるため、配列やオブジェクトを何階層もネスト(入れ子)することができる。

 JSONはJavaScriptでの扱いが簡単なため、WebサービスやAjaxなどでプログラム間でのデータ交換フォーマットとして多用されている。また、数多くのプログラミング言語でJSONを簡単扱えるようにする追加機能などが公開されている。

JScript

JScriptとは、Microsoft社が開発したスクリプト言語(簡易プログラミング言語)の一つ。Netscape Communications社とSun Microsystems社が共同開発したスクリプト言語であるJavaScriptに、Microsoft社が自社技術を追加して拡張したもの。JavaScriptが持つ機能の他に、COMオブジェクトを呼び出して利用するための仕様や、ファイルを操作する機能などが追加されている。JScriptで記述されたスクリプトは、HTMLファイルに埋め込んで同社のWebブラウザ「Internet Explorer」で実行できるほか、「WSH」(Windows Scripting Host)と呼ばれる実行環境を用いてWindows上で直接実行したり、同社のWebサーバであるInternet Information Server上で動的にWebページを生成するために利用することができる。

JRE

JREとは、Java言語で開発されたソフトウェアを実行するために必要なソフトウェアのセット。Javaを用いて開発されたソフトウェアは、どんなプラットフォームからも独立した形式(Javaバイトコード)で配布されるが、これを実行するにはそのプラットフォームが解釈できる形式(ネイティブコード)に変換する必要がある。JREは、この変換と実行を行なうJava仮想マシンとその周辺のソフトウェアからなる。

JNI

JNIとは、Java言語で開発されたプログラムから、他の言語で開発されたネイティブコード(特定のプラットフォームでそのまま実行可能なプログラム)のプログラムを利用するためのAPI。Javaプログラムからプラットフォーム固有の強力な機能を利用することを可能にするが、そのプラットフォームでしか動作しなくなる。

JMS

JMSとは、Javaプログラムにネットワークを介してデータを送受信させるためのAPI。J2EE 1.3プラットフォームに標準で含まれている。データを1つずつバラバラに扱うのではなく、メッセージと呼ばれる塊にまとめて送信する、メッセージング機能が使えるようになる。また、一対一の同期通信の他、複数の宛先に同じメッセージを送信したり、メッセージを非同期に通信したりすることもできる。

JITコンパイラ 【JIT compiler】

JITコンパイラとは、Javaプログラムを実行する際に、プラットフォームから独立した形式のプログラム(Javaバイトコード)を、実行前にまとめて一気にそのプラットフォームで実行可能なプログラム(ネイティブコード)に変換し、実行する機構のこと。少しずつ変換しながら実行する従来の方式より実行速度は速いが、変換に時間を要するので実行を始めるまでにかかる時間は従来より長くなる。

Jini

Jiniとは、パソコンや周辺機器、AV機器、電話、家電製品など様々な機器をネットワークを通じて接続し、相互に機能を提供しあうための技術仕様。Sun Microsystems社によって提唱され、IBM社、Cisco Systems社、Motorola社、キヤノン、シャープ、ソニーなど多くの大手企業が支持している。SunのJava技術を基盤としているため、特定のOSやマイクロプロセッサなどに依存しない。また、Jiniに対応した機器は、ネットワークにつなぐだけで複雑な操作や設定作業を伴うことなくすぐに機能する。Jiniを利用するためにはJava実行環境であるJVMを搭載するか、ネットワーク上の他の機器が搭載しているJVMを利用できることが必要になる。似たような構想としてMicrosoft社が推進するUPnPがある。

JDK

JDKとは、Java言語でプログラミングを行なう際に必要な最低限のソフトウェアのセット。Javaの開発元であるSun Microsystems社が開発、配布している。コンパイラやデバッガ、クラスライブラリ、Javaプログラム実行環境(Java仮想マシン)などが含まれる。

JDBC

JDBCとは、JavaプログラムからリレーショナルデータベースにアクセスするためのAPI。SQL言語による命令を発行してデータベースの操作を行なうことができる。データベースの種類によらない汎用性の高いプログラムを開発することが可能だが、実際に稼動させるためには個々のデータベースに対応したドライバ(JDBCドライバ)を導入する必要がある。

JCP 【Javaコミュニティプロセス】

JCPとは、Sun Microsystems社が主催する、Java技術に関する標準仕様を定める機関。

 多くの企業や個人がJCPに参加しており、仕様変更のリクエストを自由に提出できるようになっている。

 しかし、標準化プロセスが内部にも公開されていなかったり、大規模な機能変更には同社の同意が必須となっていることなどから、同社の影響力が強すぎる機関として批判が強い。

JBossAOP

JBossAOPとは、JBoss Group LLCが開発・サポートを行なう、Java言語においてアスペクト指向プログラミングを行なうオープンソースのフレームワーク。

 Java言語におけるアスペクト指向プログラミングの実装として「AspectJ」があるが、AspectJがJava言語を拡張した文法によってアスペクトを記述するのに対し、JBossAOPでは従来のJava言語のクラスとしてアスペクトを記述する。また、AspectJでは既存のソースコードのどこにアスペクトを挿入するかという(AspectJではジョインポイントと呼ばれる)情報をアスペクトモジュール中に記述したが、JBossAOPではXMLを用いて別ファイルに記述する。つまり、JBossAOPではアスペクトの処理内容を従来のJava文法で記述し、どこにアスペクトを組み込むかという情報をXMLで記述することになる。

 JBossAOPにはDynamic AOPと呼ばれる機能があり、プログラムの実行中に特定のメソッドへアスペクトを追加することや、特定のインスタンスにだけアスペクトを追加することが可能になっている。細かい違いとして、AspectJではアスペクトを組み込むことをウィービングと呼ぶが、JBossAOPではメソッドインターセプションと呼ぶことが挙げられる。アスペクトを含んだソースコードはJBossAOPに付属のAOPCによってXMLで記述した情報を反映したJavaのソースコードに変換され、その後javacによってコンパイルされる。

JBoss

JBossとは、JBoss Group LLCが開発している、Java言語で書かれたJ2EEアプリケーションサーバ。LGPLで提供されるオープンソースソフトウェアで、Webアプリケーション開発のためのフレームワークとして用いられる。JBossと名のつくソフトウェアには「JBoss Portal」「JBoss Cache」などもあるが、単にJBossと言った場合にはJ2EEアプリケーションサーバである「JBoss Application Server」のことを指す場合が多い。

 元々はEJBコンテナとして開発がスタートし「EJBoss」という名称だったが、紛らわしいためJBossに変更された。JBoss 2.0でEJB 1.1に対応し、J2EEアプリケーションサーバとしての機能を備えるようになった。

 JBossはTomcatなどのアプリケーションサーバを含むため、JBossのみでウェブアプリケーションを実行できる。また、HSQLDBというJavaで書かれた軽量なデータベースが標準で付随しており、外部のデータベースにアクセスせず実験的にWebアプリケーションを動かすこともできる。EJBを実装したものでもあるため、様々なEJBアプリケーションを実行することも可能である。

JAX/RPC

JAX/RPCとは、JavaプログラムでRPCによる遠隔プログラム呼び出しを行なうためのAPI仕様。JavaからRPCを行なうにはJava RMIなどの手段が既に存在するが、JAX/RPCはXMLをベースにしている点とWebサービスでの利用を主目的にして開発された点が特徴。SOAPなどXMLベースのプロトコルでメソッドを呼び出す際に利用されるAPIで、具体的なメッセージの作成はJAX/RPCによって自動的に行われる。そのため、ユーザはプロトコルの詳細を気にすることなくSOAPなどのメッセージを利用することができ、Webサービス構築に要する時間を短縮できる。

JAXR

JAXRとは、Sun Microsystems社が2001年12月に発表したJava XML Packに含まれるパッケージの一つで、UDDIやebXMLを使ってWebサービスのレジストリにアクセスする機能をまとめたもの。

 インターネット上でWebサービスを公開したり、他社のWebサービスを利用するためには、Webサービスに関する情報が集まるビジネスディレクトリを利用するのが便利である。JAXRは、UDDIやebXMLのようなディレクトリアクセスのための仕様を実装しており、Javaで作成したWebサービスが統一的な手法でディレクトリに登録したり、検索したり、他のサービスを利用する手段を提供する。

 ディレクトリとの実際の情報のやり取りはSOAPを使って行なわれるため、JAXMを使うことになる。ただし、通信のプロセスは隠蔽されるので、プログラマがJAXMの利用を意識する必要はない。

 Java XML PackにはJAXRのほかに、SOAPによるメッセージングを実装したJAXM、XML文書を編集する機能をまとめたJAXP、XML文書とJavaオブジェクトのバインディングを提供するJAXBなどが含まれる。

 Java XML Packは2002年6月、JavaのXML・Webサービス関連の機能をまとめた「JavaWSDP」(Java Web Services Developer Pack)の一部としてリリースされた。

JAXP

JAXPとは、Sun Microsystems社が2001年12月に発表したJava XML Packに含まれるパッケージの一つで、XML文書の生成や読み出し、編集などを行なう機能をまとめたもの。

 SAX、XSLT、DOM Level 2など主要なXML標準に対応している。JAXPを使うことで、既存のXML文書を読み込んでJavaプログラムで利用できる形に変換したり、プログラムが扱っているデータのまとまりをXML文書としてファイルに保存したりすることができる。

 Java XML PackにはJAXPのほかに、SOAPによるメッセージング機能を実装したJAXM、XML文書とJavaオブジェクトのバインディングを提供するJAXB、Webサービスレジストリへのアクセス手段を提供するJAXRなどが含まれる。

 Java XML Packは2002年6月、JavaのXML・Webサービス関連の機能をまとめた「JavaWSDP」(Java Web Services Developer Pack)の一部としてリリースされた。

JAXM

JAXMとは、Sun Microsystems社が2001年12月に発表したJava XML Packに含まれるパッケージの一つで、SOAPによるメッセージング機能をまとめたもの。

 SOAPはWebサービス間、および、Webサービスを利用するための通信に使われるプロトコルである。JAXMは、Javaプログラムで作成したWebサービスに、SOAPによるメッセージの送受信を行なう手段を提供する。

 実際の送受信のプロトコルには、HTTP、FTP、SMTPなどを使うことができる。また、ebXMLなどの上位のメッセージングプロトコルと連携するように拡張することができる。

 Java XML PackにはJAXMのほかに、XML文書を編集する機能をまとめたJAXP、XML文書とJavaオブジェクトのバインディングを提供するJAXB、Webサービスレジストリへのアクセス手段を提供するJAXRなどが含まれる。

 Java XML Packは2002年6月、JavaのXML・Webサービス関連の機能をまとめた「JavaWSDP」(Java Web Services Developer Pack)の一部としてリリースされた。

JAXB

JAXBとは、Sun Microsystems社が2001年12月に発表したJava XML Packに含まれるパッケージの一つで、XML文書とそれを扱うJavaプログラムを結びつけるための機能や仕様をまとめたもの。

 XML文書にはその構造を定めた「スキーマ」という情報がついていることが多いが、JAXBはスキーマ定義を読み込んで、それを扱うJavaクラスファイルを自動生成することができる。生成したJavaクラスを編集して、再びXML文書に書き戻すこともできる。このように、XML文書とJavaオブジェクトの双方向のマッピング手段を提供するのがJAXBの役割である。現在のところ、JAXBが対応しているスキーマ言語はDTDだけである。

 Java XML PackにはJAXBのほかに、SOAPによるメッセージングを実装したJAXM、XML文書を編集する機能をまとめたJAXP、Webサービスレジストリへのアクセス手段を提供するJAXRなどが含まれる。

 Java XML Packは2002年6月、「JavaWSDP」(Java Web Services Developer Pack)という名称に変更されてリリースされた。

JAX

JAXとは、Sun Microsystems社がJavaの拡張機能として提供している、XMLデータ処理用のAPI群。XMLパーサ機能を持つJAXP(Java API for XML Processing)、SOAPデータの送受信を行なうJAXM(Java API for XML Messaging)の2種類がリリースされている。この他に、WSDLに対応したRPC機能を提供するJAX-RPC、UDDIなどのXMLレジストリにアクセスする機能を提供するJAXR、XML SchemaをJavaクラスに変換するJAXBが今後提供される予定(現在はそれぞれベータ版などが提供されている)。

Java仮想マシン 【JVM】

Java仮想マシンとは、Javaバイトコードをそのプラットフォームのネイティブコードに変換して実行するソフトウェア。Java言語で開発されたソフトウェアは、配布時にはプラットフォームから独立した独自の形式(Javaバイトコード)になっており、そのままでは実行することができない。このため、そのプラットフォーム固有の形式(ネイティブコード)に変換するソフトウェアを用意して、変換しながら実行する。この変換と実行を行なうのがJVMである。実行前にまとめて変換することで実行時のオーバーヘッドをなくし、実行速度を向上させたものをJITコンパイラという。

Javaバイトコード 【Java byte code】

Javaバイトコードとは、Javaのコンパイラが生成する実行用コードのこと。中間コードの一種で、特定の環境に依存しないという特徴を持つ。JavaバイトコードはJava仮想マシン内のインタプリタによってネイティブコードに変換されてから実行される。

Javaサーブレット 【Java servlet】

Javaサーブレットとは、Webサーバ上で実行されるモジュール(部品)化されたJavaプログラム。サーブレットを追加することにより、Webサーバの機能を拡張することができる。

 サーブレットはJava言語で記述されているため、特定のOSやハードウェアに依存することがなく、サーブレットAPIを実装したあらゆるWebサーバで稼動させることができる。

 CGIなどの他のサーバサイドプログラムと異なり、一度呼び出されるとそのままメモリに常駐するため、高速な処理が可能である。また、データを永続的に扱うことができるため、複数のユーザ間で情報を共有することもできる。

 当初はSun Microsystems社のJava Web Serverの機能の一つとして提供されていたが、仕様がJava Servlet APIとして独立し、現在では様々なWebサーバ向けにサーブレットの実行環境が用意されている。

Javaアプレット 【Java applet】

Javaアプレットとは、ネットワークを通じてWebブラウザにダウンロードされ、ブラウザのウィンドウに埋め込まれて実行されるJavaプログラムのこと。

 Javaアプレットを悪用してユーザのコンピュータに被害を与えることのないように、ユーザのハードディスクの内容を読み書きしたり、自分が呼び出されたWebサーバ以外のコンピュータに接続したり、他のアプリケーションソフトを起動したりすることはできないようになっている。

 Javaアプレットを使うことにより、HTMLで記述された静的なWebページでは実現できない動的な表現が可能となる。また、Webブラウザのみで利用することができるネットワークゲームやチャットを開発することもできる。

 企業内のクライアントサーバシステムでJavaアプレットを利用すれば、社員のコンピュータにはWebブラウザを入れるだけでシステムを利用できるようになり、アプリケーションソフトの配備や管理にかかるコストを節減することができる。

Java XML Pack

Java XML Packとは、Sun Microsystems社が2001年12月に発表した、Java言語(環境)をXMLやWebサービス対応させるAPIをまとめたパッケージ。

 Java開発者に対し、プログラムのXML対応やWebサービスの構築に必要な技術の提供を目的としている。「Java API for XML Processing」(JAXP)、「Java API for XML Messaging」(JAXM)、「Java API for XML Data Binding」(JAXB)など、いくつかのXML関連パッケージを統合したものである。

 今後、Java XML Pack には文書処理、データ処理などといった他のXML技術も収録される予定である。

JavaScript

JavaScriptとは、Sun Microsystems社とNetscape Communications社が開発した、Webブラウザなどでの利用に適したスクリプト言語(簡易プログラミング言語)。Sun社のJava言語に似た記法を用いることが名称の由来だが、直接の互換性は無い。

 従来は印刷物のような静的な表現しかできなかったWebページに、動きや対話性を付加することを目的に開発され、主要なWebブラウザのほとんどに搭載されている。ブラウザ以外のソフトウェアにも簡易な制御プログラムの記述用言語として移植されており、Microsoft社のWindowsやWebサーバソフト「IIS」、Macromedia社の「Flash」などに、JavaScriptあるいは類似の言語の処理系が内蔵されている。

 各社の実装に微妙な違いがあり、ブラウザによって使えない機能があったり同じプログラムでも挙動が異なったりする問題があったため、ヨーロッパの標準化団体ECMAがソフトウェアメーカーに呼びかけて、通称「ECMAScript」と呼ばれる標準を発行した。現在では、ECMAScript準拠の処理系をJavaScriptと呼び、独自の拡張を施したJavaScriptには独自の名称を付ける(Microsoft社は「JScript」、Macromedia社は「ActionScript」)習慣が定着しつつある。

Java RMI

Java RMIとは、Javaで分散オブジェクト環境(異なるマシン間でオブジェクト同士がメッセージをやりとりできる環境)を実現するための手法。JDK1.1以降に標準で付属する。ネットワークを通じてプログラム同士が通信を行なうことができるようになる。

Java Plug-in 【Javaプラグイン】

Java Plug-inとは、Sun Microsystems社のプログラミング言語Javaの実行環境(Java仮想マシン)をWebブラウザのプラグイン形式にしたもの。プラグインの形にすることで、常に最新バージョンのJava仮想マシンを利用できる。以前は「Java Activator」と呼ばれていた。

 Javaは多くのブラウザに採用されたが、実行環境のJava仮想マシンのバージョンはブラウザのバージョンによってまちまちで、最新技術を使ったJavaアプレットを作っても、多くの人はそれを再生できないという状況が発生していた。

 そこで、インターネットから動的にコードを呼び出すことができるプラグインの機構を利用し、実行環境をプラグインで提供することにより、適切なバージョンのJava仮想マシンを呼び出せるようにしたものが、Java Plug-inである。プラグイン形式になっているため、ユーザ側で準備する必要はなく、いつでも最新のJava環境が利用できる。

Java Desktop System

Java Desktop Systemとは、Sun Microsystems社が提供している、LinuxとJavaを組み合わせて構築されたデスクトップOS。

 OSの基盤にはLinuxが採用されており、GNOMEによるGUI環境、オフィスソフトの「StarSuite」、Webブラウザの「Mozilla」、Javaの開発・実行環境の「Java 2 Platform, Standard Edition」などのアプリケーションソフトが同梱されている。日本語版も提供されており、日本語入力ソフト(IM)の「ATOK X for Linux」やいくつかの日本語フォントが同梱される。

 同社はこれをWindowsに代わる低価格のデスクトップOSとして位置付けており、米小売大手のWal-Mart社などからJava Desktop Systemをプレインストールした低価格パソコンが発売されている。

JavaBeans

JavaBeansとは、Java言語を用いて開発され、部品化されたプログラム(Beanと呼ばれる)を組みあわせてアプリケーションソフトを構築する手法。また、Java言語でBeanを作成するための技術仕様。プログラムを部品化することにより、複数の開発者間での共有やコードの再利用が容易になり、また出来合いのBeanやサードパーティから提供されるBeanを組み合わせてアプリケーションソフトを開発することにより、開発効率が飛躍的に向上する。

Java 2

Java 2とは、Sun Microsystems社のプログラミング言語「Java」の第2版。Java 2はJDK 1.2と呼ばれていたものの正式名称で、SunによるJava 2プラットフォーム対応のプログラミング環境や実行環境も含む。

 従来のJava環境に比べ、HotSpotと呼ばれる高速化技術を搭載した新しいJava仮想マシンや、柔軟性の高い新しいセキュリティモデル、高い安定性、JFCの正式なサポート、CORBAを利用した分散オブジェクト環境への対応などの改良が加えられている。

 2次元グラフィックスAPIのJava 2Dや3次元グラフィックスAPIのJava 3D、従来のAWTに代わるGUI環境のSwingなど、グラフィックス関係の新機能も豊富に搭載されている。

 また、Java 2では国際化がさらにすすみ、Java 2Dを利用した各国語の高品質な表示や、IMFによる日本語入力方式の標準化など、プラットフォームに依存しない日本語環境の構築に必要な基本機能を備えた。

 SunはCSLというライセンスに基づいてJava 2のソースコードの一部を無償で公開しており、利益を得なければ誰でもJava 2の改変や機能の追加が行なえるようになっている。

 ちなみに、JDKのバージョンは現在1.4まで上がっているが、ブランド名は「Java 2」のままである。

2009年11月24日火曜日

Java

Javaとは、Sun Microsystems社が開発したプログラミング言語。C言語に似た表記法を採用しているが、既存の言語の欠点を踏まえて一から設計された言語であり、最初からオブジェクト指向性を備えている点が大きな特徴。強力なセキュリティ機構や豊富なネットワーク関連の機能が標準で用意されており、ネットワーク環境で利用されることを強く意識した仕様になっている。

 Javaで開発されたソフトウェアは特定のOSやマイクロプロセッサに依存することなく、基本的にはどのようなプラットフォームでも動作する。その反面、標準ではどのプラットフォームでも実現できる最大公約数的な機能しか利用できないため、プラットフォーム固有の機能を利用する用途には向かない。

 Javaで記述されたソースコードは、コンパイル時にJavaバイトコードと呼ばれる中間コードにいったん変換される。ソフトウェアはバイトコードの状態で配布され、実行時にはJava仮想マシン(JVM)と呼ばれるソフトウェアによって、実行するプラットフォームに対応した形式(ネイティブコード)に変換され、実行される。プラットフォーム間の違いはJava仮想マシンが吸収するため、開発時にはプラットフォームの違いを意識しなくてよい。ただし、ネイティブコードへの変換には時間やメモリ領域が余計に必要となるため、速度やメモリ容量がシビアな用途には向かない。

JAR

JARとは、Javaプログラムの実行に必要なクラスファイルやデータファイルを一つにまとめるためのフォーマット。Javaで作成したソフトウェアを配布する際に関連するファイルを1つにパッケージングするのに使われる。

J2SE

J2SEとは、Sun Microsystems社のプログラミング言語「Java 2」の機能セットの一つで、基礎となる標準的な機能をまとめたもの。

 1999年に発表されたJava 2プラットフォームには、標準環境のJ2SEを中核として、企業サーバ向けの「J2EE」(Java 2 Enterprise Edition)、組み込み機器向けの「J2ME」(Java 2 Micro Edition)の3つの機能セットがある。

 J2SEはパソコンなどのネットワーククライアント環境、あるいはスタンドアローン用途向けと言うことができる。

 当初発表されたJava 2から若干の拡張が行なわれ、LDAPディレクトリにアクセス可能になる「JNDI」(Java Naming and Directory Interface)の搭載、セキュリティ機能の強化された。また、仮想マシンとしてHotSpotが採用されている。

 当初はWindows版のみが発表されたが、2000年にはLinux版とSolaris版も公開されている。

 バイナリ版は無償公開されているが、Sun独自のライセンス方式「CSL」(Community Source License)に従えば、ソースコードを手に入れることもできる。

J2ME

J2MEとは、Sun Microsystems社のプログラミング言語「Java 2」の機能セットの一つで、家電製品や携帯情報端末、携帯電話などの組み込み機器向けの機能をまとめたもの。

 「CDC」(Connected Device Configuration)と「CLDC」(Connected Limited Device Configuration)という2つの想定環境(コンフィギュレーション)に分かれており、前者はカーナビや高性能PDAといった32ビットCPUと十分なメモリを持った環境を、後者は携帯電話やネットワーク家電、通常のPDAなどの、低速なCPUと少ないメモリからなる環境を対象としている。

 現在のところ、一般にJ2MEとして知られているのはCLDCであり、KVMが仮想マシンとして採用されているのもこちらになる。

 サーバ向けのJ2EE、パソコン向けのJ2SEとの大きな違いとして、基本部分には仮想マシン(実行環境)と最小限のコアAPI(中核機能)だけを持ち、デバイス(機器)の種類ごとに定義された「プロファイル」と呼ばれるAPIやクラスライブラリをそれに付加していくことで機能を補うという方式を採用している。

 プロファイルの例としては、携帯電話や通信機能を持った携帯情報端末向けに定められたCLDC用のMIDPなどがあり、これらはSun Community Processを通して業界ごとに定義されている。

J2EE

J2EEとは、Sun Microsystems社のプログラミング言語「Java 2」の機能セットの一つで、企業の業務システムや電子商取引などで使われるサーバに必要な機能をまとめたもの。

 標準機能セットのJava 2 Standard Edition(J2SE)に、サーバ用のAPIや諸機能を付加したものと言える。

 APIセットをまとめた「Platform Specification」、Sunによる参照実装、互換性テストスイート、ガイドライン「Blue Prints」といった要素から成り、Javaプログラムを部品化して組み合わせることができるようにする「Enterprise JavaBeans」や、WebページにJavaプログラムを埋め込んで内容を動的に生成する「Java Server Pages」(JSP)などの技術を含む。

 また、XMLを操作するためのAPIも用意され、サーバ上で様々なソフトウェアを組み立てられるようになっている。

 J2EEの動作環境はSunを含む各社のアプリケーションサーバ製品に実装されており、データベースシステムやWebサーバと組み合わせて使う。

IronPython 【アイアンパイソン】

IronPythonとは、Microsoft .NET環境に移植された、スクリプト言語Pythonの実行環境。通常のPythonの機能のほかに、.NET Frameworkの提供する機能を利用することができる。2006年9月にMicrosoft社が最初の正式版(バージョン1.0)をリリースした。

IMF

IMFとは、Java 2に搭載された日本語入力のためのAPI。従来のJavaには、かな漢字変換ソフト(IM)から日本語を入力するための標準的な方法はなかったため、開発者が独自に実装するしかなく、プラットフォームを超えて利用することはできなかった。IMFによって日本語入力方式の標準が提供されたため、どの環境でも日本語入力を行なうことができるようになった。

IIOP

IIOPとは、分散オブジェクト技術の規格の一つであるCORBAに準拠して定められた、異なるORB間でメッセージを交換するためのプロトコル。IIOPを使うと、インターネットなどのTCP/IPネットワークで接続された複数のコンピュータに分散配置されたオブジェクトと呼ばれるソフトウェア部品同士が、機種の違いやプログラミング言語の違いを超えて、互いにデータの受け渡しをしたり、処理を依頼したりすることができる。

IDL

IDLとは、ソフトウェア開発において、オブジェクトと呼ばれるプログラム部品を、他のプログラムから利用するためのインターフェース(外部仕様)を記述するのに使われる言語。そのオブジェクトが備えるメソッド(命令)やプロパティ(属性)などの情報を定義するのに使う。

IDE

IDEとは、パソコンとハードディスクを接続する方式の一つ。Compaq Computer社やWestern Digital社などが共同で開発した。1989年にアメリカ規格協会(ANSI)によって「ATA」規格として標準化された。BIOSによって直接制御できるため、SCSIなどほかの方式に比べて簡便で低コストである。しかし、同時に2台までしか接続することができない、ハードディスク以外の機器を接続することができない、ハードディスクの最大容量が528MBまでに制限されている、などの弱点がある。IDEを拡張したEIDE方式がパソコン用の接続方式として広く普及した。これをさらに拡張したUltra ATA規格の普及も進んでいる。

IDE 【統合開発環境】

IDEとは、「統合開発環境」の略。エディタ、コンパイラ、デバッガなど、プログラミングに必要なツールが一つのインターフェースで統合して扱えるような環境のこと。

HSP 【Hot Soup Processor】

HSPとは、ソフト開発などを手がけるONION softwareというグループが開発・公開している、Windowsで動作するスクリプト言語の一つ。マルチメディア機能を手軽に扱うことができ、ゲームなどの開発に適している。開発・実行環境はフリーソフトウェアとして誰でも無償で入手できる。

 BASIC言語をベースにした簡潔な文法で、プログラミング初心者でもすぐに使い始めることができる。専用のエディタが開発されているほか、一般的なテキストエディタでプログラムを編集することもできる。単体でも様々な機能が使えるが、拡張プラグインを追加することで、DirectXによるグラフィック描画やTCP/IPによる通信などの機能を追加することもできる。作成したプログラムはHSPのインタプリタで実行できるほか、Windowsの実行形式であるEXEファイルに変換することもできる。

HORB

HORBとは、通産省電子総合研究所の平野聡氏によって開発された、分散オブジェクト技術(異なるマシン間でオブジェクト同士がメッセージをやりとりするための技術)の一つ。

Hibernate

Hibernateとは、Java言語でO/Rマッピングを行なうためのツール(O/Rマッパー)の一つ。Gavin King氏らを中心とするプログラマ集団が開発したオープンソースソフトウェアで、LGPLライセンスに基づいて誰でも自由に入手して利用することができる。

 Hibernateにより、Java言語のプログラムで定義されたオブジェクトと、リレーショナルデータベース(RDB)上のテーブルおよびレコードを関連付けて一元管理することができる。

 Hibernateは、XML形式のマッピングファイルにオブジェクトの各項目とレコードの対応する項目の定義を記述すると、オブジェクトの保存や呼び出しのためのコードの雛型を自動生成してくれる。

 また、SQLに似た問い合わせ言語であるHQL(Hibernate Query Language)による柔軟な検索や、キャッシュ機能なども利用できる。軽快に動作することも大きな特徴の一つ。特定のデータベース管理システム(RDBMS)には依存せず、様々なデータベースを利用することができる。

 近年ではMicrosoft .NET環境でO/Rマッピングを利用できる「NHibernate」も開発され、公開されている。

Groovy

Groovyとは、Java言語の実行環境であるJava仮想マシン(JVM)上で動作するスクリプト言語およびその処理系。James Strachan氏とBob McWhirter氏が2003年8月に開発を始めたもので、Groovy処理系はオープンソースソフトウェアとして公開されている。

 Groovyの言語仕様はJava言語とほぼ同じで、スクリプト言語として使いやすいよういくつかの拡張が行なわれている。変数の型宣言の省略と動的な型付け、メソッド呼び出しの括弧や行末のセミコロンの省略、リストやマップを宣言時に初期化するための特殊な構文、正規表現のための構文、クロージャなどである。

 Groovyの処理系はプログラマの記述したスクリプトをその場で動的にJavaバイトコードに変換してメモリ上に配置し、JVM上で実行する。Java標準のAPIや、あらかじめ用意されたライブラリなどもそのまま利用することができる。

Gauche

Gaucheとは、関数型プログラミング言語の一つであるSchemeの実行環境(インタプリタ)の一つ。オープンソースソフトウェアとして公開されている。

 GaucheはSchemeのインタプリタで、Schemeで記述されたスクリプトを即座に実行することができる。内部的には実行時コンパイルを行ない、仮想マシン上で実行しているため、コンパイラなどで実行ファイルを生成する場合と遜色ない実効速度を実現している。いくつかのUNIX系OSで動作させることができ、システム関数やネットワーク機能へのアクセスも提供されており、実用的なスクリプトの開発・実行も可能となっている。

Fortran

Fortranとは、1956年にIBM社によって開発された、科学技術計算向けのプログラミング言語。数式をほぼそのまま記述できるのが特徴。世界初の高級プログラミング言語でもある。

FIFO

FIFOとは、ある場所に格納したデータを、古く格納した順に取り出すようにする方式。一番新しく格納されたデータが一番最後に取り出される。キュー(queue)と呼ばれるデータ構造はこの方式でデータを扱う。

F-BASIC

F-BASICとは、富士通のパソコンFMシリーズで動作する、BASIC言語の開発・実行環境。同シリーズの機能を活用するため、画像や音声を扱うための命令が強化されている。のちにWindows環境に移植された。

 FM-7・FM-8用のF-BASICのほかに、FM-11(の一部)用のF-BASIC86、FM-R用のF-BASIC86HG、FM-TOWNS用のF-BASIC386などの派生ソフトウェアもある。

Entity Bean

Entity Beanとは、Enterprise JavaBeans(EJB)で規定されているBeanのひとつ。データベースのレコードなど、特定のデータに対する参照を提供する機能を持つ。

 Entity Beanは自身でデータを保持するのではなく、バックにあるデータベースなど、別の記録システムに対するインターフェースを提供する形で動作する。従って、Entity Beanに対して記録を行ったデータはデータベースのレコードとして記録され、Beanが破棄されてもデータの内容は保存される。

 これに対し、セッション単位での処理を行なうBeanは「Session Bean」と呼ばれ、こちらはセッションが終了してBeanが破棄されると記録した内容も失われる。

EJBコンポーネント 【EJB component】

EJBコンポーネントとは、Java言語で作成されたプログラム部品の一種で、Webサーバなど企業が保有するサーバで動作するもの。

 Sun Microsystems社は、「Java 2」仕様のセットの一つとして、企業の業務システムや電子商取引などで使われるサーバに必要な機能をまとめた「J2EE」(Java 2 Enterprise Edition)をまとめており、この中に、サーバ上で動作するJavaアプリケーションを部品化するための規約「EJB」(Enterprise JavaBeans)が含まれる。

 EJBはJavaプログラムをアプリケーションの部品(コンポーネント)として扱うための規約で、トランザクション処理やセッション管理、セキュリティなどをアプリケーションサーバなどのEJB実行環境があらかじめ用意することで、コンポーネントの開発を容易にしている。

 JavaBeansのサーバ版、と説明されることもあるが、EJBは前述のような機能をサーバが提供してくれるほかに、CORBAやJava RMIによる分散処理が可能となっており、コンポーネント指向がより徹底されている。

EJBコンテナ 【EJB container】

EJBコンテナとは、EJBコンポーネントを動作させるためのサービスを提供する実行環境。EJBコンポーネントは必ずEJBコンテナの上で動作する。EJBコンテナはデータベースへのアクセス機能やトランザクション管理機能も持ち、EJBコンポーネントがこれらの機能を用意しなくても簡単にアプリケーションが構築できる。EJBコンテナはサーバ側が用意し、EJBコンポーネントはどのサーバが用意するEJBコンテナでも実行できることになっているが、仕様に曖昧な点があるなどの理由で完全な互換性を持つには至っていない。

EJB

EJBとは、Java言語でプログラム部品を作成し、それらをつなぎ合わせてアプリケーションソフトを構築するためのJavaBeans仕様に、ネットワーク分散型ビジネスアプリケーションのサーバ側の処理に必要な機能を追加したもの。Javaをビジネスアプリケーションで活用する際にサーバ側に必要な機能をまとめたEnterprise Java仕様の一部で、Webサーバなどに実装されている。

ECMAScript

ECMAScriptとは、JavaScriptの標準規格。Netscape Communications社とMicrosoft社でJavaScriptの仕様が微妙に異なっていたため、両社が参加の上、ECMAが標準化したものがECMAScriptである。

Eclipse 【エクリプス】

Eclipseとは、オープンソースの統合ソフトウェア開発環境(IDE)の一つ。Java開発者を中心に急速に普及しており、ソフトウェア開発の共通プラットフォームの標準になると予想されている。

 IBM社が1999年から進めていた開発ツール研究プロジェクトの研究成果をソフトウェアの形にしたもので、2001年11月にオープンソース化され、誰でも無償で入手・改変・再配布できるようになった。

 Eclipseは単なる開発ツールではなく、開発ツールの「共通プラットフォーム」と呼ばれる。これは、機能をプラグインの形であとから自由に追加できるためで、UML関連ツールやテストツール、各種のプログラミング言語などが用意されている。その数は数百種類に及ぶ。

 大手ソフトウェアベンダーの中には、自社の開発ツール製品にEclipseを組み込み、Eclipseに追加する形で自社独自部分を提供するという形の製品をリリースするところも現れている。

EBNF 【拡張BNF】

EBNFとは、コンピュータが扱う言語の文法を定義する際に用いられるメタ言語(言語を記述するための言語)の一つでBNF(BN記法)を拡張したもの。現在では、コンピュータ言語の定義は単純なBNFではなくEBNFで記述されるのが一般的である。

 BNFは1959~1960年にアメリカ人のJohn Backus氏とデンマーク人のPeter Naur氏が考案した記法で、ALGOL60という言語の定義に初めて使われた。BNFは構文を形式的に定義するための言語で、意味を規定するものではないため、BNFだけで言語のすべてを定義することはできない。

 BNFには拡張が加えられてEBNFとなったが、EBNFには変種や独自拡張が多く何種類ものEBNFが存在する。

 EBNFはプログラミング言語の定義だけでなく、プロトコルやデータ構造、マークアップ言語の定義などにも使われる。マークアップ言語として最も普及しているXMLも、その構文はEBNFの一種で規定されている。

E4X

E4Xとは、JavaScriptの国際標準であるECMAScriptのバージョン3で定義された拡張仕様で、JavaScriptのソースコードの中にXMLを直に記述してデータとして扱うための仕様。

 E4Xに対応したJavaScriptエンジンはXML型の変数、リテラルを扱うことができ、JavaScriptのソースコード中にXMLでマークアップされたデータを直接書き込むことができる。これを変数に格納してタグ名で要素にアクセスしたり、解析したり出力したりといったXMLの構造に沿った操作を行なうことができる。

 WebブラウザのFirefoxがバージョン1.5からE4Xをサポートしているほか、Flashの内蔵スクリプト言語であるActionScriptがバージョン3からサポートしている。

D言語 【D language】

D言語とは、1999年12月にWalter Bright氏が開発を始めたプログラミング言語。C言語やC++言語を参考に設計されたコンパイラ型の高級言語で、記法などはこれらC系の言語に似ている。シンプルで移植性の高い言語仕様と処理系を実現するため、過去の言語との互換性はあえて限定的なものにとどめている。実用性を重視した言語で、中規模から大規模のプログラムを効率よく開発することを主な目的としてしており、CやJavaなどの言語である程度経験を積んだプログラマが二番目に習得する言語に向いている。ネットワークやグラフィックを利用した高水準のアプリケーションから、OSやハードウェアに密着した低水準のコードまで開発できる。仕様はWebサイトで公開されており、各種UNIXやWindowsに対応したコンパイラなどのツールがフリーソフトウェアとして公開されている。

DOS-BASIC 【N88日本語BASIC(86)(MS-DOS版)】

DOS-BASICとは、NECのパソコン PC-9800シリーズ で動作するMS-DOS向けに移植された、N88-BASIC(86)の開発・実行環境の俗称。正式には「N88日本語BASIC(86)(MS-DOS版)」。

 もともとPC-9800シリーズの標準OSはN88-BASIC(86)だったが、途中でMicrosoft社のMS-DOSに変更され、MS-DOS上で動作するN88-BASIC処理系が提供された。これを俗にDOS-BASICと呼んでいる。

DI 【依存性注入】

DIとは、オブジェクト間で依存性のあるコードを実行時に注入するという設計思想。

 従来のEJBに採用されたEntity Beanの使いにくさを解消するため、「軽量コンテナ」と呼ばれるアプリケーションサーバ群が登場した。軽量コンテナの例として、最も利用者の多い「Spring Framework」や、簡素な「PicoContainer」、アクセスと結合が容易な「HiveMind」、国産の「Seasar2」などがある。Java開発を変える最新の設計思想といわれ、ソフトウェアの開発サイクルを大幅に改善すると期待されている。

 オブジェクトが他のオブジェクトを利用するコードを「依存性」と捉え、これらの依存性をもったコードを実行時に注入するため、依存性注入と呼ばれる。従来から同様の思想は存在し、IoC(Inversion of Control:制御の反転)と呼ばれていたが、軽量コンテナの登場により、著名なソフトウェア設計コンサルタントであるThoughtWorks社のMartin Fowler氏が命名した。

 DI思想による軽量コンテナはEJBの使いにくさを解消するために登場したもので、EJB 3.0で正式に採用された。Spring Frameworkの.NET版である「Spring.NET」や「NSpring」も登場している。

Delphi 【デルファイ】

Delphiとは、Borland Software社から発売されているソフトウェア開発環境。プログラミング言語には、教育用として使われることの多いPascalに、オブジェクト指向的な拡張を施したObject Pascalという言語が用いられる。データベースアプリケーションソフトの構築に使われることが多いと言われている。

DCOM 【分散COM】

DCOMとは、Microsoft社が定めた分散オブジェクト技術の仕様。同社のCOM仕様にしたがって作成されたソフトウェア部品(「COMオブジェクト」と呼ばれる)同士がネットワークを通じて通信を行い、データの交換や処理依頼のやり取りなどを行なうことができる。COMと共にWindows以外のプラットフォームにも移植されており、同社はこれをインターネット標準として普及させるため、IETFに仕様案を提出している。

C++言語

C++言語とは、広く普及しているプログラミング言語であるC言語に、オブジェクト指向的な拡張を施したプログラミング言語。1992年にAT&T社によって仕様が策定された。C++の言語仕様はCの上位互換になっており、C++の処理系を用いて従来のCで記述されたソフトウェアの開発を行なうことも可能である。オブジェクト指向プログラミングにより、プログラムの再利用が可能となり、大規模・複雑なソフトウェアの開発が容易になった。

C言語 【C language】

C言語とは、1972年にアメリカAT&T社のベル研究所でD. M. Ritchie氏とB. W. Kernighan氏によって開発されたプログラミング言語。1986年にアメリカ規格協会(ANSI)によって標準化され、国際標準化機構(ISO)や日本工業規格(JIS)にも標準として採用されている。

 B言語という言語の後継として開発されたためCと名づけられた。表記法などはB言語やPascalの祖先であるALGOLに近い。

 Cの拡張版であるC++言語とともに、現在もっとも普及しているプログラミング言語である。

 豊富な演算子やデータ型、制御構造を持ち、構造化プログラミングに適している。また、特定のプラットフォームに依存した部分を言語から切り離しているため、移植性の高いプログラムを記述することができる。

 もともとシステムの記述用に開発されたので、ハードウェア寄りの低水準な処理を記述することもできる。実際、UNIXはC言語で記述されている。

 C言語にオブジェクト指向プログラミング的な仕様を追加したものをC++言語という。

CVS

CVSとは、ファイルのバージョンを管理するアプリケーションソフト。主にプログラムの開発作業などで使用されるが、CVS自体はどんなファイルでも管理できる。

 複数人が同時に同じファイルを編集することができ、編集した内容が競合していなければ両方の変更を自動的に統合できる。また、1つのバージョンに対して別々の変更を加えるためにバージョンを分岐させることも可能など、多様な開発ニーズに対応できる機能を備える。

 CVSはそれ自体がオープンソースで開発され、CVSで管理されているほか、多くのオープンソースソフトウェアでも採用されている。

CSL

CSLとは、Sun Microsystems社が同社のプログラミング言語(およびその開発・実行環境)「Java 2」に適用したライセンス体系。

 従来は高額な初期費用を払わなければソースコードを手に入れることはできなかったが、コードの使用と修正は基本的に無償で行えるようになった。入手したコードをベースにして開発した成果物や革新的な技術をSunに返す必要もなく、変更を他社と共有してもSunがそれに対して使用料を請求することはない。

 ソースコードが無償で配布され、誰でも自由に改変・再配布できるLinuxなどのオープンソースソフトウェアの考え方を取り入れたライセンス体系である。ただし、自社製品にJava 2(またはその派生物)を組み込んで販売し、利益をあげるような場合には、利益に応じたライセンス料を支払う必要があるため、完全なオープンソースとは言えない。

CPAN

CPANとは、プログラミング言語「Perl」で利用できるソフトウェア部品(モジュール)やPerl関連の文書、Perl実行環境のソースコードなどを集積・公開しているWebサイト。

 世界中のPerl開発者が自分の開発したモジュールを登録しており、モジュールは無償でダウンロード・利用することができる。世界に数百台のミラーサーバが設置されている。

CORBA

CORBAとは、OMGが定めた分散オブジェクト技術の仕様。異機種分散環境上のオブジェクト(プログラム部品)間でメッセージを交換するためのソフトウェア(ORBと呼ばれる)の仕様を定めている。具体的には、ORBの基本構造や、プログラミング言語からORBを利用する際の手順、異なるORB間で相互にメッセージを交換する際の規定などを定めている。

Common Lisp

Common Lispとは、関数型プログラミング言語「LISP」の方言の一つで、ANSI(米国規格協会)によって制定されたLISPの標準規格。

 FORTRANに次いで二番目に古い高級言語であるLISPは、1958年の登場以後、その実装の容易さ、拡張性の高さから「LISP方言」と呼ばれる数多くの種類が登場した。

 1980年代から1990年代にかけて数多く登場したこれらのLISP方言を統合しようという動きが起こり、1994年ANSIにより「ANSI X3.226-1994」として標準化されたものがCommon Lispである。現在では単にLISPといえばそれはCommon Lispを指すことが多い。

 Common Lispは汎用性を重視した仕様になっており、関数型、手続き型など複数のパラダイムを組み合わせて利用できるマルチパラダイムとなっている。CLOS(Common Lisp Object System)と呼ばれるオブジェクトシステムにより、オブジェクト指向プログラミングもサポートしている。

COM

COMとは、Microsoft社が提唱する、部品化されたプログラムを作成・利用するための基盤となる技術仕様。特定の機能のみを持つプログラム部品を組み合わせることでアプリケーションソフトの開発が容易になる。この仕様に基づいてデータのやりとりができるプログラム部品のことをCOMコンポーネントと呼ぶ。COMコンポーネントは開発に使った言語やコンポーネントのある場所などに拠らず、どの言語からでも、どこからでも利用することができる。ネットワークを通じて別のコンピュータ上にあるCOMコンポーネントを利用する技術をDCOMと言う。これらの技術はWindowsだけでなく、UNIXやMac OSにも移植されている。コンポーネント開発が楽にできるよう改良された次世代のCOM+の開発が進んでおり、Windows DNAの中核技術として期待されている。

COM+

COM+とは、Microsoft社が提唱する、部品化されたプログラムを作成・利用するための基盤となる技術仕様。COMをより発展させたもの。これまで個々のCOMコンポーネントが実装していた機能のうち、メモリ管理など共通化が可能なものをCOMランタイムとしてOSに統合し、コンポーネント開発をより容易にする。同社の提唱するWindows DNAの中核技術として、Windows 2000で提供される予定である。

CODASYL

CODASYLとは、米政府の情報システムに使用する標準言語を策定した委員会の名称。国防総省とメーカ、ユーザの代表で構成された。この委員会によって策定されたのが事務処理用言語COBOLである。

COBOL 【コボル】

COBOLとは、プログラミング言語の一つ。CODASYL委員会によって制定された、事務処理計算用言語。英文に近い記述が可能で、汎用性が高い。企業の会計処理に使われる大型計算機のプログラムに使われている。

CLDC

CLDCとは、組み込み機器向けのJava言語仕様である「J2ME」の一部として定義されている想定実行環境(コンフィグレーション)の一つで、携帯電話やPDAなどの小型端末を対象としたもの。カーナビなどの大型端末向けのCDCに対して、CPU速度もメモリ容量も限られた小型端末を対象としているのがCLDCである。仮想マシンにはKVMが採用されており、数百キロバイトのメモリと16ビットCPUでも動作させることができる。CLDCに準拠した代表的なプロファイルには、MIDPやNTTドコモのiモード用Javaがある。なお、CLDCの仕様は、JCPによってJSR-000030として規定されている。

CGI

CGIとは、Webサーバが、Webブラウザからの要求に応じて、プログラムを起動するための仕組み。従来、Webサーバは蓄積してある文書をただ送出するだけであったが、CGIを使うことによって、プログラムの処理結果に基づいて動的に文書を生成し、送出することができるようになった。現在ではほとんどのWebサーバソフトがCGIに対応している。CGIはどのような開発言語でも使用できるが、実際にはPerlなどがよく使われる傾向にある。

CDC

CDCとは、組み込み機器向けのJava言語仕様である「J2ME」の一部として定義されている想定実行環境(コンフィグレーション)の一つで、カーナビやセットトップボックスなどの中・大型端末を対象としたもの。32ビットプロセッサと十分なメモリを持っていることを想定しているため、Java仮想マシンにはJVMが採用されている。CDCコンフィグレーション上のプロファイルとしては、「J2ME Foundation Profile」や「J2ME Personal Profile Specification」などが審議されている。なお、CLDCの仕様は、JCPによってJSR-000036として規定されている。

CASE

CASEとは、「コンピュータ支援ソフトウェア工学」の略。システム開発支援ツールと開発方法論の統合、システム開発作業の効率化を目的としている。CASEツールと呼ばれるソフトウェアを用い、ソフトウェア開発の多くの局面を自動化することができる。 CASEツールには、計画・設計など、ソフトウェア開発の初期段階を支援する上流CASEツールと、プログラム作成・テスト・保守などを支援する下流CASEツールがあり、これらのプロセスすべてに一括して対応するものを統合CASEツールと呼ぶ。

BNF 【BN記法】

BNFとは、コンピュータが扱う言語の文法を定義する際に用いられるメタ言語(言語を記述するための言語)の一つ。コンピュータ言語の定義はBNFで記述されるのが一般的である。バッカス記法、バッカス・ナウア記法などとも呼ばれる。

 BNFは構文を形式的に定義するための言語で、意味を規定するものではないため、BNFだけで言語のすべてを定義することはできない。プログラミング言語の定義だけでなく、プロトコルやデータ構造、マークアップ言語の定義などにも使われる。マークアップ言語として最も普及しているXMLも、その構文はBNF(正確には拡張BNF)で規定されている。

 BNFは1959年にアメリカ人のJohn Backus氏が提案し、デンマーク人のPeter Naur氏が修正を加え、1960年に数値計算用プログラミング言語ALGOL60の定義に初めて採用された。現在ではオリジナルのBNFに拡張が加えられた拡張BNF(EBNF)が使われることが多いが、EBNFには変種や独自拡張が多く、どのBNFを使用しているかに注意を払う必要がある。

BD-J

BD-Jとは、Blu-ray Discの拡張機能の一つで、Java言語でソフトウェアを開発し、プレーヤーで再生するための仕様。BD-ROM規格のProfile 2.0で追加された拡張仕様であるBD-Liveの一部。

 BD-JではJava 1.3ベースの開発環境でソフトウェアを開発し、プレーヤーに搭載された実行環境で再生することができる。ユーザの操作に応じて内容が変化するコンテンツやゲームなどを作ることができ、インターネットへのアクセスや記憶装置へのデータの保存なども可能となっている。

BASIC

BASICとは、プログラミング言語の一つ。ダートマス大学のJohn G. Kemeny氏、Thomas E. Kurtz氏によって開発された、初心者向けの対話型言語。多くのBASIC処理系はインタプリタ型のため、実行速度が遅い。Microsoft社のVisual Basicなどのように、コンパイラを使うことにより実行速度を向上させた派生言語も存在する。

2009年11月22日日曜日

awk

awkとは、インタプリタ型言語の一つ。テキスト処理に向いている。開発者3人の頭文字を取ってこの名前がついた。UNIXの標準コマンドとして配布されていたが、現在では様々なプラットフォームに移植されている。

AspectJ

AspectJとは、プログラミング言語のJavaでアスペクト指向プログラミング(AOP:Aspect Oriented Programming)を可能にする拡張仕様、およびそれを実装するための開発ツール。コンパイラやライブラリ、各種開発環境へ組み込むためのツール群などから構成され、オープンソースソフトウェアとして公開されている。AspectJで記述したプログラムをコンパイルした実行ファイルは通常のJava言語で開発したものと変わらず、一般的なJavaプログラムの動作環境(Java VM)で動作させることができる。

 従来のオブジェクト指向プログラミング(OOP:Object Oriented Programming)では、データと対応する処理(メソッド)をモジュール化の単位として扱うが、うまくモジュール化が行なえない場合があった。この問題を解決するために、アスペクト指向プログラミングでは、オブジェクトにうまく分割できないソフトウェアの性質・側面(アスペクト)をモジュールにまとめて取り扱えるようにする。

 AspectJはJava言語の記法を拡張してアスペクト指向的な記述が行なえるようになっており、それ以外の部分は通常のJava言語と同じようにプログラミングする。アスペクトを取りまとめたものは、通常のクラスに似た形で、「アスペクト」(aspect)としてモジュール化して記述し、アスペクトをどこに組み込むかを記述する。たとえば、あるメソッドの前後で特定のメッセージを出力したい場合には、特定のメッセージを出力するアスペクトを、あるメソッドの前後に組み込むことを宣言しておく。こうすることにより、既存のコードに一切手を加えることなく、デバッグ用の出力やロギングなどが行なえる。

API

APIとは、あるプラットフォーム(OSやミドルウェア)向けのソフトウェアを開発する際に使用できる命令や関数の集合のこと。また、それらを利用するためのプログラム上の手続きを定めた規約の集合。個々のソフトウェアの開発者がソフトウェアの持つすべての機能をプログラミングするのは困難で無駄が多いため、多くのソフトウェアが共通して利用する機能は、OSやミドルウェアなどの形でまとめて提供されている。個々の開発者は規約に従ってその機能を「呼び出す」だけで、自分でプログラミングすることなくその機能を利用したソフトウェアを作成することができる。

ALGOL 【アルゴル】

ALGOLとは、プログラミング言語の一つ。アルゴリズムの記述に向いている。ヨーロッパの学者グループが開発した。PascalやC言語に強い影響を与えた言語であるといわれている。

Ada 【エイダ】

Adaとは、プログラミング言語の一つ。1980年に考案されたPascal風の手続き型言語で、FortranやCOBOLの代替言語として期待された。

 1983年にアメリカ規格協会(ANSI)標準規格に、1986年には国際標準化機構(ISO)標準規格となっている。

 米国防総省が、同省に納入するソフトウェアの開発をAdaで行なうことを指定したため、政府部門や関連産業でよく利用された。

 当時の最新のプログラミング理論やソフトウェア方法論をまるごと取り入れようとした野心的な言語仕様で、厳密なデータ型の定義や、ソフトウェアのモジュール(部品)化、並行処理に関する仕様が特徴的である。

 しかし、あまりに多くの仕様を取り込もうとしたことが過度の肥大化を招き、当時の貧弱なハードウェアで開発を行なうのは困難になってしまった。

 このため、1980年代中盤から後半にかけて、より「軽い」仕様を持ったC言語に取って代わられた。

 「Ada」という名称は、現在のようなデジタルコンピュータがまだ存在しなかった1840年代に、現在のプログラミングとも考えられる概念を発表し、今日のコンピュータの広範な普及を予言した「世界初のプログラマ」Augusta Ada Lovelace女史にちなんでつけられた。

ActiveXコントロール 【ActiveX control】

ActiveXコントロールとは、Microsoft社が開発したソフトウェアの部品化技術。従来OLEコントロールと呼ばれていた技術に、インターネットに対応するための拡張を施したもの。ActiveXコントロールはネットワークを通じてWebサーバからダウンロードされ、同社のWebブラウザであるInternet Explorerに機能を追加する形で使用される。

 同社を含め各社が様々なActiveXコントロールを公開しており、Webページ上で音声や動画を再生するためのActiveXコントロールや、サーバとクライアントの間で対話的に情報をやりとりすることができるActiveXコントロールなど、様々なものがある。

 他のブラウザ拡張記述に比べ、ActiveXコントロールはWindowsのネイティブコードで構成されているため動作が速く、また、Windowsが用意している機能をフルに活用できるという利点があるが、悪用されたときの被害も甚大になるという弱点もある。

ActiveX 【アクティブX】

ActiveXとは、Microsoft社が開発したインターネット関連技術群の総称。ActiveXは特定の技術や製品を指す名称ではない。

 ActiveXは同社のWebブラウザのInternet Explorer(IE)と、WebサーバのInternet Information Server(IIS)で利用可能な各種の技術で構成される。

 ActiveXのWebブラウザ側の技術としては、OLEをインターネット対応に拡張したソフトウェアの部品化技術であるActiveXコントロールをはじめ、ExcelやWordなど、同社のOfficeアプリケーションソフトで作成された文書をインターネット通じて送受信し、Webブラウザに埋め込んで表示するActiveXドキュメント、VBScriptやJavaScriptなどのスクリプト言語を使ってWebページに動きを与えるActiveXスクリプトなどの技術がある。

 ActiveXのWebサーバ側の技術としては、VBScriptやJavaScriptなどのスクリプト言語をサーバ上で実行して、処理結果だけをブラウザに送信するActive Server Pages(ASP)や、Webサーバから他のアプリケーションソフトを呼び出して処理を行なうInternet Server API(ISAPI)などの技術がある。

ActivePerl

ActivePerlとは、ActiveState社が提供する、Windows上のPerl言語の実行環境。

 PerlはUNIX上でよく利用されるスクリプト言語で、標準の実行環境もUNIX向けに開発されている。ActivePerlはWindows上でPerl言語で書かれたプログラムを実行するためのソフトウェアのセットで、同社が無償で公開している。

 ActivePerlは、ActiveX技術を応用したPerlScriptという実行環境も提供しており、他のアプリケーションソフトにPerl実行環境を組み込んで動作させることができる。また、Microsoft社のWebサーバソフトであるIIS(Internet Information Server)で高速にCGIプログラムなどを動作させることができるライブラリなども付属する。

ActionScript 【アクションスクリプト】

ActionScriptとは、Macromedia社のWeb向けアニメーションツール「Macromedia Flash」に内蔵されている、コンテンツの再生制御などを行なうためのスクリプト言語。JavaScriptの標準規格であるECMAScriptをベースに独自の拡張を施した仕様になっている。

 Flashでは、音声やベクターグラフィックスのアニメーションを組み合わせてコンテンツを作成するが、各々のオブジェクトをいつどのように再生するかを細かく制御することができる。また、ユーザのマウス操作などの入力を受けてそれに応じた動きをするなど、コンテンツに双方向性を持たせることができる。こうした仕掛けを記述するのに使われるのがActionScriptである。

 ActionScriptは2000年8月に登場した「Flash 5」に初めて組み込まれ、後継の「Flash MX 2004」ではAction Script 2.0にバージョンアップしている。

8進数 【octal number】

8進数とは、基数を8とした数値の表現方法。桁が一つ移動する毎に値の重みが8倍(1/8倍)になる。「0」から「7」までの8種類の数字を用いてすべての数を表現する。2進数での3桁をまとめて8進数として表すことがある。8進数の「537」は、10進数では 5×64 + 3×8 + 7×1 の351である。

4GL 【第4世代言語】

4GLとは、定型的な事務処理を行なうためのオンラインのアプリケーションソフトを、実際にアプリケーションソフトを使う人(エンドユーザ)が設計できるように、対話形式で開発ができるプログラミング言語。その言語を用いて開発を行なうための開発環境まで含めることもある。COBOLなど、専業のプログラマが必要な従来のプログラミング言語よりも生産性が高いとされている。機械語を第1世代、アセンブリ言語を第2世代、COBOLなどの高級言語を第3世代と呼ぶことから、第4世代と呼ばれる。

2分木 【binary tree】

2分木とは、データ構造の一種である木構造のうち、親ノードの持つ子ノードの数が2つ以下であるもの。子ノードを3つ以上取れる木構造は多分木、N分木などと呼ばれる。

 木構造を構成する要素は、節(node、ノード)と呼ばれ、ノード同士は親子関係を持ち、親のないノードを根(root node)、子のないノードを葉(leaf)と呼ぶ。あるノードが持つ子の数が2つ以下であるものを2分木と呼び、通常、図示する際には、最も根っこにあたる(現実の木とは逆に)ルートノードを一番上に描き、その下に子を配置する。また、親子関係のあるノード同士は線で結ぶ。

 通常はノードに付加的な情報を持たせて2分木を構成し、たとえば数式の構造を表現するのに用いられる。この場合、ノードには+、-、×、÷などの演算子や数値を持たせる。1+2という式であれば、+を持つノードの子に、葉である1と2が来ることになる。1+2×3という式には二通りの表現が考えられ、+を持つルートノードの子が1のノードと(2×3)の木であるものと、×を持つルートノードの子が(1+2)の木と3のノードであるものになるが、数式の場合には+や-よりも×と÷を先に計算する、という条件があるため、ルートノードに×を持たせる場合を採用する。そして、この木構造で表現した数式を計算する場合には、ルートノードから辿りながら計算を行なうことで、+や-よりも×と÷を先に計算するという条件を満たすことができる。

 他にも、様々な条件の元で木を構成することにより、探索を効率良く行なうなどの応用ができる。また、プログラミング言語を処理する場合にも、言語の構造を表現するのに木構造が用いられる。

2進数 【binary number】

2進数とは、基数を2とした数値の表現方法。桁が一つ移動する毎に値の重みが2倍(1/2倍)になる。「0」と「1」の2種類の数字を用いてすべての数を表現する。数字が2つからなることが電子回路のON/OFFと対応させることができるので、コンピュータ内部ではすべての数字を2進数に置き換えて処理している。10進数での「25」が2進数では「11001」と表されるなど、同じ数値を表す場合でも必要となる桁数が非常に多くなる。このため、2進数での3桁をまとめて8進数として表したり、2進数での4桁をまとめて16進数として表すことがある。

16進数 【hexadecimal number】

16進数とは、基数を16とした数値の表現方法。桁が一つ移動する毎に値の重みが16倍(1/16倍)になる。「0」から「9」までの10種類の数字に加え、「A」から「F」までの6種類の文字を数字として用いる。「A」が10進数で言う「10」に、Bが11に、Cが12に、Dが13に、Eが14に、Fが15に対応する。16になると桁が一つ繰り上がって「10」になる。2進数での4桁をまとめて16進数として表すことがある。16進数の「B7A」は、10進数では 11×256 + 7×16 + 10×1 の2938である。

10進数 【decimal number】

10進数とは、基数を10とした数値の表現方法。桁が一つ移動する毎に値の重みが10倍(1/10倍)になる。「0」から「9」までの10種類の数字を用いる。我々が日常生活で普段から使っている表記法である。コンピュータは電子回路で構成されるため、10進数は扱えない。このため、すべての数字を2進数に置き換え、「0」と「1」をスイッチのON/OFFに対応させて処理している。

100% Pure Java

100% Pure Javaとは、Sun Microsystems社がJava言語で開発されたアプリケーションに対して行なっている認定プログラムで、特定のOSの機能などを使用せず、どのような環境でも動作することを保証したもの。

 Javaには各OSの独自機能を呼び出す仕組みなどが用意されているが、100% Pure Javaでは、このようなOS依存の機能を一切使用せず、あらゆるプラットフォームで使用できる純粋なJava APIのみを使用することが要求される。また、OSによって異なる定数をベースにした実装なども禁止されている。

 100% Pure Javaに認定されたソフトは、Javaの実行環境が用意されたどのようなOSやハードでも同様に動作するとされる。ただし実際には、Javaの実行環境自体が、OSや開発元によって微妙に振る舞いが異なったりするため、寸分たがわずまったく同じ挙動を示すことを期待できるわけではない。

ローミング 【roaming】

ローミングとは、契約している通信事業者のサービスを、その事業者のサービス範囲外でも、提携している他の事業者の設備を利用して受けられるようにすること。また、そのようなサービス。インターネット接続サービスや携帯電話などで提供されている。国際ローミングサービスを利用すると海外でも現地の事業者の設備を使ってサービスを受けることができる。

ローカルループ 【local loop】

ローカルループとは、加入者宅と最寄りの電話局を接続している電話回線のこと。大手電話会社が引き込む場合がほとんどで、従来はローカルループを利用したサービスの提供は引き込みを行なった電話会社しか利用できなかった。しかし、現在ではローカルループ設備の開放が進み、別の事業者が従来の電話サービスと併用できる形でADSLなどの通信サービスを提供できるようになりつつある。一方で、無線を利用してローカルループを経由せずに加入者宅と基地局を結ぶ通信サービスも提供され始めており、この場合の加入者宅と基地局を結ぶ無線設備を「ワイヤレスローカルループ」(WLL)と呼んでいる。

ルータタイプ 【router type】

ルータタイプとは、無線LANアクセスポイントのうち、ルーティング機能やNAT機能などにより、WAN側とLAN側の異なるネットワークを接続するブロードバンドルータ機能を備えたもの。単純な接続機能のみを持つ「ブリッジタイプ」に、ブロードバンドルータの機能を持たせたものともいえる。

 現在市販されている家庭用無線LAN対応ブロードバンドルータには、ルータタイプとして使用するか、ブリッジタイプとして使用するかをソフトウェアで切り替えられるようになっているものが多い。また、Ethernetのポートが複数付属しているものも多く、小規模であれば、有線と無線の両環境を1つのルータで実現できるようになっており、ブリッジタイプのアクセスポイントを別途用意する必要がないようになっている。

 二階建ての家屋など多少規模が大きいエリア内で有線+無線LAN環境を構築する際には、ブリッジタイプのアクセスポイントを増設することで複雑な配線作業をせずに手軽にLANの規模を拡大することができるようになる。

 ルータタイプの無線LANアクセスポイントではルーティング機能や、NAT機能、アクセス制限などブリッジタイプと比べて多くの機能を有しており、それらの個々の機能の設定はソフトウェアで行えるようになっており、LAN側に接続されているパソコンからルータにアクセスして、Webブラウザなどを利用して一元的に設定・管理できるようになっている。

流合雑音 【streamed noise】

流合雑音とは、CATV回線網で、基幹回線にノイズが集中する現象。家庭からCATV会社に向かう「上り」方向の通信において発生する現象で、インターネット接続サービスなどの双方向性を持ったサービスの妨げとなる。CATVの回線は幹線から各家庭へ支線が伸びる構造になっているため、各家庭で発生したノイズは全て幹線に集まることになる。ノイズの発生する原因は家庭内電化製品や短波無線、中間増幅器の高熱化などがあり、一つ一つは些細なものだが、累積した結果、巨大なノイズとなって監視装置の誤作動やインターネット接続の不安定化などを招くことがある。CATVのデータ通信ではよく知られた問題であり、中間増幅器での補正や、上り方向と下り方向の切り離しなど、対策手段も様々に講じられている。

リソースBOD

リソースBODとは、ISDNの通信速度変化技術であるBODの一種で、2本あるBチャネルの1本を必要に応じてデータ通信とアナログ通信とに使い分ける技術。

 通常はBチャネルを2本とも使って128Kbpsでのデータ通信をしているが、ルータやTAのアナログポートが着信を受ける(電話やファックスがかかってくる)と、1本をアナログ通話用に明け渡して、データ通信は64Kbpsに速度を落とす。そして、アナログ通話が終了すると、再び2本ともデータ通信に使って128Kbpsの速度に戻す。また、こちらから電話やファックスをかける場合にも同様の動作が行われる。

 単にBチャネルを2本使ってデータ通信をしている場合、通信中に電話やファックスを使うことができないという問題があるが、リソースBODを用いることで、普段は128Kbpsで通信をしながら、通信中に電話やファックスを利用することが可能になるわけである。

 なお、この機能を利用するためにはTAやルータが対応していることに加えて、NTTの通信中着信通知サービスに加入しておく必要がある。

ラストワンマイル 【last one mile】

ラストワンマイルとは、通信サービスの加入者宅から、最寄りの電話局までの回線のこと。「ファーストワンマイル」も同じものを指し、ユーザ重視の姿勢を打ち出す企業が増加するにつれて用語が変化しつつある。

 日本では、ラストワンマイルの回線はほとんどが電話回線であり、NTT地域会社がほぼ独占している。基幹部と比べて通信環境の改善が難しいため、高速通信の需要が増えるにつれて、低速な通信速度や高額な通信料金がボトルネックになると問題視されている。

 この状態を改善するために、無線LANやFWAなどの無線通信技術により、NTT地域会社が独占するメタル線を回避する通信サービスや、CATVの同軸ケーブルをインターネット接続や電話サービスに利用するケーブルテレビ局、加入者宅に自前の光ファイバーを引きこむ通信事業者などが現れている。

 また、NTTのメタル線を利用したサービスでも、主配電盤(MDF)接続が解禁されたことにより高周波のデジタル信号で高速な常時接続を実現するADSLが実用化され、多数の新興企業が参入した。

ユニバーサルサービス料 【universal service fee】

ユニバーサルサービス料とは、NTT地域会社(東日本・西日本)が全国一律の電話サービスを維持するために各通信事業者が拠出する負担金を、その事業者の通信サービスの加入者の料金に転嫁したもの。ほとんどの通信事業者が2007年1月から徴収を開始しており、金額は1電話番号につき月額7円。

 NTT東日本とNTT西日本が基本的な通信サービスを全国一律に提供するため、過疎地など採算性の低い地域で生じる赤字を他の通信事業者が拠出した資金で賄う仕組みを「ユニバーサルサービス基金」制度(正式には基礎的電気通信役務基金制度)という。2002年6月に導入され、2006年に初めてNTT東西が制度の利用を申請した。

 負担金を拠出する電話会社は、NTT東西の電話網と接続している会社で、前年度の電話事業の収益が10億円以上あり、総務省から電話番号の割り当てを受けて利用者にこれを使わせている事業者である。事業者が自らこれを負担しても良いが、ほとんどの事業者は利用者に制度の趣旨を説明した上で、利用料金に上乗せして徴収することにした。集められた負担金は「基礎的電気通信役務支援機関」に指定された社団法人電気通信事業者協会(TCA)を通じて、NTT東日本・西日本に支払われる。

ユニバーサルサービス基金 【universal service fund】

ユニバーサルサービス基金とは、NTT地域会社(東日本・西日本)が全国一律の電話サービスを維持するため、過疎地など採算性の低い地域で生じる赤字を他の通信事業者が拠出した資金で賄う仕組み。2002年6月に導入され、2006年に初めてNTT東西が制度の利用を申請した。

 加入電話、公衆電話、110番や119番などの緊急通報の3つの基本的な通信サービスは「ユニバーサルサービス」と位置付けられ、NTT東日本と西日本は日本全国で均一の条件でこれを提供することが義務付けられている。これまではNTT東西の負担によってこれを維持してきたが、通信自由化や新しい通信サービスの登場、主に都市部における競争の激化などにより、不採算地域でのユニバーサルサービスの維持が難しくなる懸念が出てきた。このため、不採算地域でのこれらサービス維持のためのコストをすべての電話会社で応分に負担するのが、ユニバーサルサービス基金である。

 ユニバーサルサービス基金の負担金を拠出する電話会社は、NTT東西の電話網と接続している会社で、前年度の電話事業の収益が10億円以上あり、総務省から電話番号の割り当てを受けて利用者にこれを使わせている事業者である。負担金の額は、2007年1月から電話番号1つにつき月額7円と決まった。これら負担金は「基礎的電気通信役務支援機関」に指定された社団法人電気通信事業者協会(TCA)を通じて、NTT東日本・西日本に支払われる。

ユニバーサルサービス 【universal service】

ユニバーサルサービスとは、全国どこでも一律にほぼ同じ価格や条件で利用できるサービスのこと。生活に不可欠なサービスとして、国民全般に公平かつ安定的に提供されるべきサービスを指す。国によって何がユニバーサルサービスとみなされるかは異なるが、多くの国では電気や水道、電話、郵便、放送などがこれにあたる。

 サービスの提供主体は国や自治体の機関であることが多いが、先進国では経済の自由化が進むとともに、事業主体が民営化されたり、事業が民間に開放される例が増えている。企業などが事業主体となる場合には、合理化や営利のために地域によってサービス内容や価格に著しい格差が生じないよう、特別な法律により規制が行なわれることが多い。日本でも、旧電電公社の民営化や郵政民営化に際し、ユニバーサルサービスの維持に関する議論が大きく注目された。

2009年11月20日金曜日

モデム 【MODEM】

モデムとは、「変復調装置」の略。コンピュータから送られてくるデジタルデータを音声信号に変換して電話回線に流したり、電話回線を通じて聞こえてくる音声信号をデジタルデータに変換したりする。加入者 →電話局方向とその逆の通信速度が同じである上下対称型では33.6kbps、両者で通信速度が異なる上下非対称型では56kbps(下流)が最高通信速度。

モジュラージャック 【modular jack】

モジュラージャックとは、電話線などの接続に用いられるコネクタ。プラスチック製のプラグにツメが付いた形をしており、簡単に脱着できて抜け落ちにくい。そのため、モデムやLANの接続など、様々な用途に用いられている。最近の家庭内電話線差し込み口は、大半がこの形である。モジュラージャックには6極2芯、6極4芯など何種類かあり、アナログ電話回線などには6極2芯、LANケーブル・コネクタなどには8極8芯が用いられる。モジュラージャックの普及により、工事資格を持たなくとも消費者が気軽に屋内配線を行えるようになった。

モジュラ 【modular】

モジュラとは、電話・FAX・モデムを接続するためのケーブルやジャック(端子)のこと。

 モジュラケーブルには、EIA/TIA-56S規格で定められたカテゴリ1のUTPケーブルが使用される。

 モジュラジャックはUTPケーブル、電話、FAX、モデムなどを接続する際に使用するプラスチック製のコネクタ。電話に使用されるものは4~6端子(6極2芯、6極4芯の「RJ-11」)、LANケーブルや構内電話(PBX)などに使用されるものは8端子(8極8芯の「RJ-45」)のコネクタである。

メディアコンバータ 【media converter】

メディアコンバータとは、異なる伝送媒体(例えば光ファイバーと銅線ケーブル)を接続し、信号を相互に変換する装置。銅線を流れてきた信号を光ファイバーに変換して、Ethernetを数10キロにわたって長距離伝送する製品などがある。これを利用すれば、すでに普及が進み安価に導入可能なEthernet製品を利用して光ファイバーによるインターネットアクセスが可能となるため、FTTHの安価な提供が可能になる装置として注目されている。

メッセージエリア 【message area】

メッセージエリアとは、電話料金算出の際に使用する地域の区分単位のこと。同一メッセージエリアに属する加入者同士での通話が、いわゆる「市内通話」として扱われる。

 メッセージエリアは一般的には一つから数個の自治体(市町村)ごとに設定され、一つの自治体が複数のメッセージエリアに分割されることは稀である。原則として一つのメッセージエリアにつき一つの市外局番が用意されるが、一つのメッセージエリアが複数の市外局番を持ったり、逆に一つの市外局番が複数のメッセージエリアにまたがっていることもある。

メガキャリア 【mega carrier】

メガキャリアとは、100万回線を超える顧客規模を抱える巨大通信事業者。複数の大手通信事業者が連合して、一体となってサービスを提供している場合もある。通信市場の競争激化に伴って、先進各国のキャリア同士が合併・提携し、メガキャリアを形成して経営体質の強化を図るケースが増えている。

マルチリンクプロトコル 【multi-link protocol】

マルチリンクプロトコルとは、複数の通信回線を同時並行で用いることにより通信速度を高める技術。日本では一般に、1回線64KbpsのISDN(INS ネット64)回線を2本束ねて128kbpsで通信することをマルチリンクプロトコル接続(MP接続)と読んでいる。

 ただし、本来のマルチリンクプロトコルの語義はISDN に限ったものではなく、複数の回線を束ねた系一般について使われる語である。

 例えば、郵政省通信総合研究所が開発した、64kbpsのPHS(PIAFS)回線を6回線束ねた384kbpsの通信システムもマルチリンクプロトコル接続である。

 マルチリンクプロトコルはユーザ側のターミナルアダプタやダイヤルアップルータなどのネットワーク端末が対応している必要があり、さらに、公衆サービスの場合はプロバイダ側もマルチリンクプロトコル接続に対応していなければならない。

 例えば、NTT東西地域会社がサービスを提供しているフレッツISDNではマルチリンクプロトコル接続を許可していないため、ユーザはISDN回線を有していながら常時、1回線分の64kbpsでしか接続できない。

マイラインプラス 【myline plus】

マイラインプラスとは、電話会社事前選択システム「マイライン」の付加サービスで、利用する電話会社を登録することにより、識別番号を無視して常に同じ電話会社を利用するようにするサービス。

 識別番号をつけて電話をかけた場合は、電子音またはアナウンスが流れ、その後マイラインプラス登録した電話会社を経由して発信する。

 ACR等のアダプタを事実上無効にしてしまうため、電話会社にとっては固定客確保に適した方式となっている。このため、各電話会社ともマイラインプラス登録客の確保に熱心で、マイラインプラス登録によって割引サービス等を提供するなど、様々な特典を用意している。

 マイラインプラスに登録しても他の電話会社を利用することは可能だが、電話会社識別番号の直前に「122」を入力する(184/186と併用する時は「184/186+122」の順序になる)必要があり、単に識別番号をつければよいマイラインよりも操作が煩雑になる。

 マイラインプラスの登録はマイラインと同様に、「市内」「県内市外」「県外」「国際」の区分ごとに行える。また、月額の利用料もマイライン同様無料で、登録料もマイライン同様1回800円。

マイライン 【myline】

マイラインとは、利用する電話会社を登録することにより、識別番号をダイヤルしなくてもその会社を優先的に利用できるようにするサービス。

 電話会社の識別番号をダイヤルして通話を行なった場合には、その電話会社を利用することになる。また、LCRなどのアダプタをつけている場合は、登録に関わらずその機械の選んだ会社を利用することになる。

 登録は「市内」「県内市外」「県外」「国際」の4つの区分について、それぞれ行なうことができる。登録しなかった場合は、市内と県内市外がNTT東日本または西日本、県外がNTTコミュニケーションズが自動的に選択され、国際通話は識別番号による選択を行なう必要がある。

 従来は、単に電話番号をダイヤルするとNTT事業会社(東日本・西日本・コミュニケーションズ)のサービスを利用することになり、他の電話会社を利用するには「00xx」などの識別番号をダイヤルするか、自動的にこれを行なってくれるアダプタを設置する必要があった。

 マイラインを利用してあらかじめ利用する電話会社を登録することにより、こうした手順を踏むことなく、優先的に利用するサービスを選択できるようになる。これにより、どの電話会社を利用する場合でもダイヤル方法が同じになり、電話会社間の競争が活発になると期待されている。

 すでに、サービス開始直前の2001年初頭には、各電話会社の市内通話サービス参入や料金値下げが相次いでいる。マイラインは2001年1月10日に申し込み受付が始まり、本サービスは2001年5月1日に開始された。

ポートマッピング 【port mapping】

ポートマッピングとは、ブロードバンドルータなどが持つ機能の一つで、プロバイダなどから割り当てられたグローバルアドレスの特定ポートに対する接続要求を、特定のプライベートアドレスの特定のポートに自動的に転送する機能。内部のコンピュータを特定のサービスのサーバとして機能させるために利用する。一部のネットゲームやインスタントメッセンジャー、ファイル共有ソフトなどを利用するのに必要となる機能。

 ブロードバンドルータなどを利用して家庭内LANをインターネットに接続すると、インターネット上のアドレスであるグローバルIPアドレスはルータに割り当てられ、内部のパソコンなどにはルータが発行したプライベートIPアドレスが割り当てられることが多い。このとき、内部のコンピュータが外部のサーバなどに接続するのはNATやIPマスカレードなどにより可能だが、外部から内部のコンピュータに向かってアクセスすること(電話で言う着信にあたる動作)はできない。

 これではうまく利用できないソフトウェアがあるため、グローバルIPアドレスの特定のポートに外部から接続要求があると、自動的に内部のコンピュータの特定のポートに転送し、擬似的に内部のコンピュータへ外から接続できるような機能が提供されるようになった。これがポートマッピングである。ルータのどのポートをどのコンピュータのどのポートに転送するかはルータの設定画面などで指定する。

ホットスポットサービス 【hot spot service】

ホットスポットサービスとは、無線LANなどを介してインターネットに接続できる「ホットスポット」を提供するサービス全般のこと。商用・非商用、大規模展開・1ヶ所展開などの形態を問わず、ホットスポットを用意して開放するサービスは広くホットスポットサービスと呼ばれる。

ホットスポット 【hot spot】

ホットスポットとは、無線LANやBluetoothなどのアクセスポイントを設置し、無線でのインターネット接続サービスを不特定多数の利用者に提供している空間のこと。

 ISPなどが商用サービスとして提供する場合から、飲食店などが利用客に対して無料サービスとして提供する場合まで、その提供形態は多種多様である。

 ホットスポットは提供事業者ごとに対応している通信規格が異なるため、利用者側でホットスポット側と同じ通信規格をサポートした機器を用意して使用することになる。

 会員制ホットスポットサービスを利用する際には、現時点では各ホットスポットを提供している事業者と契約する必要がある。

 アメリカやヨーロッパを中心に事業者間のローミングの動きが出始めており、将来的には1つの事業者と契約すれば他の事業者のホットスポットも利用できるようになるものと期待されている。

 ホットスポットが提供され始めたのは無線LAN規格の一種であるIEEE 802.11bの普及が進み始めた2001年末頃である。その後、無線LANやBluetoothの普及と歩調を合わせる形で、ホットスポットは大都市圏を中心に増加する傾向にある。

 ちなみに、「ホットスポット」は以上のような意味で一般的に使用されているが、NTTコミュニケーションズの登録商標ともなっている(商標登録第4539387号)。

ポケットベル 【pocket bell】

ポケットベルとは、NTTが提供していたページャサービス。2001年1月には、旧NTTからサービスを引き継いだNTTドコモが「ポケットベル」から「クイックキャスト」に名称を変更している。

 ページャとは小型の液晶端末にデータを送信する移動通信システムで、電話を使って相手のページャの番号をかけることで、相手のページャ端末で着信音を鳴らしたり、振動させたり、簡単な文字メッセージを送ったりすることができる。「ポケベル」「ポケットベル」は同社のページャサービスの商標だが、ページャを意味する一般名詞として定着した。

 電電公社(当時)が1968年に東京23区でサービスを開始したのが始まりで、1995年3月の端末買い取り制度の導入とともに、急速な普及が始まり低価格化が進んだ。特に女子高生のコミュニケーションツールとして爆発的に普及し、社会現象として注目を集めた。日本で広く一般に普及した初めての携帯通信機器である。

 しかし、1996~97年から携帯電話とPHSの急速な普及・低価格化が始まり、わずか数年で携帯通信機器の主役の座を追われることとなった。NTTドコモは2004年6月30日で新規受付を終了、「ポケットベル」サービスは普及が始まって10年と経たずにその歴史に幕を閉じることとなった。

ボイスワープ

ボイスワープとは、NTT地域会社(東日本・西日本)のサービスの一つで、かかってきた電話をあらかじめ指定した電話番号へ転送するサービス。

 通話者の操作を経ずに自動的に転送を行なう自動転送と、いったん受けた電話をフックして転送先の番号をダイヤルして転送を行なう応答後転送のどちらかが選べる。

 自動転送ではさらに、転送元の電話を呼び出さずにいきなり転送する無条件転送と、何度か呼び出して応答がない場合に転送する無応答時転送の2種類が選べる。

 月額利用料金は、NTT東日本が住宅用650円、事務用950円、NTT西日本が住宅用500円、事務用800円。工事費は不要。通話料は、発信元から転送元までが発信元の負担で、転送元から転送先までは転送元(ボイスワープ契約者)の負担となる。

ボイスモデム 【voice modem】

ボイスモデムとは、データ通信と音声通信を同時に行なう機能を備えたモデム。ASVDとDSVDの二つの方式がある。国際電気通信連合(ITU)のV.34Q勧告により標準化されているASVDでは、ASVD対応モデム同士でデータ通信中に、モデムに接続された電話機で会話を行なうことができる。また、同V.70勧告 により標準化されているDSVDでは、DSVD対応モデム同士でデータ通信中に会話する際、データ通信速度を自動的に落として、音声をデジタル化して送受信する。

ボー 【baud】

ボーとは、アナログ通信回線における変復調速度の単位。モデムなどの通信機器が1秒間に何回変復調を行えるかを表す。通信速度とは異なる単位である。1回の変復調で2ビットのデータを転送できる300ボーモデムの通信速度は600bpsである。

ベストエフォート型 【best effort】

ベストエフォート型とは、サービスの品質(QoS)の保証がない通信ネットワーク、あるいは通信サービス。専用線接続サービスなどで使われる用語。

 品質の内容はサービスやネットワークの種類によって異なるが、最低限保証される通信速度や、メンテナンスや故障による中断時間が最大で1年間にどれくらい発生しうるか、送信したデータが確実に相手に届くかどうか、送信したデータが決められた時間以内に相手に届くかどうか、データに優先度をつけられるかどうか、セキュリティが確保されるかどうか、などがある。

 ギャランティ型(品質保証型)と比べて、サービス提供に必要な設備や人員が少なくてすみ、低コストでサービスを運営できるため、価格は低い。わずかな回線中断が多大な損失につながる企業の基幹回線や、常に一定の帯域を確保する必要がある動画配信などの用途には不向きである。例えばインターネットは全体としてはベストエフォート型のネットワークである。

ページャ 【pager】

ページャとは、小型の液晶端末にデータを送信する移動通信システム。日本では「ポケベル」という呼称が一般的だが、これは、NTTがつけた「ポケットベル」という商品名が縮まったもので、一般名詞としては本来「ページャ」が正しい。

 日本でのページャは、NTTの前身である電電公社が1968年に東京地区でサービスを開始したのが始まりである。当時のポケベルは電話から呼び出すと、音が鳴ったり振動するといった簡単な機能しかなかった。

 その後、1995年3月の端末買い取り制度の導入とともに、急速な普及が始まり、低価格化が進んだ。また、数字の列を文字に変換してメッセージが表示できるものや、インターネット経由で電子メールを受信できるものなど、機能も次第に進化していった。

 データの受信だけでなく送信も可能なページャを「双方向ページャ」、FM放送の電波の一部を利用してデータを送受信するページャを「FMページャ」という。しかし、PHSや携帯電話の急速な低価格化に伴い近年は加入者が激減、最大手の東京テレメッセージは1999年5月に会社更正法適用を申請し、事実上倒産した。

ブロードバンドルータ 【broadband router】

ブロードバンドルータとは、家庭などでADSLや光ファイバーなど高速な回線でインターネットに接続する際に使うルータ。

 WAN側のポートとしてEthernetポートを持ち、LAN側はEthernetやシリアルポートなどを備える。自らはメディア変換の機能を持たないことが多く、その場合は必ずADSLモデムや光終端装置などと一緒に使う。ADSLやFTTHの普及が本格化しているため、ADSLモデムやONUを内蔵した製品なども登場している。ダイヤルアップルータなどと同様に、LAN側のパソコンから利用できるDHCPサーバ機能やNAT機能(プライベートアドレス・グローバルアドレス相互の変換機能)を備えているものが多い。

 ブロードバンドルータの大きな特徴として、クライアントマシンに代わってPPPoE/PPPoAによる認証を行なう機能がある。ADSLでよく使われるPPPoE/PPPoAプロトコルは、ルータ機能を持たないADSLモデム(ブリッジモデム)では処理できないため、通常はパソコン側にPPPoE/PPPoA用の接続ソフトを用意する必要がある。しかし、ブロードバンドのPPPoE/PPPoA機能を使用すれば、この手間が省ける。

 また、ブリッジモデムのLAN側ポートは1つしかないが、ダイヤルアップルータ同様、ブロードバンドルータを介することで、複数のパソコンでADSL回線を共有できる。ブロードバンドルータは、NAT機能の性能によって、WAN側との接続の最大速度が制限される。この最大速度のことを「スループット」と呼ぶが、スループットがWAN側回線の速度より低い場合、実効速度低下の原因となってしまう。ブロードバンド回線のキャリアによっては、レンタルするADSLモデムにブロードバンドルータ機能が付属しているほか、市販のADSLモデムにも同様の機能が備わっているものが多い。

ブロードバンド 【broadband】

ブロードバンドとは、高速な通信回線の普及によって実現される次世代のコンピュータネットワークと、その上で提供される大容量のデータを活用した新たなサービス。光ファイバーやCATV、xDSLなどの有線通信技術や、FWA、IMT-2000といった無線通信技術を用いて実現される、概ね500kbps以上の通信回線がブロードバンドである。

 電話回線やISDN回線による数十kbpsの回線(ナローバンド)が主体の現在のインターネットにはない、様々な可能性が眠っているとされる。現状では実用にならない映像や音声など大容量のデータを使ったまったく新しいサービスが登場し、既存のサービスも映像や音声の力を得てまったく変わったものになると考えられている。

 各社の取り組みの差によってインターネット業界の勢力図も大きく塗り替えられると予想されるため、通信事業者や各種のサービス事業者、ポータルサイトなどのコンテンツ事業者は、こぞってブロードバンド時代に向けた投資を進めている。

フレームリレー 【frame relay】

フレームリレーとは、パケット通信方式の一つ。データをパケットと呼ばれる小さな単位に分割して送受信する。光ファイバなどの伝送手段の信頼性が向上したため、従来パケット通信に使われていたX.25という規格の誤り訂正手順を簡略化し、高速化を図ったもの。フレームリレーを利用した1.5Mbps以上のデータ通信サービスが各社により提供されている。

フレッツ・グループ 【FLET’S Group】

フレッツ・グループとは、NTT東日本・西日本が地域IP網を利用して提供しているVPNサービス。東日本では「フレッツ・グループアクセス」、西日本では「フレッツ・グループ」がサービス名称。

 同社の「フレッツ」シリーズ(Bフレッツ、フレッツADSL、フレッツISDNなど)の通信サービスのユーザが対象で、同社が運営する地域IP網でユーザ同士を結び付け、企業の拠点間でLANを相互に接続したり、ファイルの送受信や共通のサーバへのアクセスを可能とする。インターネットを介さずに接続されるため、インターネットVPNなどよりセキュリティが高いとされる。

フレッツ・ADSL 【FLET’S・ADSL】

フレッツ・ADSLとは、NTT地域会社(NTT東日本・西日本)が提供する、ADSL接続サービス。

 電話局までの回線を加入電話回線(いわゆる普通の電話回線)と共用するタイプと、フレッツ・ADSL専用の回線を使用するタイプが用意されており、専用回線を使用する方が月額使用料が高くなっている。

 フレッツ・ADSLとして提供されているサービスは3種類あり、下りの最高通信速度はそれぞれ12Mbps(モア)・8Mbps(8Mタイプ)・1.5Mbps(1.5Mタイプ)となっている。

 他のADSLサービスと同様、フレッツ・ADSLも通信速度が保証されないベストエフォート型サービスとして提供されているため、高速なコースを選んでも満足のいく速度が出なかったり、最悪の場合は全く利用できなかったりする場合がある。

 また、電話局までの回線が光化されている場合には、NTT地域会社に工事を依頼し、配線をメタル回線に変更する必要がある(有料)。

 フレッツ・ADSLはフレッツ・ISDNやBフレッツと同様に、プロバイダまでの接続回線のみを提供している。このため、ユーザは別にプロバイダと契約しなければインターネットには接続できない。プロバイダ間の乗り換えや一時的な切り替えは簡単に行なえる。

 フレッツ・ADSLではユーザ認証にPPPoEを使用しており、他のフレッツシリーズと同様、メールアドレス風の表記を使用して接続先のプロバイダとプロバイダのユーザ名を一括して処理するという方式が採用されている。

フレックスホン 【flex phone】

フレックスホンとは、NTT東日本・西日本のISDN(INSネット)の付加サービスの一つで、「INSキャッチホン」「通信中転送機能」「三者通話機能」「着信転送機能」の4つを組み合わせたもの。個別に申し込むことができる。価格はこれらのうち一つを申し込むと月額300円、残りの三つは一つ追加するごとに月額200円が追加される。

 INSキャッチホンはアナログ電話で「キャッチホン」として知られていたサービスのISDN版で、通話中にかかってきた別の着信に応答する機能である。通話中転送機能は通話している相手を通話状態のまま別の番号に転送する機能である。三者通話機能は通信中に別の番号に発信して、三者で通話する機能である。三社が同時に話せるミキシングモードと、相手を切り替えて個別に話す切替モードがある。着信転送機能は、かかってきた着信を別の番号に転送する機能である。

ブリッジタイプ 【bridge type】

ブリッジタイプとは、無線LANアクセスポイントのうち、WAN側とLAN側の異なるネットワークを接続するルータ機能を持たないもの。

 同一LAN内で有線(Ethernetなど)から無線へ中継(ブリッジ)することからこの名前が付いている。機能的にはスイッチングハブ(LANスイッチ)に近いものといえる。ブリッジタイプの無線LANアクセスポイントは、すでに有線で設置してあるLAN内に無線LAN接続環境を追加する場合に使われる。

 現在市販されている家庭用無線LAN対応ブロードバンドルータには、Ethernetのポートが複数付属しているものが多く、小規模の場合は有線と無線の両環境を1つのルータで実現できるようになっており、専用のブリッジタイプのアクセスポイントを用意する必要はあまりない。

 二階建ての家屋など多少規模が大きいエリア内で有線無線両用のLAN環境を構築する際には専用のブリッジタイプのアクセスポイントを利用することで複雑な配線作業をせずに手軽にこれらの環境を構築することができる。

 また、現在市販されている家庭用無線LAN対応ブロードバンドルータでは、ブロードバンドルータとして使用するか、ブリッジタイプとして使用するかをソフトウェアで切り替えられるようになっているものが多い。

輻輳 【crowding】

輻輳とは、ものが一ヶ所に集中して混雑している状態のこと。IT分野では、電話回線やインターネット回線において利用者のアクセスが特定の宛先に集中することにより、通常行えるはずの通話・通信ができなくなる状況を指す。俗に「回線がパンクする」と表現される状態。

 輻輳が生じる主な原因は大地震や強い台風など大災害が発生した際に、災害発生地における住民の安否確認や、人気のチケットや製品を予約をする際の予約開始日などに予約が集中することで回線が処理できる許容量をオーバーするためである。携帯電話では、年末年始のあいさつや、コンサートや花火大会、祭りなど大勢の人数が集まるイベント、大都市のラッシュアワー時、天候の急変時など一般電話に比べてトラフィックの変動が激しく輻輳を発生する危険性が高い。

 輻輳が発生している状況で電話をかけると、「お客様のおかけになった電話は大変混みあってかかりにくくなっております」などの音声メッセージが流れて回線に接続されない状態におかれる。携帯電話の場合は、「しばらくお待ちください」といったメッセージが携帯の画面に表示される。インターネットではブラウザに接続できない旨のメッセージが表示される。たいていの場合は、輻輳が発生する以前のまだ余裕のある段階で上記メッセージを流してアクセスを制限し、機器の故障などを回避する対策がとられている。

 インターネットではアクセス先に接続できないと、再度接続確認、接続作業を自動で試みる機能を備えているため、輻輳の状況をさらに悪化させてしまう可能性がある。この悪循環により輻輳の状態が最悪化することを「輻輳崩壊」と呼ぶ。この事態を避けるために通信機器はスロースタートや輻輳回避などの様々な機能を備えている。

ピンポン伝送方式 【ping-pong transmission system】

ピンポン伝送方式とは、NTT地域会社(東日本・西日本)のISDN通信サービス「INSネット64」で採用されている伝送方式。時分割制御伝送方式(TCM : Time Compression Multiplexing)とも呼ばれる。

 デジタル信号により送受信を行なう場合、通常2対のメタル線を必要とするところ、送信パルス列を時間圧縮して送出し、生じる空き時間に反対方向からのパルス列を受信することで1対のメタル線で双方向伝送を実現している。

 日本においてADSLサービス導入を検証する過程で、この切り替えのタイミングでISDN回線から発生するエコーが並走するADSL回線にノイズとして影響を与え、伝送効率を落とすということが問題になった。

ビデオテックス 【videotex】

ビデオテックスとは、1980年代中頃に登場した、電話回線を通じて文字や静止画を送受信する情報システムの規格。北米のNAPLPS方式、ヨーロッパのCEPT方式、日本のCAPTAIN方式の3種類が規格として定められている。加入者はテレビにセットされた専用の端末を電話回線につないで情報センターに接続し、対話型の情報サービスを受けることができる。日本では1984年にNTTがCAPTAIN方式によるサービスを開始し、チケット予約やショッピング、株式市況、気象情報などのサービスが提供されたが、技術が未成熟だったのと、端末が高価な割りに魅力あるサービスが提供されなかったため、ほとんど普及しなかった。ビデオテックスサービスで世界でほぼ唯一成功したのは、フランスの「テレテル」サービスであると言われる。

ひかり電話

ひかり電話とは、NTT東日本・西日本が提供する光ファイバー通信サービス「Bフレッツ」を利用したIP電話サービス。メタル回線(電話線)を引かなくてもインターネット接続サービスと一般電話サービスの両方を受けられる。

 通常のADSL回線のIP電話は、電話番号は050で始まるIP電話専用の電話番号になってしまったり、110番や119番などへの緊急通報を利用することができないなどのデメリットがあった。しかし、ひかり電話は現在利用している一般加入電話番号をひかり電話で利用できることができ、また緊急電話への発信もできるなど、ほぼ固定電話と機能が変わらなくなっている。ただし停電時には、固定電話の場合、通話に必要な電源は電話線を通じて供給されるため停電でも利用できることが多いが、ひかり電話では利用できない。

 ひかり電話は、高速で非常に安定している光回線を利用するため、固定電話と同等の通話品質を実現できるようになった。050番号のIP電話でありがちな、音声がおかしくなる、途切れるなどの現象はほぼなくなった。

 050番号のIP電話では同じIP電話サービスの利用者同士などで通話をすると、通話料が無料になるケースがあるが、ひかり電話では、ひかり電話同士で通話をしても、無料にならず、固定電話へかけたときと同じ通話料が発生する。

光収容

光収容とは、加入者宅とNTT電話局の間の回線の一部に光ファイバーが使用されていること。比較的新しいビルなどでは、電話局からビルまでを光ファイバーで結び、ビルの中がメタル回線になっている場合がある。ADSLは全経路メタル線であることを前提にした技術のため、途中に光ファイバーが入っていると使用できない。

 ADSLは音声通話帯域よりも高い周波数帯域をデジタル情報伝送に利用する技術だが、光ケーブルでの音声伝送は、その高い周波数帯域の伝送を想定しておらず、光収容の際には不用帯域としてカットされてしまう。このため、伝送路の途中や電話局側末端で光収容されている加入者回線は、ADSL信号を透過させることができず通信が成立しない。

 光収容加入者は、空いているメタル回線があった場合にのみ、収容替え工事をした後で、ADSLの工事が可能である。しかし、マンションなどの集合住宅で主配線盤に光ケーブルのみが引き込まれているなど、切り替えが不可能でADSLが利用できない場合もある。2000年代に入り、幹線部分のメタル通信線路の新設が停止されているため、光収容加入者はさらに増加するものと考えられる。

 ただし、都市部などでは、以前より普及しているCATVのインターネットサービスや、2004年辺りからの光ファイバー回線(FTTH/FTTx)の本格的普及により、ブロードバンド回線が引けない問題はおおむね解消されつつあるといえるが、集合住宅など、一部には依然としてその問題は残っている。

光IP電話 【optical IP telephony】

光IP電話とは、光ファイバー回線を利用したIP電話サービス。音声をデータに変換して、光ファイバーを使って相手と送受信することにより通話を行なう。

 引っ越し先で電話回線を引いていない場合などは、メタル回線を申し込まなくても光ファイバー回線のみでインターネット接続サービスと加入電話サービスが受けられ、料金プランなどによってはADSLなどを利用するより高速で安価に通信サービスが利用できる場合もある。

 ADSLなどを利用したIP電話は電話番号が「050」から始まるIP電話専用の電話番号になってしまったり、110番や119番などへの緊急通報を利用することができないなどのデメリットがあった。しかし、光IP電話は現在利用している「03」「06」などで始まる一般加入電話番号を光IP電話にそのまま引き継いで利用することができる。緊急電話への発信もでき、音質も良く、通常の加入電話サービスとほとんど大差なく利用できる。

 光IP電話サービスには、NTT東日本・西日本が提供している「ひかり電話」や、KDDIが提供している「光プラス電話」、ソフトバンクが提供する「Yahoo!BB 光」などがある。

ひかりone

ひかりoneとは、KDDIが東京電力の光ファイバーネットワークを利用して提供している、家庭向けの高速データ通信サービス。インターネット、IP電話、テレビなどのサービスを利用できる。従来の「光プラス」サービスを2006年6月にリニューアルしたもの。

 家庭まで光ファイバーを引き込んで高速・大容量のデータ通信を利用するFTTHサービスで、東京電力の光ファイバーを利用して関東圏の一戸建て住宅(および集合住宅の3階以下)に提供する「ひかりoneホーム」、NTTのダークファイバーなどを利用して全国主要都市の集合住宅に提供する「ひかりoneマンション」の2タイプがある。

 ひかりoneホームは最大100Mbpsの通信が可能で、提携プロバイダによるインターネット接続サービス、番号や緊急通報などの機能が通常の電話とほぼ変わらない低料金のIP電話サービス、最大30の専門チャンネルやビデオオンデマンド(VOD)、カラオケなどが視聴できるTVサービスの3つが利用できる「トリプルプレイ」サービスとなっている。ひかりoneマンションはマンションなど集合住宅向けのサービスで、建物まで光ファイバーを、屋内はVDSLやEthernet LANで配線することで最大100Mbpsのインターネット接続サービスを利用できる。

ハドソン課金

ハドソン課金とは、電話料金の課金方式の一つで、「10秒で何円」という具合に、単位通話秒数あたりの料金を設定する方式。アメリカのハドソン博士が提唱したためこのように呼ばれる。

 通話時間に応じて細かく料金が変動するため、料金が高額になりがちな国際電話や、一部の国の市外通話で採用されている。しかし、短時間通話の通話料が低くなるため、安価な市内通話には向かない課金方式である。例えば、単位秒数が10秒の場合、10秒ごとに一定料金が加算されていく。国際電話の場合、加算されていく料金は通話先の国・地域ごとに設定される。

 これに対し、市内通話などに見られる「10円で何分」という単位料金を設定する課金方式は「カールソン課金」と呼ばれる。市内通話はカールソン課金が主流だったが、KDD(当時)が「6秒1円」というハドソン課金方式で市内通話サービスに参入し、話題となった(その後同社の課金方式は修正され、純粋なハドソン課金ではなくなっている)。

バックボーン 【backbone】

バックボーンとは、通信事業者間を結ぶ大容量の基幹通信回線。インターネットサービスプロバイダ内の接続拠点間を結ぶ回線や、プロバイダと他のプロバイダやIX(事業者間相互接続ポイント)を結ぶ回線のこと。光ファイバーを用いたNTTの専用線サービスが用いられているが、特に大容量での接続が求められる大手プロバイダとIX間の接続など、基幹部の接続にはGigabit EthernetなどのLANが使われていることもある。インターネット接続を行なう家庭の増加や高速通信の普及に対応するため、各プロバイダのバックボーンは頻繁に増強されている。

パソコン通信 【personal computer communication】

パソコン通信とは、ホストコンピュータとパソコンを電話回線で接続し、情報をやり取りするサービス。

 会員間での電子メールの送受信や電子掲示板、ファイルアーカイブなどの機能を持つが、基本的にはやりとりは文字データのみで、画像は表示されない(あるいは限定的な利用に限られている)ものがほとんどである。

 ホストとクライアントを電話回線で直接接続するため、インターネットと違ってモデムがあればプロバイダとの契約は必要ないが、ほとんどのパソコン通信ネットでは入会登録が必要である。

 企業が主催する商用(たいていは有料)のものと個人主催のものがあり、規模も数百万人の大規模なものから、数人のサークル内での情報交換に使われるプライベートなものまで、様々である。

 日本では、富士通・日商岩井の合弁(当時)のNIFTY SERVE(現@nifty)と、NECのPC-VAN(現BIGLOBE)の2大ネットがそれぞれ数百万人の会員を集め、活況を呈した。

 90年代中頃からのインターネットの急速な普及に伴い、ほとんどの商用サービスはインターネット接続サービスやインターネット上の情報サービスに移行した。

 しかし、@niftyのように、インターネット接続サービスやポータルサイトに事業を広めつつも、フォーラムなどパソコン通信時代以来の会員向けサービスを引き続き運営しているところもあり、コモディティ(日用品)化したネット関連サービスの差別化の要因ともなっている。

 個人主催のものも、インターネットに活動の場を移すものが多く、現在では相当に数が少なくなった。

パケット交換網 【packet exchange network】

パケット交換網とは、通信事業者が保有しているデータ通信専用の公衆回線網。データの転送にはパケット通信を利用する。企業の支店間のデータ通信などに利用されるパケット交換サービスは、この回線網で提供される。

パケット交換サービス 【packet exchange service】

パケット交換サービスとは、NTTやKDDなどが提供しているデータ通信サービス。データの転送にはパケット通信を利用する。企業の支店間のデータ通信などに利用される。通信時間ではなく転送したデータ量(パケット数)に応じて課金する方式が一般的。国内ではNTTがDDX-PやDDX-TP、INS-Pなどのサービスを、KDDがVENUS-Pというサービスを提供している。

πシステム 【pi system】

πシステムとは、光ファイバーと銅線を組み合わせた加入者系アクセスシステム。NTTがFTTHを実現するまでのつなぎの技術として開発したもの。

 基幹網の光ファイバー化が済んでいる地域において、加入者宅の近くの電柱に光・電気変換装置を置き、近所の10軒程度に対してその装置から銅線を繋ぎ通信を行なう方式である。それぞれの加入者の通信速度は144kbps程度といわれている。

 πシステムを用いることで、1本の光ファイバーや1つの光・電気変換装置を複数の家庭で共有して使うので、加入者宅まで光ファイバーを通すFTTHを一足飛びに整備するよりも、経済的に光ファイバー網の整備を行なうことができる。

 πシステムはまだまだ安いとは言えない光ファイバーケーブルや光・電気変換装置の価格が将来、安くなった時にFTTHをより簡単により早く普及できるようにするための過渡的なシステムとして導入されている。

日本電信電話会社法 【NTT法】

日本電信電話会社法とは、NTT(日本電信電話株式会社)およびNTT東西地域会社(東日本電信電話会社、西日本電信電話株式会社)の設立意図、業務内容などを定めた法律。1984年、電電公社民営化に際し「日本電信電話株式会社法」として制定され、現在までに数度の改正・改題を経ている。現在の正式名称は「日本電信電話株式会社等に関する法律」。

 主な改正・改題は以下の通り。

 1997年(改正および改題) 純粋持株会社であるNTTおよびNTT東西地域会社への移行に備えてのもので、地域会社の株式を100%保有する持株会社、都道府県内電気通信業務を担う地域会社の立場を規定している。1999年7月に従来のNTTは持株会社、地域会社2社と長距離通信・国際通信を主に手がけるNTTコミュニケーションズの4社に分離分割された。地域会社は国内における通信網の確保を担う責務から持株会社と同様、従来通りNTT法の規制下に置かれる特殊会社の扱いを受けることになったが、NTTコミュニケーションズは持株会社の全額出資ながらNTT法の規制の及ばない純粋民間会社として設立された。

 2001年(改正) NTT東西地域会社がインターネット上のサービスなど新たに業務範囲を拡大することを「地域電気通信業務等の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない」「電気通信事業の公正な競争の確保に支障を及ぼすおそれがない」という条件をクリアすれば、総務省が認可できるよう改められた。光ファイバーなど通信網の開放により他の通信事業者との競争を促進させることが目的である。また、総務省が指定した市場支配的な通信事業者(NTT東西地域会社やNTTドコモが含まれる)の他社との接続の際には接続料金の算定根拠の公表を定め、特定の事業者の優遇や差別を禁止した。

 2003年(改正) 全国均一の料金体系の元で通話サービスを実現する「ユニバーサルサービス」は旧NTT分割の際に大前提とされていたが、東西地域会社の経営体力に格差が生じつつあるため、経営環境の厳しいNTT西日本に対しNTT東日本から資金援助を行なうことができるよう改められた。

ナンバーディスプレイ 【number display】

ナンバーディスプレイとは、電話をかけてきた相手の電話番号が、電話に出る前に電話機などのディスプレイに表示されるサービス。NTT東日本・NTT西日本が電話加入者に提供している。

 利用するには申し込みの上、工事(2000円)を行なう必要があり、電話機等も対応してるものを用意する必要がある。月額料金は一般加入電話が400円(住宅用)/1200円(事務用)。ISDNのナンバーディスプレイであるINSナンバーディスプレイは、600円(住宅用)/1800円(事務用)。

 こちらが電話をかけたときに相手に番号を通知するかも選択することができる。通知に設定した場合でも先頭に「184」をつけてかければ非通知にすることができ、また、非通知に設定した場合は「186」をつけることで番号を通知することができる。

ナローバンド

ナローバンドとは、概ね128kbps以下の速度を持つ「低速な」通信回線のこと。特に、電話回線を通じたインターネットへのダイヤルアップ接続のこと。CATVインターネットやADSLなどの高速・大容量な回線を指す「ブロードバンド」の対義語として最近になって使われるようになった用語で、伝統的なアナログモデムやISDN回線などがこれに該当する。ADSLなどのブロードバンド接続が普及するにつれてナローバンドからの移行が進んでいる。しかし、全国どこでも利用できるナローバンド接続は依然として重要な通信インフラである。

ドライカッパー 【dry copper】

ドライカッパーとは、電話回線網を構成する(メタルケーブルの)加入者回線のうち、未使用の回線。自前の加入者回線網を持たないADSL事業者などが電話加入者に通信サービスを提供する際には、NTTなどからドライカッパーを借り受ける必要がある。

 回線を水道管になぞらえて、信号が流れていないことを「ドライ」(乾いた)と表現している。「カッパー」とは "copper" すなわち銅のこと。メタルファイバーが銅線であるためこのように呼ばれる。

 ちなみに、未使用の光ファイバー回線のことは「ダークファイバー」という。

ドミナント規制 【dominant carrier regulation】

ドミナント規制とは、一定以上のシェアを獲得した通信業者に対して、総務省が行なう規制。特定の企業によって市場が支配されることで、競争が正常に行なわれなくなることを防ぐ目的で適用される。

 携帯電話事業においては、端末台数シェアが25%を超えた企業は「第二種指定電気通信設備」を持つと見なされ、様々な規制が課されることになる。たとえば、接続約款を総務省に提出し、公表しなければならない。他の事業者は、その接続約款に対して、改善すべきと思われる点に関して意見書を提出することができ、接続約款によって規定された接続料が適正なものではないと総務省によって判断された場合には、その変更を命じられることもある。

 近年では、ツーカーセルラー・グループを買収したKDDI(au)や、NTTドコモがドミナント規制を適用された。NTTドコモは、端末台数シェアだけでなく、売上げシェアに関しても25%を超えているため、KDDIよりも強い規制が課されている。固定電話事業においてもドミナント規制は存在し、シェアが50%を超えた企業に対して、「第一種指定電気通信設備」を持つと見なされ、規制される。

都市型CATV 【city CATV】

都市型CATVとは、都市の情報通信基盤としてのCATVサービス。「10000以上の端子と5チャンネル以上の自主放送を持ち、双方向機能のあるCATV」と定義される。

 もともとCATVは山間部や離島などの電波状況が悪い地域への難視聴対策として設置されていた。しかし、1970年代には都市部でも高層ビルによる電波状況の悪化が起こるようになり、1983年の多チャンネルCATV認可によって、地上波の難視聴対策以外の目的を持ったCATV網が都市部で設置されるようになった。現在では、都市の地域情報の発信などを目的に、行政がCATV網の設置に協力する例も見られている。

 近年のインターネットの急激な普及・発達により、インターネット接続サービスを提供するCATVが都市部で急増している。CATV事業者は、月額数千円という低料金で、数Mbpsにも及ぶ大容量の常時接続サービスを提供し、電話回線によるアクセスでは飽き足らないヘビーユーザを中心に加入者を増やしている。

 また、都市の人口密度の高さや地域独占の事業形態を活かして電話サービスを提供する事業者も増えており、一回線で主要な放送・通信サービスをすべて提供する総合情報インフラとして注目を集めている。

特別第二種通信事業者 【special type II carrier】

特別第二種通信事業者とは、2004年3月まで電気通信事業法で定められていた通信事業者の分類の一つ。第一種通信事業者から回線を借りて通信サービスを行なう第二種通信事業者のうち、64Kbps回線換算で2000回線を超す規模、又は国際間専用線通信サービスを行なう事業者のこと。

 かつては1200bps回線換算で500回線以上という基準だったが、1996年6月に現在の基準に引き上げられた。この基準を満たさない事業者を一般第二種通信事業者という。特別第二種通信事業者は郵政大臣(後に総務大臣)への登録制。

電話加入権

電話加入権とは、加入電話を引くことができる権利で、NTT地域会社に「施設設置負担金」を支払った者に与えられる。

 施設設置負担金とは、NTT地域会社が電話インフラを整備するために必要となる資金の一部を加入者が負担する制度で、現在の金額は72,000円。これを支払った者には電話に加入する権利が与えられる。権利自体には正式には名称がないので、電話加入権というのは俗称である。

 電話加入権は譲渡や売買が可能で、解約した人から買い取って新規に引きたい人に売却する業者も存在する。このため、実際には72,000円よりも少ない額で加入権を手に入れることは可能である。

 2002年2月からは、負担金を支払う代わりに毎月の基本料金を数百円高めに設定した「ライトプラン」料金が加入電話とISDNに導入されており、最近ではこちらを選択する人が増えている。

 負担金制度はもともと、戦後復興期に電電公社(当時)が電信柱や電話線などのインフラを敷設していたときに、自己資金による整備では加入希望者の増加に追いつかなかったため、加入者に負担の一部を求めたものである。現在ではインフラ整備も一段落し、その必要性が薄れているため、廃止すべきではないかという議論もある。

電話会社 【telephone company】

電話会社とは、電話回線を利用した通信サービスを提供する企業。日本には、NTT傘下の通信事業会社(NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ)や、KDDI、日本テレコムなどの新電電、東京通信ネットワークなどの電力系通信会社などがある。

 1985年のNTT民営化までは、国の規制により国内通信はNTT(当時は電電公社)が、国際通信はKDDが独占してきた。1985年の通信自由化以降、長距離・国際分野を中心に新規参入が相次いだ。また、1995年頃からは携帯電話の爆発的な普及が始まり、数多くの携帯電話会社が設立された。

 近年ではNTT分割や一段の規制緩和、外資系有力企業の参入などにより通信業界の競争は激化しており、合併・買収(M&A)を伴う大規模な業界再編が進行中である。

 2000年のKDD、DDI、IDOの合併によるKDDIの設立により、国内の通信企業はNTT系、KDDI系、日本テレコム系の3大陣営にほぼ集約された。

 電力会社の持つ通信インフラを利用する電力系通信会社(東京電力傘下の東京通信ネットワークなど)や、ケーブルテレビの同軸ケーブルを利用して電話サービスを提供するケーブルテレビ会社など、従来の新電電などとは異なる形態の新規参入企業も増えている。

 インターネット接続環境が整うにつれ、固定電話あるいはパソコンからインターネットを経由して安価に通話サービスを提供する、いわゆる「インターネット電話」のサービスも国際電話を中心に盛んになってきており、インターネット電話サービスを提供する企業も広義の電話会社に含まれるようになりつつある。

電力線モデム 【PLCモデム】

電力線モデムとは、電力配線を使って通信を行なう電力線搬送通信(PLC)を行なう際に用いる通信装置。電力と通信用信号の重ね合わせや分離を行なう装置で、親装置と子装置とからなる。

 親装置は電柱などに配置され、バックボーンネットワークの光ファイバーと各戸への引込線の間をつなぐ。子装置は家庭内でコンセントに設置する装置で、パソコンなどの端末につないでデータ通信を行なう。

電力線インターネット 【power line Internet】

電力線インターネットとは、送電網を通信インフラとして利用するインターネット接続サービス。光ファイバーやADSLなどと共に、ブロードバンドインフラの一つとして注目されている。

 電力線に通信用の電気信号を流す電力線搬送通信(PLC)技術を使い、数Mbps~数百Mbpsの通信が可能とされている。電力会社の送電網をそのまま利用するため、新たに回線を敷設するコストや時間を節約することができる。また、家庭内の通信にも宅内の電気配線を利用すれば構内の配線の手間も省くことができ、手軽に利用することができる。

 電力線インターネットでは、街中の送電線に沿ってバックボーンネットワークとなる光ファイバー回線を敷設し、電柱などで家庭への引込線とPLCモデムを介して接続する。家庭では各部屋にあるコンセントにPLCモデムを設置し、パソコンなどとつないで利用する。PLCモデムは電力とデータ用信号を分離したり重ね合わせたりする。

 電力会社や通信機器メーカーなどが実用化に向けた試験などを行なっているが、電力線はもともと高い周波数の電気信号を流すことを想定していないため、漏洩電波がアマチュア無線などに深刻な影響を与えるのではないかとの指摘もあり、実用化できるかどうかは未知数の状況にある。

テレホタイム

テレホタイムとは、NTTの指定回線への定額料金メニュー「テレホーダイ」の対象時間である23時~翌8時のこと。電話回線・ISDN回線がインターネットへの主な接続手段だった頃、アクセスが集中した時間帯である。

 インターネットへの接続需要の高まりを受け、加入者の選んだ2つまでの電話番号への通話料金が夜23時~翌8時に限りいくらかけても毎月一定額になる料金プラン「テレホーダイ」が提供されるようになった。

 ヘビーユーザはこれを利用して、テレホーダイの時間に合わせてインターネットに接続してWeb閲覧やメールのやり取りをするようになったため、この時間帯にアクセスが集中し、プロバイダによってはテレホーダイの時間が始まるとつながりにくくなるなどの障害が発生した。

 また、深夜にネットを利用するために寝不足になり、社会生活に支障をきたすなどの事例が増え、社会問題化した。

 現在では、ヘビーユーザはADSLやCATV、FTTHなどの常時接続を利用するようになったため、深夜にトラフィックが集中する傾向も緩和され、「テレホタイム」という言葉も過去のものになりつつある。

テレホーダイ

テレホーダイとは、NTTの電話料金割引サービスの一つ。加入者の選んだ2つまでの電話番号への通話料金が、夜11時~朝8時に限りいくらかけても毎月一定額になる料金プランのこと。毎月一定時間以上同じ相手と通話する場合や、一定時間以上インターネットに接続する場合に通常料金よりも安くなる。同様のサービスに、NTTのISDN回線用の「INSテレホーダイ」がある。音声通話にもデータ通信にも使える。区域内用と隣接区域内用(区域内用よりも高額)があり、INSテレホーダイはさらに住宅用と事務用(住宅用より高額)に分かれている。料金は通常回線用の区域内用が月1800円、INSテレホーダイ住宅用の区域内用が2400円、事務用の区域内用が4600円、隣接区域内用は区域内用の倍の料金となっている。

データ圧縮プロトコル 【data compression protocol】

データ圧縮プロトコルとは、データを一定のルールに従って圧縮して送信し、受信側で圧縮を解除することによって、通信経路の能力を超えた速度での通信を可能にする通信手順。送信機器と受信機器が同じデータ圧縮プロトコルに対応している必要がある。主にアナログ回線(電話回線)などの低速回線で利用されており、V.42bisなどが代表的なデータ圧縮プロトコルである。

デジタル公衆電話 【digital public phone】

デジタル公衆電話とは、ISDN回線に接続された公衆電話。灰色の筐体に、端末接続口や液晶ディスプレイを備える。ISDN通信の可能な公衆電話。テレホンカードや硬貨を使って普通の公衆電話として使えるほか、コンピュータを接続してデータ通信を行なうことができる。また、液晶ディスプレイに操作方法を表示させることができ、英語による案内を表示させるなどの機能も持つ。

ディジタルアクセス64 【DA64】

ディジタルアクセス64とは、NTTが提供する通信速度64kbpsの低価格専用線サービス。アクセスポイントまでの距離を30kmまでに限定することで従来よりもコストを抑えた。提供される距離区分は15kmまでと30kmまでの2種類。この他にも、128kbpsのDA128、1.5MbpsのDA1500がある。

ディジタルアクセス 【DA】

ディジタルアクセスとは、NTTの低価格専用線サービス。アクセスポイントまでの距離を30kmまでに限定することで従来よりもコストを抑えた。提供される距離区分は15kmまでと30kmまでの2種類。通信速度が64kbpsのDA64、128kbpsのDA128、1.5MbpsのDA1500の3種類がある。

定額制 【flat rate】

定額制とは、通信サービスの課金方式の一つ。「月額3000円」などのように、利用時間の長さに関わらず常に一定の利用料金が課金される料金体系のこと。

 これに対し、「3分10円」などのように、利用時間に応じて課金される料金体系は従量制と呼ばれる。基本料金に一定時間分の利用料金を含み、超過した部分について従量で追加料金を課金される課金体系は「定額従量制」と呼ばれる。

 このほか、一定時間に満たない利用については従量制もしくは定額従量制を採用し、一定時間以上の利用についてはそれ以上いくら利用しても常に一定料金を課金する体系は「キャップ制」などと呼ばれる。

定額従量制

定額従量制とは、通信サービスの課金方式の一つ。「30時間まで月額3000円、それ以降は3分10円」などのように、基本料金に一定時間分の利用料金を含み、超過した部分について従量で追加料金を課金される料金体系のこと。

 「月額3000円」などのように、利用時間の長さに関わらず常に一定の利用料金が課金される定額制と、「3分10円」などのように、利用時間に応じて課金される従量制を組み合わせた料金体系。インターネットサービスプロバイダの接続料金や、携帯電話の通話料などがこのような課金体系を利用している。

 同じように定額制と従量制を組み合わせた料金体系に、一定時間に満たない利用については従量制もしくは定額従量制を採用し、一定時間以上の利用についてはそれ以上いくら利用しても常に一定料金を課金する「キャップ制」がある。

通信事業者 【キャリア】

通信事業者とは、通信サービスを提供する企業。日本の法律上の用語では「電気通信事業者」という。国内では、自前の設備を持ってサービスを提供する第一種通信事業者と、第一種事業者から設備を借りてサービスを提供する第二種通信事業者に大別される。第一種電気通信事業者にあたるのはNTT地域会社やKDDIなどの加入電話事業者、NTTドコモなどの携帯電話事業者、およびケーブルテレビ事業者などである。(専業の)インターネットサービスプロバイダの多くは第二種電気通信事業者としてサービスを提供している。

直収型固定電話サービス

直収型固定電話サービスとは、NTT東日本・西日本を介さずに利用者が直に個々の通信会社に加入する形の固定電話サービス。72,000円の施設設置負担金を支払う必要がなく、基本料金もNTT地域会社より安い。

 これまでNTT地域会社以外の通信会社が提供していた固定電話サービスは、NTT地域会社に加入している利用者に通話サービスのみ提供する形で、基本料金はNTT地域会社が徴収し、通話料を通信会社が徴収していた。

 直収型電話サービスでは、電話局と利用者宅を結ぶアクセス回線のうち空いているものを通信会社が借り受け、電話局間の幹線網や交換機も通信会社が用意した独自のものを利用する。加入者は通信会社に直接加入し、基本料金と通話料金を通信会社に支払う。NTT地域会社と契約するとき必要ないわゆる電話加入権(施設設置負担金)は必要ない。通信会社はこれまで加入者がNTT地域会社に支払っていた基本料金を自由に設定し、加入者から直接徴収することができる。また、発着信のたびにNTTに支払っていた接続料が必要なくなり、通話料をいっそう安く設定できるようになる。

 2003年7月に平成電電が初めて参入し、2004年後半にKDDIや日本テレコムなど大手が次々参入した。各社とも基本料金をNTT地域会社より安く設定しており、NTTは追従値下げに追い込まれている。

地域IP網 【regional IP network】

地域IP網とは、NTT東西地域会社が都道府県単位で用意した、電話局間を結ぶバックボーンIPネットワーク。フレッツ・ISDNやフレッツ・ADSL、Bフレッツといった常時接続サービスにおいて、加入者宅までのアクセス回線とインターネットサービスプロバイダの間の中継網に使われる。

 地域IP網は収容局同士を接続したIPネットワークで、電話回線網と異なり1本の回線に複数のデータを流すことができるため、回線効率がよく、コストを安く押さえることができるが、伝送速度が保証されないベストエフォート型の運用となっている。

 NTT法によって県間通信への進出が規制されているNTT東西地域会社は、都道府県の範囲内でIP網を整備してプロバイダと接続する形態を採用しているため、プロバイダ側からは県単位での接続となり、従来の市内単位のアクセスポイント開設に比べると設備投資が少なくて済むというメリットがある。

ターミナルアダプタ 【terminal adapter】

ターミナルアダプタとは、パソコンやモデム、アナログ電話、FAXなど、そのままではISDNに接続できない通信機器をISDNに接続するとき必要な信号変換機器。

ダブルスペクトラム 【double spectrum】

関連用語

* ADSL
* G.992.1 Annex I..
* サービス
* ITU
* G.992 Annex C..
* Hz
* 帯域
* NTT
* ユーザ
* Annex C

ダブルスペクトラムとは、ADSLの下り通信に使う周波数の上限を従来の2倍に広げ、下り通信を高速化する技術。G.992.1 Annex Iとして標準化され、2003年に各社が相次いで始めた20Mbps超のADSLサービスで採用されている。

 ITUが標準化した、日本向けのADSL技術の標準規格G.992 Annex Cでは、下り通信に138~1104kHzの帯域が使われる。ダブルスペクトラムでは138~2208kHzの帯域を使い、従来の約2倍にあたる28Mbps(理論上の最高速度)を実現する。商用サービスでは実効速度を考慮して「24M」「26M」などの名称が使われている。

 上限周波数を引き上げた分、従来より短い線路長で信号が減衰してしまうため、20Mbps超のサービスはNTT交換局に近いユーザ(概ね2km程度までと言われている)のみに提供され、中長距離のユーザは自動的にAnnex Cによる通信に切り替わるようになっている。

ダークファイバー 【dark fiber】

ダークファイバーとは、敷設されていながら稼動していない光ファイバーのこと。光ファイバーは数十本から数百本単位で敷設されるため、実際の運用では必要な分だけを稼動させ、残りはダークファイバーとして放置されている。2000年頃から世界的にダークファイバーを通信事業者間で貸し借りする動きが活発になっており、国内でも、2000年末に東京めたりっく通信がNTT東日本所有のダークファイバーに自社回線網を接続する協定を締結している。ダークファイバーの貸し出し料金は光ファイバー1本につき1km当たり月額10万円程度と、従来NTTなどが提供してきた専用線サービスと比べ圧倒的に安く、新規に参入する通信事業者でも利用が可能な水準になっている。

ダイヤルアップルータ 【dial-up router】

ダイヤルアップルータとは、公衆回線網を使ってインターネットサービスプロバイダにアクセスする機能と、LANに接続する機能をあわせ持った機器。LANに接続されたコンピュータからインターネットへの接続要求があると自動的に接続し、通信が終わると自動的に切断する。複数のコンピュータを、特別な設定をすることなく同時にインターネットに接続させることができる。公衆回線側はISDN回線に、LAN側はEthernetの10BASE-Tに対応したものが一般的で、専用線を導入してLANに接続したり、1台1台個別に電話回線などでインターネットに接続するよりも、手間がかからずコストを抑えることができる。

ダイヤルアップ 【dial-up】

ダイヤルアップとは、電話回線やISDN回線などの公衆回線を通じてインターネットや社内LANに接続すること。一般家庭からインターネットに接続する場合、パソコンにモデムやターミナルアダプタなどの機器を接続し、インターネットサービスプロバイダと呼ばれる業者に公衆回線を通じてダイヤルアップして、業者の保有する専用線を使ってインターネットに接続する。ダイヤルアップ接続に広く用いられているPPPはデータリンク層のプロトコルなので、TCP/IPやIPX/SPX、AppleTalk、NetBIOSなど、どんなプロトコルでも使うことができる。

タイムプラス

タイムプラスとは、NTTの電話料金割引サービスの一つ。NTT東日本とNTT西日本が提供している。加入電話の利用者が毎月200円のサービス料を支払うことにより、市内通話料が5分までごとに10円で利用できる月極の通話料金割引サービス。深夜・早朝帯(夜11時~翌朝8時)は7分までごとに10円になる。INSネット64及びINSネット64・ライトの契約者は、このサービスでなく「INSタイムプラス」というサービスを契約する必要がある。

第二種通信事業者 【type II carrier】

第二種通信事業者とは、2004年3月まで電気通信事業法で定められていた通信事業者の分類の一つ。第一種通信事業者から回線を借りて通信サービスを行なう事業者のこと。

 このうち、64Kbps回線換算で2000回線を超す規模、又は国際間専用線通信サービスを行なう事業者を特別第二種通信事業者、それ以外を一般第二種通信事業者という。かつては1200bps回線換算で500回線以上を使用する事業者を特別第二種通信事業者としていたが、1996年6月に現在の基準に引き上げられた。特別第二種通信事業者は郵政大臣(後に総務大臣)への登録制で、一般第二種通信事業者は同大臣への届出制。

第一種通信事業者 【type I carrier】

第一種通信事業者とは、2004年3月まで電気通信事業法で定められていた通信事業者の分類の一つ。自ら回線設備を保有して通信サービスを行なう事業者。第一種通信事業者から回線を借りて通信サービスを行なう事業者は第二種通信事業者という。

 かつてはNTTとKDDにしか回線設備の保有は認められていなかったが、1985年4月に自由化され、DDIや日本テレコムなどの新電電(NCC)各社が誕生した。第一種通信事業者は郵政大臣(後に総務大臣)の許可が必要で、外資規制がある。

ソフトウェアモデム 【software modem】

ソフトウェアモデムとは、コンピュータとアナログ通信回線を繋ぐモデム機能の一部を、コンピュータ本体で実行されるソフトウェアで肩代わりしているシステムのこと。処理をCPUに任せるために大幅に安価な製品を提供できる一方、遅いCPUを積んだコンピュータでは通信速度が遅くなったり、逆にモデム処理に足を引っ張られてコンピュータの動作が緩慢になったり、メーカーが対応ドライバを提供していないOSでは動作させられないといった欠点もある。

相互接続点 【POI】

相互接続点とは、各通信事業者が所有する回線の相互接続点のこと。保守作業などの切り分けを行なうポイントともなっている。専用線などの使用料金は、加入者宅からPOIまでのNTT回線に対する使用料と、POI以遠の通信事業者回線に対する使用料を合算したものとなっている。伝統的な長距離・国際音声通話においては、NTTと新電電のPOIは電話局内の交換機と基幹回線網の間だったが、通信事業者によるMDF(主配電盤)接続の解禁により、ADSLサービスなどの新しい通信サービスでは、MDFと交換機の間にPOIが設定できるようになった。

専用線 【lease line】

専用線とは、ある特定の2地点間を結ぶデータ通信専用の回線。専用線では電話回線のようにいろいろな所と通信することはできないが、料金は接続時間や通信料によらず定額である。専用線は企業内で支社間のネットワークを接続したり、インターネットに接続したりするのに使う。最も安いものでも月に数万円の料金がかかるため、専用線を個人で契約する人はあまりいない。

スループットBOD 【throughput Bandwidth On Demand】

スループットBODとは、ISDNの通信速度を動的に変化させるBOD技術の一種で、必要な通信速度に応じて使用するチャネル数を変化させる通信方式。

 ISDNでは1回線で64kbpsのBチャネルを2本まで利用することができる。通信量の増減に応じて自動的にチャネル数を切り替えて、滑らかに通信速度を増減させるのがスループットBODである。これに対し、通常は2チャネルで通信しておき、ターミナルアダプタにつないだ電話やFAXを利用する時だけ片方のチャネルを自動的に切断して開放する方式をリソースBODという。

スプリッタ 【splitter】

スプリッタとは、公衆電話回線網を使ってADSLによるデータ通信を行なう際に、音声信号とデータ信号とを分離する装置。

 ADSLでは音声信号とデータが同じ回線の中を流れてくるため、これをそれぞれ電話機とADSLモデムとに分けて届ける必要がある。

 具体的には、モジュラジャック(電話回線の端子)にスプリッタを接続し、そこから電話機とADSLモデムにそれぞれケーブルを繋ぐ構成になる。

 スプリッタを付けなかった場合、電話機とADSLモデムの両方にノイズが発生することがある。電話機以外にもFAXなどでも同様の問題が発生することがあり、原則としてADSLではモジュラジャックにスプリッタ以外の装置を接続してはならない。なお、NTT交換局内にも同様にスプリッタが接続されている。

スピーカーフォン 【speaker phone】

スピーカーフォンとは、スピーカーにマイクがついた電話機。パソコンや専用の装置に接続して電話会議などに利用する。

 離れたところにいる人と電話会議をする場合、一人一人が別の場所にいれば全員の通常の(個人用の)電話機を利用しても不都合は無いが、会議室間をつないで複数人同士で通話する場合には、同じ部屋にいる相手と電話で話をするような状況になってしまう。スピーカーフォンはこのようなとき使う装置で、スピーカーと集音マイクが組み合わさっているため、会議室などでテーブルの真ん中に置いて周囲にいる人が一緒に通話相手と電話することができる。

スーパーG3 【スーパーG3ファクシミリ】

スーパーG3とは、ITU-TS(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)が標準化したFAXの国際規格の一つで、アナログ電話回線用のもの。A4判原稿を1枚を最短で約3秒で伝送できる。業務用FAX機の多くがスーパーG3に対応している。

 読み取り解像度は水平・垂直ともにG3と同じ200dpiで、データはMMRまたはJBIG符号で圧縮される。伝送にはITU-TSのV.34勧告に対応したモデムを利用し、33600bps(33.6kbps)の通信速度でA4用紙1枚を約3秒で伝送できる。

2009年11月19日木曜日

ステルスコールバック 【stealth callback】

ステルスコールバックとは、コールバックの際にISDNの発信者番号通知機能を用いることで、通常のコールバック機能では必要な着信後のホストの認証を省略してコールバックする機能。通常のコールバックで必要なユーザ側の課金を省略することができる。

 ステルスコールバックを行なう際は、まず、通常のコールバックと同じようにホストに対して発信を行なう。このとき、ホストは着信拒否を行ない、番号通知によって得られたユーザの電話番号宛にダイヤルアップを行ない、コールバック接続される。ユーザ側はホスト側に一度も着信しない(コールするだけ)ため、ユーザ側に一切課金されることなくコールバックを行なうことができる。

 ステルスコールバックはメーカーにより「無課金コールバック」などと呼ばれることもあるが、基本的な機能は同一である。しかし、ステルスコールバックの規格は各社ごとにまちまちで統一されていない。このため、ステルスコールバックを行なうためにはホストが用いているTAと同じメーカー、同じ機種のTAを用いなければならないなどの制約が生じる。

情報料回収代行サービス

情報料回収代行サービスとは、情報提供者によるサービスの対価を電話会社やネットワークへ接続業者などが代行して利用者から徴収し、電話会社や接続業者が情報提供者に一括して支払うサービス。

 音声通話では「ダイヤルQ2」が有名ではあるが、インターネット上では情報提供サービスやシェアウェアの代金徴収、オンラインゲームの課金などといった用途で広く用いられている。

 ダイヤルQ2はNTTが1990年に始めたサービスで、音声通話を利用した情報提供サービスに対する情報料回収代行サービスである。「0990」で始まる電話番号をダイヤルすると通常の通話料に情報料が加えられた額が請求される。NTTが回収を代行する情報料はダイヤルごとに定額制か、3分あたり10円から300円の従量制で、情報料の9%および1電話番号あたりの一定額の手数料を差し引いた残額が情報提供者に対して支払われる。

 インターネットなどを利用した情報料回収代行サービスは、NTTドコモのiモード公式サイトなど、携帯電話への情報提供サービスなどで広く使われている。携帯電話で閲覧できる有料の情報提供サービスは、携帯電話会社(キャリア)が公式サイトに掲載した場合に限り情報料回収代行サービスを利用することができる。月々の電話料金の支払いに併せてユーザから徴収される。また、携帯電話に限らずインターネット接続プロバイダ(ISP)が情報料回収代行サービスを提供している場合もあり、情報料回収代行サービスを専門に行うプロバイダもある。

従量制 【measured rate】

従量制とは、通信サービスの課金方式の一つ。「3分10円」などのように、利用時間に応じて課金される料金体系のこと。

 これに対し、「月額3000円」などのように、利用時間の長さに関わらず常に一定の利用料金が課金される料金体系は定額制と呼ばれる。

 電話の通話料などは従量制(もしくはその変形)がほとんどである。電話料金では従量制の通話料のほかに月額固定の基本料金を払う必要があるが、インターネットの接続サービスなどで基本料金が必要ない従量課金体系を「完全従量制」などと呼んで区別する場合がある。

 基本料金に一定時間分の利用料金を含んでいる場合など、従量制と定額制の中間にあたる課金体系については「定額従量制」などと呼ばれる。

 このほか、一定時間に満たない利用については従量制もしくは定額従量制を採用し、一定時間以上の利用についてはそれ以上いくら利用しても常に一定料金を課金する体系は「キャップ制」などと呼ばれる。

収容換え

収容換えとは、ADSLサービスを利用するために、電話回線の経路を別の線に切り替えること。同一ケーブル内の別の芯線に換える場合と、光回線から銅線(メタルケーブル)に替える場合がある。NTT地域会社が有料で受け付けている。

 電話回線は電話局近辺では地域ごとに一本の太いケーブルに束ねられており、加入者宅に近づくにつれて細く枝分かれしていく。ADSL通信を行なう回線は近くにISDN回線があると干渉を受けてうまく通信できないことがあるため、同一ケーブル内のISDN回線から遠い芯線に接続を切り替えるのが収容換えである。

 また、近年では基幹ケーブルが光ファイバー化されている「光収容」の地域が増えている。経路の途中に光ファイバーがあるとADSLは使えないので、銅線に収容を切り替えるのも収容換えと呼ばれる。一般に、単に収容換えと言った場合にはこちらの意味であることが多い。

市内電話サービス 【local telephone service】

市内電話サービスとは、日本国内の固定電話サービスのうち、同一の市町村内で提供される通話サービス。

 実際には、行政区画などを元に「メッセージエリア」(MA:Message Area)と呼ばれる単位料金区域が設定されており、同一MA内での通話が市内電話となる。原則として1つのMAには1つの市外局番が割り当てられ、市町村境界とMAの境界は必ずしも一致しない。また、同じ市外局番であってもMAが異なる場合、市外局番が異なっていてもMAが同一の場合もある。有名な例としては、東京23区は全体で一つのMA(03局番)であり、近隣市(狛江市など)の一部地域も含まれている。

 市内電話サービスといえば長らく「3分10円」の料金体系で親しまれてきたが、1990年代後半の通信自由化に伴う新規参入により、現在は3分8円台に価格が下がっている。

自動着信課金サービス 【着信課金サービス】

自動着信課金サービスとは、NTTコミュニケーションズの「フリーダイヤル」のように、着信側が通話料を負担する通話(通信)サービスのうち自動的に通話が開始されるサービスのこと。着信課金サービスには「コレクトコール」があるが、これは交換手を介して着信側が料金の支払いを承認した上で接続される。

 自動着信課金サービスは企業向けサービスのフリーダイヤルなど、個人向けの自動着信課金サービスも含めて各社がサービスを提供している。

 2001年3月から自動着信課金サービスに対する番号ポータビリティ(利用する事業者を変更しても同じ電話番号でサービスが継続できる制度)が導入され、従来から自動着信課金サービスとして有名な「0120」「0800」で始まる電話番号をNTTコミュニケーションズ以外の他の事業者も自動着信課金サービスを提供できることとなり、事業者間の競争が激化している。

施設設置負担金

施設設置負担金とは、電話加入者が加入時にNTT地域会社に支払う、電話インフラ整備のための負担金。現在の金額は72,000円。

 これを支払った者には電話に加入できる権利が与えられるが、これを俗に「電話加入権」という。電話加入権は譲渡や売買が可能で、解約した人から買い取って新規に引きたい人に売却する業者も存在する。このため、実際には72,000円よりも少ない額で加入権を手に入れることは可能である。

 2002年2月からは、負担金を支払う代わりに毎月の基本料金を数百円高めに設定した「ライトプラン」料金が加入電話とISDNに導入されており、最近ではこちらを選択する人が増えている。

 この制度はもともと、戦後復興期に電電公社(当時)が電信柱や電話線などのインフラを敷設していたときに、自己資金による整備では加入希望者の増加に追いつかなかったため、加入者に負担の一部を求めたものである。現在ではインフラ整備も一段落し、その必要性が薄れているため、廃止すべきではないかという議論もある。

シスオペ 【sysop】

シスオペとは、「システムオペレータ」(system operator)の略語で、パソコン通信のBBSサービスの運営者・管理者のこと。

 インターネットが普及する以前、電話回線などを使って電子掲示板やファイル交換などを行なうパソコン通信サービスが普及していたが、そこでの運営・管理のための権限をもつユーザがシスオペである。

 シスオペは不適切な発言やファイルが投稿された際に削除したり、掲示板やライブラリを開設・閉鎖したり、議論のためのガイドラインを制定したりする権限が与えられていた。個人運営のいわゆる草の根BBSではホストを開設しているオーナーがシスオペを兼ねる例が多かったが、テーマ毎にいくつもフォーラムが運営されているような大規模なサービスでは、一般のユーザの中からシスオペが任命される方式で運営されている場合もあった。

 インターネット上の掲示板などでも、古参ユーザなどが管理者のことをシスオペと呼ぶことがあるが、年々シスオペという単語は使われなくなってきている。

シェアドアクセス 【shared access】

シェアドアクセスとは、1本の光ファイバー回線を複数の加入者で共有する加入者系アクセスシステム。NTT東西地域会社がFTTHの実現に向けて開発した方式で、電話局と加入者宅を結ぶ光ファイバケーブルを最大32ユーザで共有するというもの。100Mbpsの帯域を分かち合って通信を行なう。加入者宅に設置する光回線の終端装置(ONU)にはEthernetの10BASE-Tインターフェースが使われるため、加入者は既に広く普及している安価なLANカードをコンピュータに装着するだけでよい。NTT東西地域会社は2000年4月からワイドLANサービスにおいてシェアドアクセスを採用しており、2000年12月に始まった加入者系光アクセスサービスの「Bフレッツ」でも利用されている。

サブアドレス 【subaddress】

サブアドレスとは、本来のアドレス(メインアドレス)に追加して利用される補助的なアドレスのこと。携帯電話のメールアドレスにキャリアから割り当てられたもの以外を使用できるサービスや、ISDNの着信機器識別番号などがよく知られている。

 携帯電話の利用者は、契約している携帯電話会社(キャリア)のドメインで、通常1つのメールアドレスを取得して利用することができる。掲示板への書き込みや迷惑メール対策のために、これとは別のアドレスを取得して利用できるようにするサービスがサブアドレスサービスである。キャリア以外の企業が提供しているもので、無料で利用できるサービスがいくつもある。

 ISDN回線のサブアドレスは、終端装置(DSU)に接続された複数のISDN対応機器(電話機、FAX、TAなど)から特定の一台を識別して、それのみに着信させるための識別番号である。電話番号「03-3000-0000」のISDN回線において、DSU以下に接続されたTAなどの機器に「01」「02」「03」…とサブアドレスが割り当てられている場合、発信元のISDN機器から「03-3000-0000*02」とダイヤルすると「02」にサブアドレスが割り当てられたISDN機器に直接、着信させることができる。

 サブアドレスが有効になるためには着信側・発信側が共にサブアドレス機能にしていることが必要で、ISDN回線かPHS電話機が必要となる。アナログ回線や携帯電話などから相手のサブアドレスに着信することはできない。

コンテンツアグリゲータ 【contents aggregator】

コンテンツアグリゲータとは、インターネット上の情報を収集、整理し、エンドユーザへと配信する業者や個人。例えば、ショッピング、オークション、インターネットモールなどといった分野について、いくつかのサイトで情報を集め、同一商品、類似商品の価格を比較して消費者に提供するサイトなどがある。映像などのコンテンツを保有する企業や個人から利用許諾を得て、自社の回線網など利用者に配信する事業者もコンテンツアグリゲータという。最近では、ADSL等のブロードバンド回線を提供する事業者が、大容量の回線ならでは映像などのコンテンツを集めてきて、会員に有償で提供する事業が次世代のビジネスとして注目を浴びている。

コールバック 【callback】

コールバックとは、電話回線などによる通信において、いったん通信先を呼び出し、相手側からの発信を求めること。

 通信料金は相手側が負担することになるため、企業の従業員が業務で社内ネットワークにダイヤルアップ接続する場合に用いられる。実際には、あらかじめ設定を行なうことにより、一連のコールバック手続きを自動で行わせる。

 コールバックの具体的な手続きについては数種類あり、通信元からの最初の呼び出しに際して若干の通信料金が必要な方式(実際に接続してすぐに切断する方式)と、最初の呼び出しに通信料金がかからない方式(無課金方式)に大別される。

 課金を要する方式については、Windows NTに搭載されているMS-CBCP方式が事実上の標準となっているが、無課金方式に関しては規格が乱立している状態で、通信元と通信先で対応している規格が異なる場合は無課金でのコールバックはできない(実際につながなければならない)。

 他に、同じ区間の通信を行なう場合でも発信地によって通信料金が異なることを利用して、通話料を安くするコールバックサービスもある。特に、この格差の大きい国際電話においては、コールバックによって通信料金が安い国から発信を行なうよう調整することで、料金を低く抑えることができる。

コールウェイティング 【call waiting】

コールウェイティングとは、通話中にかかってきた別の着信に応答する機能。NTT東日本・西日本がアナログ電話では「キャッチホン」の名称で、ISDN(INSネット)では「INSキャッチホン」としてサービスを提供している。IP電話や内線電話にも同様の機能がある場合がある。

 コールウェイティングが有効になっている場合、通話中に別の着信があると、利用者に特殊な着信音でこれを知らせる。利用者はフックをすばやく押して離すなどの動作をすることにより、現在の通話を保留状態にして、着信に応答することができる。通話が終わって回線を切ると、元の相手との通話に戻ることができる。

コモンキャリア 【common carrier】

コモンキャリアとは、自前の通信設備(特に回線網)を所有している通信事業者(第一種電気通信事業者)のこと。単に「キャリア」ともいう。自前の設備を利用して広範に渡る通信・通話サービスを提供する巨大通信企業のことで、日本ではNTT、KDDI、日本テレコムなどがこれにあたる。以前は国の規制により、コモンキャリアは国内通信がNTT(当時の電電公社)、国際通信がKDDに限られていた。1985年のNTT民営化と通信自由化に伴い、DDIや日本テレコムなど、新しいコモンキャリア(NCC:New Common Carrier)が続々と国内通信市場に新規参入した。

コードレス電話 【cordless telephone】

コードレス電話とは、本体と受話器を短距離無線通信で結び、受話器からコードを除いて持ち歩けるようにした電話機。本体と受話器は微弱な電波で通信を行ない、おおむね家庭内程度の範囲なら好きな場所で通話できる。受話器は電源を内蔵しており、使用しつづけるためには定期的に充電する必要がある。

 電話機本体を「親機」、持ち運べる受話器を「子機」という。電話本体にも受話器がついているタイプの製品や、子機を複数用意できるタイプの製品などがある。最近では、親機と子機の無線通信を傍受して盗み聞きする盗聴被害が広まっており、社会問題化している。ちなみに、コードレス電話の子機を屋外に持ち出して、街頭でも通話できるようにするというコンセプトで開発された電話機・通話サービスがPHSである。

国際ローミング 【international roaming】

国際ローミングとは、ローミングサービスの一つ。契約している通信事業者のサービスを、海外の提携事業者の設備を利用して受けられるようにすること。また、そのようなサービス。インターネット接続サービスや携帯電話などで提供されている。DDIやIDOの携帯電話であるcdmaOneは世界的な規格であり、海外でも多くの事業者がcdmaOneによるサービスを提供しているため、多くの国でローミングサービスを受けることができる。また、次世代の携帯電話規格であるIMT-2000が普及すれば、より国際ローミングを提供しやすくなるといわれている。インターネット接続サービスでは、外資系のインターネットサービスプロバイダの多くは世界的な通信企業であるため、国際ローミングを売りにしているところが多い。

高速ページャ 【high speed pager】

高速ページャとは、Motorola社によって提唱された通信プロトコル、FLEX方式を用い伝送速度を6,400bpsに向上させたページャ(ポケベル)システム。

 日本国内では、FLEX方式を元にした国内向けプロトコル「FLEX-TD」方式が1995年に策定され、1996年に東京テレメッセージ系列が「FX-TD」、NTTドコモ系列が「インフォネクスト」の名称でサービスを開始した。

 それまでは東京テレメッセージ系のPOCSAG方式とNTTドコモ系のNTT方式(ともに伝送速度は1,200bps)が混在していたが、以降はFLEX-TD方式が主に提供されるようになった。

高速電力線通信 【PLC】

高速電力線通信とは、電力線を通信回線として利用する技術。電気のコンセントに通信用のアダプタ(PLCモデム)を設置してパソコンなどをつなぐことにより、数Mbps~数百Mbpsのデータ通信が可能となる。

 ほとんどの建物には電気配線が張り巡らされているため、高速電力線通信を使うことにより新たにケーブルなどを敷設することなく手軽に構内通信網を構築できる。また、電力会社の配電網を高速電力線通信に利用すれば電力網をそのまま通信インフラとして利用することができ、インターネット接続サービスなどが提供できる。

 電力線はもともと高い周波数の電気信号を流すことを想定していないため、高速電力線通信による漏洩電波がアマチュア無線などに深刻な影響を与えるとの指摘もあり、なかなか実用化されなかったが、総務省が規制を緩和したのを受けて2006年12月に初めて高速電力線通信対応製品が発売された。

公専接続 【connection of public telephone networks with internal private circuit】

公専接続とは、企業などが保有・占用する専用回線を、片方の端点でNTTの一般公衆回線と接続すること。1995年4月に自由化された。両端とも公衆回線に接続する形態は「公専公接続」という。

 例えば、東京と大阪に拠点を持つ企業が両者を専用回線で結んでいる場合、東京の拠点を公専接続しておけば、大阪から東京の顧客に電話をかける際、NTTには東京の拠点からの料金のみを払えばよい。

公専公接続 【connection of public telephone networks by internal private circuit】

公専公接続とは、企業などが保有・占用する専用回線を、両端でNTTの一般公衆回線と接続すること。1996年10月に自由化された。片方の端点で接続する形態は「公専接続」という。

 新電電(NCC)は、公専公接続を用いてNTTよりも低額な長距離通話サービスを提供している。NCCは拠点間の基幹回線網のみを自社保有し、市内電話網はNTTのインフラを使う。顧客が長距離の通話をする場合、最寄のNCC拠点までNTT回線で接続し(公)、拠点間はNCC回線(専)、通話先へは再びNTT市内網(公)、という経路をたどる。

公衆無線LANサービス 【public wireless LAN service】

公衆無線LANサービスとは、ホテルや駅、ファストフード店などに設置されたアクセスポイントを利用して、無線LANによるインターネット接続を提供するサービス。

 さまざまな事業者によってサービスが提供されており、500~2,000円前後の月額料金や、500円前後の1日料金で利用できる。なお、1日だけ利用できるプランの場合、店舗で販売されているプリペイドカードを購入したり、携帯電話を利用してその場でサービスへの加入申し込みを行なうなどの方法で、事前申し込みが不要な場合もある。たまたま訪れた店舗で公衆無線LANサービスが提供されており、一時的に使いたいという場合などに便利である。

 仕組みは家庭用の無線LANとほぼ同じだが、不特定多数のユーザが利用することから、IDやパスワードなどを利用してセキュリティ面での配慮がなされている。このような公衆無線LANサービスは、パソコンを利用したインターネット接続に加えて、PDAなどを利用したコンテンツ配信に使われたり、将来的には外出先でIP電話を使うためのインフラとして利用される可能性も検討されている。エリアの拡大や新規事業者の参入、事業者の統廃合なども進みつつあり、今後の展開が期待されている。

公衆交換電話網 【PSTN】

公衆交換電話網とは、一般の加入電話回線ネットワークのこと。「公衆電話交換回線網」などと訳される。末端に電話機をつないで、回線交換方式で相手に接続して音声通話をするのに使う。データ通信を行なうには、コンピュータと回線の間にモデムを接続し、データ列と音声信号の相互変換を行なう必要がある。

広域イーサネット 【広域LAN】

広域イーサネットとは、Ethernetで使用されているスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)を組み合わせて構築した、100km単位の大型ネットワーク。

 スイッチングハブはルータ(レイヤ3スイッチ)と比べて非常に安価なため、大量に使用してもコストは低くなるほか、ルータと比べてメンテナンスの手間が少なくなる。また、多対多の接続が簡単に行えるといったメリットがある。

ケーブルルータ 【cable router】

ケーブルルータとは、CATVの回線を使ってインターネットに接続するためにCATV局側に設置される装置。

 ユーザ宅に設置されたケーブルモデムと通信し、インターネット回線への橋渡しをする。最近では、家庭内で複数のパソコンからCATVネットワークに接続するためにルーティングを行なう機器のことをケーブルルータということもある。これはブロードバンドルータと呼ばれるものと同じものである。

ケーブルモデム 【cable modem】

ケーブルモデムとは、CATVの回線を使ってインターネットに接続するための装置。電話回線におけるモデムの役割を果たすため、ケーブルモデムという。シリアルポートを使う通常のモデムとは異なり、パソコンとはEthernetを通じて接続する。CATV局→加入者(下り)と、加入者→CATV局(上り)で通信速度が異なる非対称型が一般的で、上りより下りのほうが高速である。通信速度は下りが6~30Mbps、上りが128kbps~3Mbpsのものが主流。CATV事業者は月額固定制の常時接続サービス(使い放題)を提供しているため、高速な定額インターネット接続サービスとして急速に普及している。

ケーブルテレフォニ 【cable telephony】

ケーブルテレフォニとは、CATVの回線を利用して提供される電話機能。CATV局で公衆電話網に接続されており、通常の電話と同じように利用することができる。同じCATV局内の加入者間の通話料は大幅に割り引かれることが多く、無料で通話できる時間帯を設けている事業者もある。最近ではCATV会社はテレビ放送以外の分野開拓に熱心になっており、ケーブルテレフォニはその一環としてオランダやアメリカを中心に普及しつつある。日本でも大手のCATV事業者が提供を始めている。VoIP(Voice over IP)を採用し、インターネット電話の機能を併せて提供している場合もある。

クアドスペクトラム 【quad spectrum】

クアドスペクトラムとは、ADSLの下り通信に使う周波数の上限を従来の4倍弱に広げ、下り通信を高速化する技術。2003年に各社が発表した40Mbps超のADSLサービスで採用されている。

 ITUが標準化した、日本向けのADSL技術の標準規格G.992 Annex Cでは、下り通信に138~1104kHzの帯域が使われる。クアドスペクトラムでは138~3750kHzの帯域を使い、従来の約4倍にあたる40Mbps程度の通信速度を実現する。厳密に4倍にはなっていないが、3750kHz以上の周波数はVDSL上り通信に使われる周波数と重なってしまうため、利用できない。このため、実際のサービスではクアドスペクトラムに加えてハイビットローディングなどの技術を併用することにより、40Mbps超の通信速度を確保している。

 上限周波数を引き上げた分、従来より短い線路長で信号が減衰してしまうため、40Mbps超のサービスの恩恵を受けられるのはNTT交換局に近いユーザ(概ね500m程度と言われている)のみに限定されるが、フィールド実験では中距離のユーザでも従来より通信速度が向上する例が見られ、全体的なスピードの底上げにつながると期待されている。

き線点 【feeder point】

き線点とは、NTT東西地域会社から加入者宅へと延びる通信回線が、電話局からの地中管を抜けて電柱に出てくる地点。NTTは2010年を目標に、き線点までの光ファイバー化を進めている。

キャリアズキャリア 【carriers’ carrier】

キャリアズキャリアとは、保有する光ファイバー網などの電気通信設備を、他の事業者に貸し出す事業者のこと。インフラの保有・保守に特化し、エンドユーザへの通信サービスの提供を電気通信事業者に委ねる事業形態で、「卸電気通信役務」と言われる。

ギャランティ型 【guarantee】

ギャランティ型とは、最低通信速度や最大年間中断時間など、サービスの品質(QoS)が保証されている通信ネットワーク、あるいは通信サービス。専用線接続サービスなどで使われる用語。

 通信サービスの場合、何をどの程度保証するかはサービスによって異なり、これを定めた契約をSLA(サービスレベル契約)という。

 保証する品質の内容はサービスやネットワークの種類によって異なるが、最低限保証される通信速度や、メンテナンスや故障による中断時間が最大で1年間にどれくらい発生しうるか、送信したデータが確実に相手に届くかどうか、送信したデータが決められた時間以内に相手に届くかどうか、データに優先度をつけられるかどうか、セキュリティが確保されるかどうか、などがある。

 ベストエフォート型(品質非保証型)と比べて、サービス提供に必要な設備や人員などの負担が大きく、コストがかかるため、価格は高い。

 安定した通信品質が求められる企業の基幹回線や、常に一定の帯域を確保する必要がある動画配信などを行なう場合は、ギャランティ型の接続サービスを使うべきである。

 インターネットやEthernetは全体としては局所的に速度低下やサービス中断が頻発しうるため、ギャランティ型ではない。

キャップ制 【従量課金上限制】

キャップ制とは、通信サービスの課金方式の一つ。「30時間まで3分5円、それ以上いくら利用しても月額3000円」のように、料金の上限が決まっている料金体系のこと。

 「月額3000円」などのように、利用時間の長さに関わらず常に一定の利用料金が課金される定額制と、「3分10円」などのように、利用時間に応じて課金される従量制を組み合わせた料金体系。

 同じように定額制と従量制を組み合わせた料金体系に、「30時間まで月額3000円、それ以降は3分10円」などのように、基本料金に一定時間分の利用料金を含み、超過した部分について従量で追加料金を課金される「定額従量制」がある。

キャッチホンII 【catch phone II】

キャッチホンIIとは、通話中にかかってきた別の着信に応答する「キャッチホン」サービスの改良版で、利用者の指示で一時的に着信通知をオフにできるようにしたもの。NTT東日本・西日本がアナログ電話の付加サービスとして1995年7月に開始した。利用には月額500円が必要。

 従来のキャッチホンサービスに契約すると、通話中に別の着信があると音声に特殊な着信通知音を合成するため、モデムでデータ通信を行なっていると通信が切断されてしまう。1990年代にパソコン通信が普及すると利用者からの苦情が増えたため、データ通信の際には利用者からの指示であらかじめ着信通知をオフに設定できるキャッチホンIIが始まった。

 キャッチホンIIでは着信通知を切っている時はキャッチホンIIセンターが代わりに応答して30秒までのメッセージを受け取り、通信が終わるとこれを通知してくれる。データ通信を利用しない時には通常のキャッチホンと同等のサービスが利用できる。

キャッチホン 【catch phone】

キャッチホンとは、通話中にかかってきた別の着信に応答する機能。NTT東日本・西日本のアナログ電話サービス(加入電話)で、NTTドコモが携帯電話サービス(mova/FOMA)で、それぞれ提供している。ISDN(INSネット)では同等の機能を「INSキャッチホン」(コールウェイティング)という。アナログ回線では月額300円、携帯電話では月額200円の利用料が必要。

 キャッチホンが有効になっている場合、通話中に別の着信があると、利用者に特殊な着信音でこれを知らせる。利用者はフックをすばやく押して離すなどの動作をすることにより、現在の通話を保留状態にして、着信に応答することができる。通話が終わって回線を切ると、元の相手との通話に戻ることができる。

 アナログ電話のキャッチホンは着信があると音声に特殊な通知音を合成するため、モデムでデータ通信を行なっていると通信が途絶えてしまうという問題があった。1990年代にパソコン通信が普及するとこの問題が顕在化したため、電話からの操作で一時的に着信通知機能を停止し、再開するまでセンターでメッセージを預かる「キャッチホンII」が1995年7月に開始された。

擬似フレックスホン 【pseudo flex phone】

擬似フレックスホンとは、NTT東日本・西日本のISDN(INSネット)の付加サービスの「フレックスホン」を契約せずに、ターミナルアダプタ(TA)の機能だけで同等の機能を実現すること。また、そのようなTAの機能。

 フレックスホンはISDN付加サービスの一つで、着信中に別の着信に応答する「INSキャッチホン」、通話中の相手を切らずに別の番号へ転送する「通信中転送機能」、通話中に別の相手を呼び出して三者で通話する「三者通話機能」、着信を別の番号に転送する「着信転送機能」の4つを組み合わせたもの。擬似フレックスホンはこれとほぼ同等のサービスをTAの機能だけで実現し、フレックスホンを契約しなくても利用できるようにする。

擬似コールウェイティング 【pseudo call waiting】

擬似コールウェイティングとは、ISDN回線で、NTT東日本・西日本のフレックスホンを契約せずにターミナルアダプタ(TA)の機能だけでコールウェイティング機能を実現すること。また、そのためのTAの機能。メーカーによっては「マルチアンサー」「擬似キャッチホン」と呼ぶ場合もある。

 コールウェイティング機能は通話中にかかってきた別の着信に応答する機能で、アナログ電話では「キャッチホン」の名称で有名な機能である。ISDN(INSネット)ではフレックスホンサービスの機能の一つとして「INSキャッチホン」の名称で提供されているが、これを利用せずにTAのみでコールウェイティングを実現するのが擬似コールウェイティングである。

カールソン課金

カールソン課金とは、電話料金の課金方式の一つで、「10円で何分」という具合に、単位料金あたりの通話秒数を設定する方式。フィンランドのカールソン博士が提唱したためこのように呼ばれる。

 単位料金は必ず課金できるため、通話料の安い市内通話などに多く採用されている。伝統的なNTTなどの日本の電話サービスはカールソン課金である。例えば、単位料金が10円の場合、どんな短時間の通話でも最低10円は課金される。そして、10円で通話できる時間が、市内通話なら3分、市外通話なら何kmまで何秒…、といった具合に変動する。これに対し、国際電話などに見られる「何秒で10円」という単位秒数を設定する課金方式は「ハドソン課金」と呼ばれる。

加入電話 【subscriber telephone】

加入電話とは、電話会社と利用契約を結んで回線を引き込むことにより、他の利用者や公衆電話、携帯電話、海外などとの通話が可能になる電話サービス。古くからある、いわゆるアナログ固定電話サービスのこと。

 1890(明治23)年に東京~横浜間で約200人の加入者により始まったもので、100年以上に渡り続いている。この間、運営主体は逓信省、電気通信省(1949年~)、電信電話公社(電電公社)(1952年~)、日本電信電話(NTT)(1985年~)、NTT東日本・NTT西日本(1999年~)と変遷している。加入者数は1996年末の約6150万回線をピークに減少し、デジタル固定電話・通信サービスのISDNや、光ファイバーによるIP電話サービス、携帯電話などに加入者を奪われつづけている。

 加入電話は電話局から より対線(メタルケーブル)を加入者宅に引き込み、電話機を接続して利用する。回線には10桁の電話番号が割り当てられ、他の加入者や公衆電話、携帯電話、国際電話を通じて海外などと音声通話ができる。警察(110番)、消防(119番)への緊急通報や、時報(117番)、天気予報(177番)などの情報サービスも利用できる。モデムを接続することによりデータ通信に利用することもできる。電話回線には電話機で通話が可能になる程度の微弱な電力が供給されているため、災害などで停電しても電話回線が通じていれば通話ができる。

 加入電話に加入するには、加入者にインフラ建設費などの一部の負担を求める「施設設置負担金」を支払う必要があり、これを支払うといわゆる「電話加入権」が取得できる。加入権は譲渡が可能であり、財産と同様の扱いであったが、歴史的役割を終えたとの議論を受けて2005年に従来の半額に値下げされ、将来は廃止されることが決まっている。NTT地域会社は基本料金が高い代わりに加入権がなくても加入できる「加入電話ライト」などを提供している。かつては加入権とは別に「電信電話公債」(電話債券)の購入が必要だったが、この制度は1983年に廃止され、全額償還されている。

 近年では通信の自由化が進み、NTT地域会社以外の電話会社も加入電話と同じように直接加入して通話サービスを受けられるようになった。こうしたサービスは「直収電話」などと呼ばれ、NTT地域会社のサービスを「一般加入電話」などと呼んで区別する場合もある。

加入者回線 【subscriber line】

加入者回線とは、NTTなどの電気通信事業者の設備と加入者の間を結ぶ回線のこと。事業者の施設間や事業者間を結ぶ回線は基幹回線とかバックボーン回線などと言う。

 回線を構成する物理的な線には、銅線(メタルケーブル)や光ファイバーが使われる。また、その中を流れる信号の方式によって、アナログ回線(伝統的な加入電話サービスなど)あるいはデジタル回線(ISDNやADSL)などの種類に分かれる。

カッド 【quad】

カッドとは、電話回線を構成する1対(2本)の銅線を2組(4本)束ねたケーブル。地中に埋設されている電話ケーブルの基本単位。

 公衆電話網の1回線は2本の銅線で構成されるが、電話ケーブルではこれをペアにしたカッドが基本単位として使われる。現在主流のプラスチック絶縁ケーブル(CCP)では、5本のカッドをまとめて「サブユニット」と呼び、10本のサブユニットをまとめて「ユニット」と呼び、4本のユニットをまとめて 1本のケーブルを構成する。1本のケーブルは200本のカッド(400対800本の銅線)で構成されている。

 カッド内で2組のメタルケーブルが拠り合わされているのは磁束方向を定期的に変化させて互いに打ち消し、信号漏洩を防ぐ目的がある。しかし、実際には同じカッド内に収容された2組の銅線間では信号漏洩が生じ、特にISDN回線とADSL回線が同一カッドに収容されると重複する周波数帯域がお互いに干渉し合い、ADSLの接続不良や速度低下を招くことがある。こうした現象が生じるとADSL回線の収容をISDNの影響のない他のカッドに変更することがある。

回線再販 【channel resale】

回線再販とは、通信事業者による通信回線の再販サービス。通信回線を持たない事業者が、大規模な回線網を持つ事業者と大口契約を結んで安価に回線を借り受け、個々のユーザに再販するサービス形態が多い。専用線、国際回線、衛星回線などあらゆる通信回線が再販されている。

オンデマンドダイヤルアップ接続 【on demand dial-up connection】

オンデマンドダイヤルアップ接続とは、遠隔地のネットワークにダイヤルアップ接続する機能を持ったルータ(ダイヤルアップルータ)などが持つ機能の一つで、ユーザからの接続要求に応じて自動的にダイヤルアップ接続を行ない、一定時間通信が途絶えると自動的に回線を切断する機能。

 社内LANなどからダイヤルアップでインターネットなどに接続する環境の場合、従来はネットワークに接続したくなったら手動でダイヤルアップを行ない、必要なくなったら手動で回線を切断しなければならなかった。オンデマンドダイヤルアップ接続機能を持ったルータを回線に接続しておくと、ユーザがネットワークへつなごうとすると自動的にこれを検知してダイヤルアップ接続を行なってくれる。その後、用が済んでユーザがネットワークを利用しなくなり一定時間が経つと、通信が終わったとみなして自動的に接続を切断してくれる。ユーザからはダイヤルアップ接続の存在を意識せず常につながっている感覚でネットワークを利用することができる。

音響カプラ 【acoustic coupler】

音響カプラとは、電話回線の音声通話を用いてデータ通信を行なう装置。受話器に密着させ、データを音に変換して送受信する。電話機があればどこでも使えるという利点はあるものの、雑音に弱く、通信速度を高めることが難しかった(数百ビット毎秒程度が限度)。電話回線の終端がモジュラー式になり、電話機以外の機器を接続できるようになると、回線に直接接続してデータを音声信号に変換して送受信するモデムが使われるようになった。

オートパイロット 【auto-pilot】

オートパイロットとは、パソコン通信サービスに接続して未読メールやBBSの新着記事のチェックなどを自動で行なう機能、またはその機能を持つプログラム。パソコン通信が全盛だった時代には、回線代や利用料が従量制であったこともあり、必要な情報だけを回収して速やかに回線を切断して課金をセーブするなどの目的で、オートパイロットの機能が用いられた。現在でも、Webページを登録しておくと、更新があったか定期的にチェックしてくれる巡回ツールなどが広く使われている。

オートダイヤル 【autodial】

オートダイヤルとは、電話回線に接続された端末がユーザの指示を受けることなく、あらかじめ設定された相手にダイアルして接続すること。また、そのような機能。

 インターネットへダイヤルアップ接続するのが一般的だった頃は、ユーザがメールを送受信したりWebブラウザを起動したときなどに、自動的にプロバイダのアクセスポイントにダイヤルアップ接続し、一定時間通信が行なわれないと自動切断する機能がOSのネットワーク機能に組み込まれていた。また、見込み顧客の電話番号に自動的に電話をかけ、相手が電話に出た場合のみオペレータにつないで通話して電話セールスを行なうシステムもある。