2009年11月19日木曜日

一般第二種通信事業者 【general type II carrier】

一般第二種通信事業者とは、2004年3月まで電気通信事業法で定められていた通信事業者の分類の一つ。第一種通信事業者から回線を借りて通信サービスを行なう第二種通信事業者のうち、回線規模などが特別第二種の基準を満たさない事業者のこと。

 64Kbps回線換算で2000回線を超す規模、又は国際間専用線通信サービスを行なう事業者は特別第二種通信事業者となることができる。一般第二種通信事業者は郵政大臣(後に総務大臣)への届出制。

アナログ回線 【analog circuit】

アナログ回線とは、アナログ信号で音声やデータを送受信する回線。ふつう電話回線、それもいわゆる「ごく普通の昔からある電話回線」を指す。

 すべてのやり取りをデジタルデータ化して送受信するデジタル回線の一種であるISDN回線と対比する文脈で用いられる語。

 日本ではISDN回線に食われる形でアナログ回線の加入者数は減少していたが、ISDNよりも高速なADSLはアナログ回線でしか使用できないため、ADSL実用化後はアナログ回線の加入者数は増加に転じている。

アクセスチャージ 【access charge】

アクセスチャージとは、通信サービスの接続料金。一般ユーザがインターネット接続サービスや、古くはパソコン通信サービスなどにアクセスする際の利用料金。また、通信事業者間の接続料金。

 前者は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)などが、インターネット接続サービスなどの対価としてユーザから徴収する料金のことで、電話回線やISDN回線によるダイヤルアップ接続が主流だった時代は、利用時間に応じた従量制が一般的だった。現在はADSLや光ファイバーなど固定接続のサービスが主流となり、料金体系も月額固定料金がほとんどとなっている。

 後者は、通信事業者が加入者の求めに応じて別の事業者のネットワークに接続し、相手先に電話やデータ通信を行なう際に支払われる事業者間の通信料金である。加入者は直接支払うことはないが、通話料などに含まれる形で間接的に負担している。例えば、NTTドコモの携帯電話からau(KDDI)の加入者に電話を掛ける場合、NTTドコモはKDDIの定めた接続料金を支払って接続し、通話サービスを提供する。

 日本の市内電話網は歴史的経緯からNTTが事実上独占しているため、電話サービスを提供するには最終的には必ずNTTにアクセスチャージを支払って加入者まで取り次いでもらわなければならない。通信自由化が進み競争が激しくなるに連れて、このNTT市内網へのアクセスチャージをめぐって激しい議論が交わされた。現在では光ファイバーによるIP電話など、NTT市内網を通さずに直接加入者に通話サービスを提供するといったサービス形態も登場している。

2009年11月18日水曜日

YRP 【横須賀リサーチパーク】

YRPとは、神奈川県横須賀市南部の丘陵地にある、無線・移動体通信関連技術に特化した国内最大規模の研究開発拠点。約62ヘクタールの広大な敷地に、国内外の官民の研究所や開発センターなどが建ち並んでいる。進出企業は60社以上、就業人口は約1万人に達する。

 YRPは三浦半島中心部、横須賀市光の丘に建設された東西約1.6km、南北約0.7kmの研究都市である。横須賀市中心部からは南に約6km、京浜急行電鉄「YRP野比駅」から約1.2km、横浜横須賀道路佐原ICから約1.7kmの位置にある。

 NTTドコモやKDDIなどの通信事業者や、 NEC、富士通、日立、東芝、三菱電機、沖電気、松下、シャープ、ソニー、エリクソン、テキサス・インスツルメンツといった内外の大手通信機器メーカーの研究所や開発センターが軒を連ね、密接に連携を取りながら研究開発に取り組んでいる。情報通信研究機構(NICT)や有力大学の研究室、およびそれらを相互につなぐ産学官交流センターなどもあり、さながら日本の移動体通信技術のメッカとも呼べる一大拠点となっている。

 この場所はもともと電電公社の研究所があったところで、そこに隣接する形でYRPが造成されてきた。1987年に「横須賀リサーチパーク構想推進連絡会」が設立され、1993年には横須賀市などが出資する第3セクター「株式会社横須賀テレコムリサーチパーク」が設立、翌1994年から基盤整備事業が進められてきた。1997年10月にYRPセンター1番館など最初の主要な施設が完成し、オープニング記念事業が開催された。

Yahoo! BB 【ヤフー!BB】

Yahoo! BBとは、ソフトバンクBBとヤフーが提供するADSL接続サービス。ヤフーの提供する国内トップシェアのポータルサイト「Yahoo! JAPAN」と連動しており、同サイトではBB会員向けの特別メニューなども用意されている。日本最大級の会員を抱えるADSLプロバイダの一つである。

 2001年8月にサービスが開始され、Yahoo! JAPANの知名度を生かしたネット上でのキャンペーンや、街頭でADSLモデムを無償配布するといった前例の無い大規模マーケティングが奏効し、「価格破壊」とも評される徹底的した低価格とも相まって瞬く間に大量の会員を獲得した。その副作用として一時は申し込みが殺到し、開通までに数ヶ月を要するパンク状態となったことでも話題となった。

 いち早く高速な通信規格による新しいサービスメニューを投入する姿勢も評価されており、現在の最高通信速度は下り50.5Mbps、上り 12.5Mbpsとなっている。下り方向にはクアッドスペクトラム、上り方向にはSUQ(スーパーアップストリームクアッド)技術が採用されている。主な通信規格はG.992.1 Annex A方式および、これを拡張したAnnex A.ex方式を採用しているが、国内のISDN回線との干渉を考慮し、現在ではAnnex C.x方式も一部サービスで採用されている。また、電話局からの回線距離が長く通常のADSLサービスを受けられないユーザ向けに、通信速度をある程度犠牲にして大幅に通信可能距離を延長するReachDSL技術も採用しており、利用環境に応じた幅広いサービスを提供している。

X.25

X.25とは、ITU-TS(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)の勧告の一つで、公衆回線網を通じてパケット通信を行なうためのプロトコル。

 X.25はDCE(Data Circuit-terminating Equipment:回線終端装置)とDTE(Data Terminal Equipment:端末装置)の間のインターフェースを定めたもので、OSI参照モデルにおける物理層、データリンク層、ネットワーク層にまたがる仕様を定めている。ネットワーク層のプロトコルであるPLP(Packet Level Protocol)のことを特にX.25プロトコルということもある。X.25で通信を行なうパケット交換ネットワークのことはX.25ネットワークと呼ばれる。

x2

x2とは、US Robotics社(現在では3Com社が吸収)が開発した最高通信速度56kbpsのアナログモデムの規格。電話局→加入者宅方向(つまりダウンロード時)の速度は56kbpsまで出るが、逆方向(アップロード時)は33.6kbpsまでしか出ない。同性能で互換性のないRockwell社のK56flex規格と標準をめぐって激しく争ったが、56kモデム規格は1998年2月にITUによってV.90方式として一本化された。

WAN 【広域通信網】

WANとは、「広域通信網」の略。電話回線や専用線を使って、本社-支社間など地理的に離れた地点にあるコンピュータ同士を接続し、データをやり取りすることを言う。

VNO 【仮想サービス事業者】

VNOとは、他社の通信インフラを借り受けて通信サービスを提供する事業者のこと。複数の通信事業者と提携し、一括して料金請求を行なうなどの効率化が可能になる。

 また、インターネットサービスプロバイダ業務を行っている事業者がVNOを兼業し、端末からアクセスポイントまでの接続サービスも一括して提供するといったサービスもある。携帯電話などの無線通信インフラで事業を行なうVNOはMVNO(Mobile VNO)という。

VDSL

VDSLとは、xDSLの一つ。1対の電話線を使って通信する。ADSLと同じ非対称速度型であり、伝送速度は電話局→利用者方向(下り)が13Mbps~52Mbpsで、利用者→電話局方向(上り)が1.5~2.0Mbps。最大伝送距離は300m(下り52Mbps)~1.4km(下り13Mbps)。集合住宅などで建物内の電話回線網を利用して高速な通信サービスを提供する場合などに利用される。その際、高速性を生かすために外線(建物から電話局までの回線)に光ファイバーを組み合わせることが多い。

VAN 【付加価値通信網】

VANとは、「付加価値通信網」の略。データ通信用に大容量の回線を保有する業者が、その回線を一般のユーザに切り売りするサービス。

V.90

V.90とは、ITUによって標準化された最高通信速度56kbpsのアナログモデムの規格。電話局→加入者宅方向(ダウンロード時)の速度は56kbpsまで出るが、逆方向(アップロード時)は33.6kbpsまでしか出ない。x2とK56flexという互換性のない2つの規格を一本化するため、そのどちらでもない方式がV.90として採用された。x2モデムもK56flexモデムも、ほとんどはファームウェアのアップデートなどの手段により、V.90モデムとして利用できるようになる。

unnumbered 【アンナンバード】

unnumberedとは、他のネットワークに接続するルータのWAN側ポートにIPアドレスを割り当てず、2台のルータを見かけ上1台のルータのように扱う接続方式。unnumberedで運用されているルータはLAN側にのみIPアドレスを持つ。

 unnumbered接続を行なう場合、2台のルータが繋がっているネットワークに他のコンピュータがいるとパケットの行き先が確定しなくなるため、ルータ同士が直結している必要がある。しかし、2台が直結しているという条件を満たしているネットワークでは、IPアドレスを割り当てる数が少なくなる分、unnumberedで接続したほうが管理が簡単になる。

 ちなみに、PPP(PPPoE)接続ではISP側のルータと加入者側のルータは直結しているため、unnumberedでの接続が可能になっている。この仕様を利用して、NTT東日本・西日本のフレッツシリーズを利用する常時接続サービスでは、IPアドレスを複数個割り当てる場合にunnumbered接続を採用している。

TTC 【社団法人情報通信技術委員会】

TTCとは、日本国内における情報通信ネットワークに関わる標準の策定、普及活動や調査研究活動を行なう標準化機関。

 総務省に認定された国内唯一の「ITU-T勧告(旧CCITT勧告)に基づく国内標準作成機関」で、第1種通信事業者、第2種通信事業者、情報通信関連製造業者、電力会社などが会員となっている。

 TTC内では各部門委員会、専門委員会ごとにOSI参照モデルにおける各層のプロトコル、動画や音声の符号化手順、携帯電話等の通信手順などといった項目の標準化作業などを行なう。

 TTCは電気通信事業法施行を軸とした日本国内の電気通信分野の解放施策の過程で電気通信全般に関する標準の策定、普及を目的として1985年 10月に設立された「社団法人電信電話技術委員会」(TTC:英文名は同一)が母体となっている。「電信電話技術委員会」が2002年6月の事業内容の拡大に伴い「社団法人情報通信技術委員会」に名称変更した。

TAP

TAPとは、PIAFSによるダイヤルアップ接続を受け付ける機能を内蔵したターミナルアダプタ。ノートパソコンなどの携帯情報機器をPHSにつないでダイヤルアップでインターネットに接続する場合、インターネットサービスプロバイダのターミナルアダプタがTAPである必要がある。

T1 【T1 carrier】

T1とは、通信速度1.5Mbpsのデジタル専用回線の規格。「DS1」とも呼ばれる。アメリカ規格協会(ANSI)が定めた仕様で、24本の64kbps回線(DS0規格)を多重化したもの。正確には1.544Mbpsの通信容量を持つ。インターネットの普及期に基幹回線としてよく使われたため、現在でも大容量回線の代名詞的に用いられる場面がある。

 日本では企業向けの高速デジタル専用線や、ISDN回線(「INSネット1500」サービス)に使われていた。ヨーロッパではこれに代わって、64kbps回線32回線束ねた2Mbpsの容量を持つ「E1」規格が普及した。国際的な通信機器メーカーの製品には「T1/E1対応」のように、両方の規格に対応したものが多い。

SVD

SVDとは、1本の電話回線で音声通話とデータ通信を同時に行なうための技術。SVD対応モデム同士で通信中に、モデムに接続された電話機を使って通話することができる。デジタル方式のDSVDとアナログ方式のASVDの2種類がある。

S/T点端子

S/T点端子とは、DSUとISDN通信機器の接続や、ISDN機器相互間の接続に使われるコネクタ形状。Ethernetなどと同じRJ-45と呼ばれる8ピンのモジュラージャックが用いられ、このうち4ピンが実際に通信に利用される。

 ISDNでは、アナログ回線と同じ2線のケーブルでNTT局舎から加入者まで回線が引かれ、加入者宅内でDSUに接続され、さらにTAなどのISDN機器に接続される。このとき、DSU側のインターフェースをT点、ISDN機器側のインターフェースをS点と呼ぶ。ISDN機器同士を相互接続する場合は、一方のISDN機器がS点、他方がT点となる。S点とT点は取り扱いが異なることはなく、接続の形態によって呼称が異なるだけなので、両者をまとめて「S/T点」と呼んでいる。

SS7

SS7とは、加入電話ネットワークを制御するために使用されている通信規約群(プロトコルスタック)。「共通線信号No.7」などと訳される。通話用の信号線と制御用の信号線を別々に用意して回線を制御する方式を採用したシステムで、通話中にも制御信号を送受信することができる。SS7は大きく分けて経路情報を管理するプロトコル(MTP)と接続処理を行なうプロトコル群(SCCPやISUPなど)に分かれている。また、SS7は通話とは直接関係しない付加機能を追加できるよう設計されており、この付加機能枠を利用して発信者番号通知や自動転送などの機能が実装されている。SS7はITU-Tが1980年に勧告した世界共通規格だが、元々各国の実状に合わせて手直しして使うことが想定されており、日本でもSS7に日本独自の変更を加えたものが使用されている。

SmartBits

SmartBitsとは、米Spirent Communications社が開発・販売している、ネットワーク機器の性能を測定する装置。ルータやスイッチなどのネットワーク機器に接続し、擬似的に発生させたトラフィックを処理させて、その装置のレイテンシ(処理遅延)やスループット(単位時間当たりのデータ転送量)などの通信性能を計測する。SmartBitsによる計測結果はネットワーク機器の性能を示す業界標準の一つとして広く普及しており、製品仕様などに「SmartBits値」「SmartBitsによる計測」のように掲載されることが多い。